【7日間ブックカバーチャレンジ Day:3】

 3日目の今日は、遠藤周作の「沈黙」。この本について多くを語れるほど未だに我がものとできないでいることを白状する。と云うことで、新潮社の純文学書き下ろし特別作品として刊行された時のケースに記された著者の言葉をここ転載し、本書の紹介としたい。

 「数年前、長崎ではじめて踏み絵を見た時から、私のこの小説は少しずつ形をとりはじめた。長い病気の間、私は摩滅した踏み絵のキリストの顔と、その横にべったり残った黒い足指の跡を、幾度も心に甦らせた。転び者ゆえに教会も語るを好まず、歴史からも抹殺された人間を、それら沈黙の中から再び生き返らせこと、そして私自身の心をそこに投影すること、それがこの小説を書きだした動機である。 遠藤周作」

 45年前、遠藤周作は当時大学生であった私が住んでいたのと同じ多摩丘陵の南端に位置する大学町の山の上に住んでいた。その証拠に私は大学町の居酒屋(たしか「薩摩」と云った)で二度、大蔵と云うラーメン屋で一度、出版社の担当者らしき方と飲み喰いしているところに遭遇している。今にして思えば話しかけてみれば良かったかと思ったりもするけれど、気心知れた編集者と飲んでいる時のそれは氏にとっては迷惑以外の何物でもなかったことであっただろうな。

 ちなみに「狐狸庵物」の中では「柿生の里」に住んでいるとされていたが、それはその名がいかにも草深い里の庵を思わせるからだろう。「柿生の里」は小田急線柿生駅周辺を連想させるが、そのようなわけで実際に住んでいたのは二駅先の町であったのです。

 「沈黙」遠藤周作著(第二回谷崎潤一郎賞受賞作品)新潮社刊 1966年3月30日初版(私の手元にあるのは1975年5 月20日発行の50刷)。現在は新潮文庫版で入手可。

#遠藤周作 #沈黙

【7日間ブックカバーチャレンジ】については7月17日掲載のblogをご参照ください。
#7days #7bookcovers #BookCoverChallenge

 横浜の住宅地に残された里山の四季の移ろいを毎週撮影し掲載しているblog「恩田の森Now」。ただいまは7月12日に撮影した写真を5点掲載いたしております。梅雨の晴れ間となった森の様子をご覧いだけたら嬉しいです。
https://blog.goo.ne.jp/ondanomori

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