ベンガジ事件、つまり、2012年9月11日、アメリカのリビア大使クリス・スティーブンスがリビア東部の都市ベンガジで何者かの襲撃を受けて殺害された事件の真相は、すでに3ヶ月経過した今も明らかにされず、謎は深まるばかりといった様相を呈しています。しかも、オバマ大統領の再選が決まった二日後に、国民的な人気も高く4年後には次期大統領候補という声まで掛かっていたペトレイアス米国中央情報局(CIA)長官(60歳)が不倫発覚で突然オバマ大統領に辞表を出して即刻辞任するという事態が発生しました。ペトレイアス氏はアメリカ軍の最高司令官の地位を占めていた名声赫赫たる退役将軍で、今週中にCIA長官として米国議会の下院と上院の委員会で、ベンガジ事件について、宣誓下の証言を行なう予定でしたが、オバマ政府は辞任を理由にペトレイアス氏を委員会に出席させない模様であり、その一方で、ペトレイアス氏の辞任はベンガジ事件とは何の関係もないと言い立てています。
マスコミの報道を信じるとすれば、ペトレイアス氏の婚外不倫のストーリーは割に簡単です。ペトレイアス氏には結婚生活37年の妻がありますが、不倫の相手はPaula Broadwell という二児と夫を持つ39歳の作家で、『All In』というタイトルのペトレイアス将軍の伝記を本年1月に出版して既に評判の女性です。この情事についてFBIが捜査を始めたきっかけは、もう一人、ペトレイアス氏と親しい関係(家族的に)にあるJill Kelley という既婚の女性からの通報でした。本当かどうか分かりませんが、Paula BroadwellはJill Kelleyがペトレイアスと親密な関係にあるのを嫉妬して、脅し文句を含んだイーメイルを送って来るのでFBIに通報したという話なのです。Jill Kelley の方も胡散臭い女性のようです。
今からしばらくアメリカ人たちはこのスキャンダルをめぐって下らない議論をあれこれ展開するでしょう。アメリカの国家機密が漏洩した恐れはないのか、女性たちはスパイである可能性はないのか、婚外不倫を罰していたら切りがないのではないか、・・・ などなど。これらのマスコミ報道記事に対して、無数のコメントが寄せられていますが、中には当を得たものもあります。例を二つ。
■ Petraeus has killed tens of thousands of iraqis and other human beings. And now, he is told to resign because he had extramarital relations. 「ペトレイアスはイラク人や他の人間たちを何千何万と殺してきた。ところが今、婚外不倫の理由で辞職しろと申し渡された。」■
■ Kill thousands of innocents, get promoted.? Have an affair, get forced to resign. Could our family values be any more warped? 「罪のない人々を何千と殺せば、昇進だ。ところが、情事一つで、首を切られる。我が国の家庭倫理はこれ以上ねじまげようも無いだろうよ。」■
事の全体の本質は“Benghazi Cover Up”という一語に尽きると私は考えます。私がそう考える根拠もたっぷりあります。ベンガジ事件の翌日9月12日の、つまり事件直後のアルジャジーラやロイターやワシントン・ポストなどの事件第一報の記事では、アメリカのリビア大使クリス・スティーブンスを含む米人4名、リビア人警備員約10名を殺害した犯人グループはカダフィ支持者の残党であり、その総数は数十人にものぼったとも伝えられました。死者が一ダースほども出たのですから、負傷者も多数にのぼったと考えるのが常識でしょうが、アメリカ人が数人負傷したというニュースがチラと流れた後は、何も聞こえてきません。それらの記事は熱心に探せば、いまもネット上で見つかる筈です。しかし、その後は、NATO, USA, UN の力で隠蔽(cover up)され、何のことだか分からなくなったままで時が経って行きます。オバマ政府も何時までも黙りを決め込むわけにはまいりますまいから、誰かが断罪されるでしょうが、はっきりとカダフィの残党だということにはなりますまい。それを言えば、リビ作戦の輝かしい成功に泥がつきますから。ベンガジ事件の危機は強引に突破して、とにかく隣りのシリアを潰す?これがオバマ政権とそれを操る勢力が目指す所でしょう。ベンガジ事件の犯人たちを罰する行動はすでに進行中です。