唐松林の中に小屋を建て、晴れた日には畑を耕し雨の日にはセロを弾いて暮したい、そんな郷秋の気ままな独り言。
郷秋<Gauche>の独り言
廉価版の秘密 ―DSLRのレンズの話―
しばらく前に知人から「デジイチを買いたいのだが、何が良いか」と云う相談を受けた。
注1:「デジイチ」とは、ご存知の通り「デジタル方式一眼レフカメラ」のことであるが、この手の略語が嫌いな郷秋<Gauche>は「DSLR」を表記している。
子供の運動会の記録用だけならDSLRは必要ないこと、同じ記録にしても多少なりともカッコいい写真を撮りたい、更には趣味としての写真を楽しみたいのならばDSLRが良いこと、少しは腰を据えて写真に取り組みたいのであれば、プロユースに耐え得るカメラ(要するに超高級機=超高価格機)も作っているメーカーのものを選んだ方が将来後悔しないことを伝えた。つまり、Nikon(ニコン)かCanon(キヤノン)にしなさい、売れているのはCanonだけけれど、アフターサービスに対する満足度はNikonの方が高いようだと。
予算にもよるけれど、NikonのD60もしくはD90、あるいは間もなく発売になるD5000が良いのではないかとアドバイスした。D90は良いカメラだが女性が使うには少々思いし、D60で物足りなくなってから買い換えても良いのではないかと伝えたが、結局、セールで安かったからと云うことで彼はD90+DX 18-105G VRのレンズキットを購入した。
D60かD90かあるいはD5000かと云う選択肢は、ほとんど予算の都合で選ぶことになるわけだが、問題はレンズである。と云うのは、例えばD90のレンズキットだけでもレンズの違いで3種類もあるからだ。レンズは安いほうからDX 18-55G VR、DX 18-105G VR、DX 18-200G VRである。単品だとそれぞれ35,000円(税別・定価、以下同様)、65,000円、105,000円で、18-200はボディ価格にも近い高価なレンズである。
注2:「G」とはレンズ本体に絞りリングを持たないレンズに与えられた名称。カメラボディのダイヤルで操作するタイプで、この形式が現在のNikonの事実上の標準。これに不満を持つNikon信奉者も少なくない。
注3:「VR」とVibration Reductionの略でレンズ内に手振れ補正機構を内臓したレンズに与えられる名称。特に100mmを超える焦点距離のレンズの場合にその効果が顕著。
Nikonには実はこの他にも標準系のズームレンズが、3本もある。DX 18-70G(56,000円)、DX 18-135G(56,000円)、DX 16-85G VR(95,000円)である(実々は他にもあるのだが、割愛)。
上に上げた6本の標準系ズームレンズのうち、DX 18-55G VR、DX 18-105G VR、DX 18-135G(56,000円)の3本が性能の割りにリーズナブルな、郷秋<Gauche>が云うところの「廉価版」レンズである。リーズナブルなだけではなく、他の3本と比較して軽量に仕上がっている。性能が良くて軽くて安ければ申し分ないではないか。と云うことならば確かに申し分ないわけなのだが、安いのには当然訳がある。
この3本、実は鏡胴(レンズの外側の部分)と「マウント」がプラスティック製なのである。下の写真をご覧頂きたい。
右側がDX 18-70G、左側がDX 18-105G VRのマウント部である。DX 18-70Gはアルミ合金で出来ているが、DX 18-105G VRのそれは黒っぽいプラスティック製であることがお判りいただけるだろ。これが「廉価」の秘密なのである。
注4:「マウント」とは、カメラボディ(本体)とレンズの接合部のこと。DSLR(当然フィルム方式のSLRも)はボディとレンズを自由に交換して使うことの出来るシステムカメラ。これがDSLR(SLR)の最大の特徴であり、最も優れた方式のカメラと云われる所以である。Nikonが50年前に「F」で世界で最初にこのシステムを完成させた。)
注5:DX 18-70Gには「ゲタ」を履かせてDX 18-105G VRと同じ高さにして撮影時のピント面を合わせている)。
DSLR(SLR)はレンズを交換して使用してこそ、その性能をフルに発揮・活用することが出来るカメラである。撮影対象や状況に応じて頻繁にレンズを交換することになるわけだが、そこには当然のこととして「耐久性」という問題が生じてくる。主として磨耗による「ガタ」と温度による変形である。いずれもレンズをカメラ本体に本来の精度を維持して装着できなくなる可能性がある。
