火曜日に「これこそはサーキットを走った者以外には、実感をもっての理解は無理だろうな。」と書いたものだから、「郷秋<Gauche>さんはサーキット走行したことがあるのですか」とか「お前、そんなことしてたのか?」と云ったと云ったDMを複数頂いた。
はい、郷秋<Gauche>のマシンです。ただし乗っているのは次男坊。
中嶋悟がF1にデビューし、フジテレビが全戦中継するようになったのが1987年。その翌年にヤマハのSLライセンスを取得し、同じくヤマハのカートを購入してレーシングカートデビューを果たした郷秋<Gauche>なのでありました。
実際に走り出すまでの間に、当時はまだF3000のドライバーだった鈴木亜久里がカートの走行を解説したビデオを見たりしてコーナーのライン取りなんかを勉強したつもりだったけれど、そんなものは実際にコースを走ってみればすぐにわかってしまった。まさに百聞は一見にしかずで、実際に走ってみればどういうラインを取れば速いのか、すぐにわかるものなのである。
F1の中継では、よくタイヤのグリップ云々が云われるが、通常の乗用車のタイヤをベースに考えても何の事なのかまったく理解できないはずだが、SLクラスのコントロールタイヤであっても、コンパウンドが温まって、夏場などは実際にトレッドのゴムが溶けだしてグリップしだすわけだから、これも身を持って体験していれば、タイヤが冷えている、温まっている時のタイム差、マシンコントロールのしやすさなどはすぐに理解できる。
一般の路上で、コーナーの路面が濡れていたり砂が出ていたりで、思わずテールが「ズリッ」とした時には「逆 ハン(ドル)を切ればいい」などと云われるけれど、これを実際に公道上できる人は多くないはずだが、サーキット走行を経験すればすぐに出来るようになる。テールが滑りだしたのを自分のお尻で感じ、スピンするのを避けるために自然にカウンターステアを当てることが出来るようになる。
実際に公道上でこれをしたのは、プアなタイヤのレンタカーで雨で濡れていたコーナーにオーバースピードで入ってしまった時、一度だけだが、まったくスムーズにかつ落ち着いてカウンターを当ててコーナーをクリアすることが出来た。サーキットで速く安全に走るためにテクニックは、一般の路上での安全走行の為にも大いに役立つものなのであるし、コーナーで極端にスピードを落とさず安全に通過するためのテクニックは燃費の面でも有利なはずだ。
レーシングカートは、結局上の写真に写っているサイドボックス無のマシンに4年程乗り、サイドボックスが無いとレース出場が出来なくなると云うレギュレーション改訂に合わせてサイドボックス付のマシンに買い替えて5、6年、都合10年近く楽しんだかな。
今のF1ドライバーでレーシングカートを経験していないドライバーは多分、いない。レーシングカートは一見遊園地のおもちゃのように見えるかも知れないが、実はフォーミュラーカーの最底辺カテゴリであり、レースに必要なすべてはレーシングカートで学べると云い切って良い程の存在なのである。
実際に自分でマシンを購入するとなると確かにその敷居は低くないけれど、モータースポーツの他のカテゴリと比べれば格安かつ安全にフォーミュラーカーの走りを楽しめる訳で、ドライビングが上手になりたい、より安全で速いコーナリングを学びたい、あるいはF1ドライバーのドライビングテクニックを知りたい人にはお勧めのモータースポーツなのである。