前回のブログに、「この10月(2012年)始めから、トリポリの南東約150キロの都市バニ・バリド(Bani Walid)に対してリビア政府軍は封鎖と砲撃を開始しました。戦闘は次第に激しさを増し、多数の死者負傷者の症状から有毒ガスなどの化学兵器の使用の疑いも報じられるようになりました。10月20日当りから攻撃は激化して、遂に10月24日にはバニ・バリドの陥落が宣言されました。」と書いた通り、根強く息づいているカダフィ支持者の残党に対する厳しい処罰行為は続いているのです。彼らはリビア国内では「緑の抵抗団(Green Resistance,アラブ語でTahloob)」といって、知らない人はないそうです。彼らの抵抗運動の報道は多数あります。
バニ・バリドの封鎖と攻撃で散々痛めつけられた人々の多くが黒人であることも注目に値します。カダフィ政府の熱心な支持者の多くが黒人であったことは、このブログでも何度か言及しましたが、英国のスカイ・ニューズの2012年10月23日の記事を一例として掲げておきます。その中に牢獄の中で黒人たちがカダフィのリビアの象徴であった緑の旗を無理に食わされるムービーがあります。
http://news.sky.com/story/1001431/black-libyans-bear-brunt-of-post-gaddafi-chaos
ベンガジ事件の真相は永久に判明しないかも知れません。これまでのオバマ政府の無茶苦茶な嘘つきぶりを見ていると、そう結論せざるをえません。私としては、今の時点で既にオバマ政府の“公式発表”には興味を失っています。リビア猛爆の直前に発表されたバイアグラ・スキャンダルのことを思い出して下さい。しかし、一つの予告の形で、私の願いを述べておきたいと思います。
リビアで米欧帝国主義勢力が行なった言語道断の暴挙がこのまま許される筈はありません。やがて、いつの日か、アフリカの大地に米欧帝国主義の墓標が立てられる時が必ず来ます。その時、リビアは米欧帝国主義の真の The Beginning of the End として世界の人々の記憶に甦ることでしょう。
藤永 茂 (2012年11月14日)
マスコミの報道を信じるとすれば、ペトレイアス氏の婚外不倫のストーリーは割に簡単です。ペトレイアス氏には結婚生活37年の妻がありますが、不倫の相手はPaula Broadwell という二児と夫を持つ39歳の作家で、『All In』というタイトルのペトレイアス将軍の伝記を本年1月に出版して既に評判の女性です。この情事についてFBIが捜査を始めたきっかけは、もう一人、ペトレイアス氏と親しい関係(家族的に)にあるJill Kelley という既婚の女性からの通報でした。本当かどうか分かりませんが、Paula BroadwellはJill Kelleyがペトレイアスと親密な関係にあるのを嫉妬して、脅し文句を含んだイーメイルを送って来るのでFBIに通報したという話なのです。Jill Kelley の方も胡散臭い女性のようです。
今からしばらくアメリカ人たちはこのスキャンダルをめぐって下らない議論をあれこれ展開するでしょう。アメリカの国家機密が漏洩した恐れはないのか、女性たちはスパイである可能性はないのか、婚外不倫を罰していたら切りがないのではないか、・・・ などなど。これらのマスコミ報道記事に対して、無数のコメントが寄せられていますが、中には当を得たものもあります。例を二つ。
■ Petraeus has killed tens of thousands of iraqis and other human beings. And now, he is told to resign because he had extramarital relations. 「ペトレイアスはイラク人や他の人間たちを何千何万と殺してきた。ところが今、婚外不倫の理由で辞職しろと申し渡された。」■
■ Kill thousands of innocents, get promoted.? Have an affair, get forced to resign. Could our family values be any more warped? 「罪のない人々を何千と殺せば、昇進だ。ところが、情事一つで、首を切られる。我が国の家庭倫理はこれ以上ねじまげようも無いだろうよ。」■
