今年のCP+で郷秋<Gauche>が気になったもの。第三回、最終回です。
タムロンのフルフレーム対応大口径広角ズームです。何が凄いって、ニコン純正に真正面から挑むその意欲。ニコンにはAF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDと云うスペックも価格も弩級なレンズがありますがタムロンのSP 15-30mm F/2.8 Di VC USDにはニコン純正にはない手振れ補正機構が搭載されています。特に望遠系では有効な手振れ補正機構ですが、広角系ではそのメリットが顕著ではないために価格と重量、大きさの制約から搭載されないのが常識であった大口径広角ズームレンズに、タムロンはあえて手振れ補正機構を搭載しました。それでいて実売価格はニコン純正の半分です。これの果敢な挑戦を賞賛せずにいられるでしょうか。
サードパーティーのもう一方の雄、シグマが作る最新のArtシリーズもそのコンセプト、デザイン、質感とも素晴らしですね。それでいてリーズナブルな価格。先述のタムロン同様で、その光学性能については十分な理解があり純正と比較した訳ではありませんが、「美しいものは性能が云い」という経験則からすれば、タムロンもシグマも、「価格のわりには」と云うエクスキューズ抜きに、純正と互角に競えるだけの力を秘めているのではないかと思うのです。かつては、純正が買えないから仕方なく買ったシグマやタムロンでしたが、もはや光学性能とデザイン、価格を総合的に考えてあえてこちらを選ぶ時代に入って来ている、そんな気がした今年のCP+でありました。