人種的にも東洋人は白人や黒人に比較して反対咬合が多いということもありますし、乳歯の時期は歯並びがデコボコという歯並びの問題は少ないので、乳歯の時期の相談は反対咬合か指しゃぶりなどによる上顎前突(上の前歯の出っ張り)&開咬(上下の前歯がかみ合っていない)がほとんどです。
最近はマスコミなどでも取り上げられてご存知の方もいらっしゃるとは思いますが、3、4歳の幼児の反対咬合に対する早期治療でムーシールドという既製の装置があります。私も開発者の講演会なども聴いて検討はしているところですが、装置的にかさ張るので使えない患者さんがいるのと、治るのに期間がかかるため(1年前後らしいです)、気軽に導入できる分、結果の予知性がどうなのかな? と躊躇しています。
ムーシールドほど理想的には治りませんが、リンガルアーチという外せない装置を使えば、確実に上の前歯を前方に移動できますので、患者自身のがんばりは不要で、短期間(3か月前後)で改善が可能という利点があります。ですから保護者の方から治したいというご希望があれば、4歳以上くらいでしたら治療可能です。
ただし、下顎の発育変化は思春期まで続きますので、乳歯時期の早期治療は理論的には意味があるのですが、永久歯に生え変わって、顎の発育が進んだ段階でどうなっているか予測しづらいという問題点もあります。
「小児歯科臨床」という小児歯科業界専門誌の最新号に「反対咬合への支援のタイミングと治療時期を考える」という興味深い特集があって、現在読んでいるところです。
内容のエッセンスはまたお伝えしましょう。
これは、上の前歯永久歯の反対咬合でリンガルアーチを使用した患者さんの例です。
奥歯のバンドと裏側に沿ったワイヤーのみなので、相対的には違和感は小さいものです。
ふたつき子ども歯科 http://www3.coara.or.jp/~futam/
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