事の全体の本質は“Benghazi Cover Up”という一語に尽きると私は考えます。私がそう考える根拠もたっぷりあります。ベンガジ事件の翌日9月12日の、つまり事件直後のアルジャジーラやロイターやワシントン・ポストなどの事件第一報の記事では、アメリカのリビア大使クリス・スティーブンスを含む米人4名、リビア人警備員約10名を殺害した犯人グループはカダフィ支持者の残党であり、その総数は数十人にものぼったとも伝えられました。死者が一ダースほども出たのですから、負傷者も多数にのぼったと考えるのが常識でしょうが、アメリカ人が数人負傷したというニュースがチラと流れた後は、何も聞こえてきません。それらの記事は熱心に探せば、いまもネット上で見つかる筈です。しかし、その後は、NATO, USA, UN の力で隠蔽(cover up)され、何のことだか分からなくなったままで時が経って行きます。オバマ政府も何時までも黙りを決め込むわけにはまいりますまいから、誰かが断罪されるでしょうが、はっきりとカダフィの残党だということにはなりますまい。それを言えば、リビ作戦の輝かしい成功に泥がつきますから。ベンガジ事件の危機は強引に突破して、とにかく隣りのシリアを潰す?これがオバマ政権とそれを操る勢力が目指す所でしょう。ベンガジ事件の犯人たちを罰する行動はすでに進行中です。前回のブログに、「この10月(2012年)始めから、トリポリの南東約150キロの都市バニ・バリド(Bani Walid)に対してリビア政府軍は封鎖と砲撃を開始しました。戦闘は次第に激しさを増し、多数の死者負傷者の症状から有毒ガスなどの化学兵器の使用の疑いも報じられるようになりました。10月20日当りから攻撃は激化して、遂に10月24日にはバニ・バリドの陥落が宣言されました。」と書いた通り、根強く息づいているカダフィ支持者の残党に対する厳しい処罰行為は続いているのです。彼らはリビア国内では「緑の抵抗団(Green Resistance,アラブ語でTahloob)」といって、知らない人はないそうです。彼らの抵抗運動の報道は多数あります。
バニ・バリドの封鎖と攻撃で散々痛めつけられた人々の多くが黒人であることも注目に値します。カダフィ政府の熱心な支持者の多くが黒人であったことは、このブログでも何度か言及しましたが、英国のスカイ・ニューズの2012年10月23日の記事を一例として掲げておきます。その中に牢獄の中で黒人たちがカダフィのリビアの象徴であった緑の旗を無理に食わされるムービーがあります。
http://news.sky.com/story/1001431/black-libyans-bear-brunt-of-post-gaddafi-chaos
ベンガジ事件の真相は永久に判明しないかも知れません。これまでのオバマ政府の無茶苦茶な嘘つきぶりを見ていると、そう結論せざるをえません。私としては、今の時点で既にオバマ政府の“公式発表”には興味を失っています。リビア猛爆の直前に発表されたバイアグラ・スキャンダルのことを思い出して下さい。しかし、一つの予告の形で、私の願いを述べておきたいと思います。
リビアで米欧帝国主義勢力が行なった言語道断の暴挙がこのまま許される筈はありません。やがて、いつの日か、アフリカの大地に米欧帝国主義の墓標が立てられる時が必ず来ます。その時、リビアは米欧帝国主義の真の The Beginning of the End として世界の人々の記憶に甦ることでしょう。
藤永 茂 (2012年11月14日)
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/cia-60de.html
新聞で見かけることがありますが、ニュースによる教育、ニュースによって社会を勉強しようとする活動があります。生徒たちが切り抜きニュースを使って、社会や歴史の基本の仕組み、建前としての仕組みを勉強すること、それは、あるいは「あり」かも知れません。それを止める理由はありません。
しかし、そのような地点と、世界の現実、日本の現実、すなわち力(暴力と経済力)によって大魚が小魚を食い尽くさんばかりの世界を知る地点との距離があまりに大きく、若いひと(に限りませんが)に対してどこから話をすれば適切なのか、通じるのか、素材に使えるニュースがどこにあるのか、惑います。
その前段として、疑問を抱くこと、疑問を放っておかずに自分に課すこと、自分から解(のかけら)を求め続けること、そういうことを教える仕組みが教育のなかにあってほしいなと思います。
「David Petraeus の辞任: CIAは地対空ミサイルで旅客機撃墜の偽旗作戦でも計画していたのでは? #Stevens 領事がベンガジで殺害された直後に、旅客機の飛行停止勧告が発表された。 #DavidPetraeus の辞任は、この #FFO の隠蔽ではないだろうか?」