果たして何回の脱着を繰り返すと精度を維持できなくなるのかは不明であるが、素人でも金属のマウントに比してプラスティック・マウントの耐久性が大幅に劣ることは容易に想像できる。また、鏡胴とマウント以外にも、レンズ内部の部品においてもプラスティックが多用されていることも当然考えられる。リーズナブルで軽量で性能が良ければ万々歳なのであるが、そんな三拍子揃ったレンズを提供するために、耐久性が犠牲にされているのである。
しかし、そんな三拍子揃った「廉価版」レンズを選ぶのも悪いことではない。それはリーズナブルに高性能なDSLRとレンズを購入したいというユーザーには願っても無い組み合わせなのだから。そこで節約した予算で新しいプリンターを買うこともできるし、三脚やリモートコード、外付けのストロボを購入するのも悪くない選択なのである。
ただ、郷秋<Gauche>のお勧めはと聞かれれば、それはやっぱり正規版(プラスティック・マウントの廉価版に対する金属マウントレンズの暫定的な呼び方)をお勧めする。郷秋<Gauche>がこれから標準ズームを1本買うとすれば、白羽の矢を立てるのはDX 16-85G VRである。このレンズの何が良いのかと云えば、広角側が16mmつまり35mm換算で24mmから使えることである。ただしあと1万円出せばDX 18-200G VRが買えるほど高価格なのが玉に瑕。それと85mmより長いレンズがもう1本欲しくなるのが「玉に瑕々」。
注1:「デジイチ」とは、ご存知の通り「デジタル方式一眼レフカメラ」のことであるが、この手の略語が嫌いな郷秋<Gauche>は「DSLR」を表記している。
子供の運動会の記録用だけならDSLRは必要ないこと、同じ記録にしても多少なりともカッコいい写真を撮りたい、更には趣味としての写真を楽しみたいのならばDSLRが良いこと、少しは腰を据えて写真に取り組みたいのであれば、プロユースに耐え得るカメラ(要するに超高級機=超高価格機)も作っているメーカーのものを選んだ方が将来後悔しないことを伝えた。つまり、Nikon(ニコン)かCanon(キヤノン)にしなさい、売れているのはCanonだけけれど、アフターサービスに対する満足度はNikonの方が高いようだと。
予算にもよるけれど、NikonのD60もしくはD90、あるいは間もなく発売になるD5000が良いのではないかとアドバイスした。D90は良いカメラだが女性が使うには少々思いし、D60で物足りなくなってから買い換えても良いのではないかと伝えたが、結局、セールで安かったからと云うことで彼はD90+DX 18-105G VRのレンズキットを購入した。
D60かD90かあるいはD5000かと云う選択肢は、ほとんど予算の都合で選ぶことになるわけだが、問題はレンズである。と云うのは、例えばD90のレンズキットだけでもレンズの違いで3種類もあるからだ。レンズは安いほうからDX 18-55G VR、DX 18-105G VR、DX 18-200G VRである。単品だとそれぞれ35,000円(税別・定価、以下同様)、65,000円、105,000円で、18-200はボディ価格にも近い高価なレンズである。
注2:「G」とはレンズ本体に絞りリングを持たないレンズに与えられた名称。カメラボディのダイヤルで操作するタイプで、この形式が現在のNikonの事実上の標準。これに不満を持つNikon信奉者も少なくない。
注3:「VR」とVibration Reductionの略でレンズ内に手振れ補正機構を内臓したレンズに与えられる名称。特に100mmを超える焦点距離のレンズの場合にその効果が顕著。
Nikonには実はこの他にも標準系のズームレンズが、3本もある。DX 18-70G(56,000円)、DX 18-135G(56,000円)、DX 16-85G VR(95,000円)である(実々は他にもあるのだが、割愛)。
上に上げた6本の標準系ズームレンズのうち、DX 18-55G VR、DX 18-105G VR、DX 18-135G(56,000円)の3本が性能の割りにリーズナブルな、郷秋<Gauche>が云うところの「廉価版」レンズである。リーズナブルなだけではなく、他の3本と比較して軽量に仕上がっている。性能が良くて軽くて安ければ申し分ないではないか。と云うことならば確かに申し分ないわけなのだが、安いのには当然訳がある。
この3本、実は鏡胴(レンズの外側の部分)と「マウント」がプラスティック製なのである。下の写真をご覧頂きたい。
右側がDX 18-70G、左側がDX 18-105G VRのマウント部である。DX 18-70Gはアルミ合金で出来ているが、DX 18-105G VRのそれは黒っぽいプラスティック製であることがお判りいただけるだろ。これが「廉価」の秘密なのである。
注4:「マウント」とは、カメラボディ(本体)とレンズの接合部のこと。DSLR(当然フィルム方式のSLRも)はボディとレンズを自由に交換して使うことの出来るシステムカメラ。これがDSLR(SLR)の最大の特徴であり、最も優れた方式のカメラと云われる所以である。Nikonが50年前に「F」で世界で最初にこのシステムを完成させた。)
注5:DX 18-70Gには「ゲタ」を履かせてDX 18-105G VRと同じ高さにして撮影時のピント面を合わせている)。
DSLR(SLR)はレンズを交換して使用してこそ、その性能をフルに発揮・活用することが出来るカメラである。撮影対象や状況に応じて頻繁にレンズを交換することになるわけだが、そこには当然のこととして「耐久性」という問題が生じてくる。主として磨耗による「ガタ」と温度による変形である。いずれもレンズをカメラ本体に本来の精度を維持して装着できなくなる可能性がある。
果たして何回の脱着を繰り返すと精度を維持できなくなるのかは不明であるが、素人でも金属のマウントに比してプラスティック・マウントの耐久性が大幅に劣ることは容易に想像できる。また、鏡胴とマウント以外にも、レンズ内部の部品においてもプラスティックが多用されていることも当然考えられる。リーズナブルで軽量で性能が良ければ万々歳なのであるが、そんな三拍子揃ったレンズを提供するために、耐久性が犠牲にされているのである。
しかし、そんな三拍子揃った「廉価版」レンズを選ぶのも悪いことではない。それはリーズナブルに高性能なDSLRとレンズを購入したいというユーザーには願っても無い組み合わせなのだから。そこで節約した予算で新しいプリンターを買うこともできるし、三脚やリモートコード、外付けのストロボを購入するのも悪くない選択なのである。
ただ、郷秋<Gauche>のお勧めはと聞かれれば、それはやっぱり正規版(プラスティック・マウントの廉価版に対する金属マウントレンズの暫定的な呼び方)をお勧めする。郷秋<Gauche>がこれから標準ズームを1本買うとすれば、白羽の矢を立てるのはDX 16-85G VRである。このレンズの何が良いのかと云えば、広角側が16mmつまり35mm換算で24mmから使えることである。ただしあと1万円出せばDX 18-200G VRが買えるほど高価格なのが玉に瑕。それと85mmより長いレンズがもう1本欲しくなるのが「玉に瑕々」。
コメント ( 2 ) | Trackback ( )
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その分、耐久性とかは劣るのでしょうが、入門編としては十分なんでしょう。
>エントリークラスはプラ製(ポリカーボネイト)
ニコンで云えば中級機、つまりD80、D90までは(ポリカーボネイトかどうかは定かではありませんが)金属製ではなく広い意味でのエンジニアリングプラスチック製ですね。
上級機、つまりD200、D300(フィルム時代だとF100)以上がマグネシウム合金製になります。ここが中級機と、プロがサブ機として使うこともある上級機との境目になりますね。
コンパクトタイプはほとんどすべてがプラスチック製ですが、時にプロも使うリコーのGR DIGITAL IIはマグネシウム製です。ほとんど同じデザインなのにレンズにコストをかけ過ぎてしまったGX200はプラスチック製となります。実売価格は似たようなものでしょうか。
前置きが長くなりましたが、チョモランマに登るとか、サハラ砂漠を横断するとか、サーキットで600mmのレンズを振りますと云った使い方をしない限り、エンプラ製でもまったく問題は無いでしょう。
DSLRはレンズ交換をしてこそ意味のあるカメラです。ボディ価格を抑えて、その分でレンズをそろえるのが良いのではないかと思います。