熟年の手習い

熟年老い易くチェロなり難し

レクチャー・コンサート

2009年08月04日 | コンサート

大盛況のオペラレクチャー・コンサートでした。
イタリア語の対訳をもらって、それをチラチラ見ながら歌とお話を聞く。

大野氏はピアノでオーケストラを表現し、指揮もし、お話をするので大忙し。
単に話すのではなく、真に迫った演技も一緒です。

たとえば、
「ここでガックリ膝を落とします。」と言った瞬間、
ド~~ンと物凄く痛そうな音で膝を着いて実演なさる。
そして号泣の場面。。。
(痛くて号泣できそう、というか心配でしたよ)

オペラの指揮者って天才だ!?
以前、ヴェネツィアのフェニーチェ劇場のゲネプロを見学したことがあります。
3~4時間くらいだったか、指揮者だけが出ずっぱりでそれぞれに注文を出していました。
その頃チェロとは無縁だったので、オーケストラとか興味が行かなかったです。
ただ、歌い手には、自分で歌って(美声でした)指示し、演技もして見せ、
立ちっぱなしでそれを延々続けても平気みたいなので、その能力と体力に驚きました。
元来イタリア人の体力はスゴイと聞きました。

屈強に見えないスマートな日本人の大野氏。
言葉も文化も違うヨーロッパで、オペラ指揮で活躍されているのは驚異的な偉業ですね。

だいたい、オペラの筋なり歌詞なり、やっぱり異国ものと思います。
とんでもないセクハラ男や、切れやすい男が登場し、女性はろくな目に合わず、残忍な結果に終わります。

ところが、しょーもないストーリーでも、名曲の数々で魅了されてしまいます。
作曲家も、いろんなテクニックで場面の雰囲気や、歌い手の心情を表現しているのですね。
様々なジャンルが結集して本気になると、妙なストーリーでも類稀な芸術になるわけです。ってこれはワタシの感想です。
スカラ座で、大野氏の師匠と病気前のホセ・カレーラスとの緊迫したクライマックスのエピソードも印象的でした。

熱弁、熱演、熱唱の数々、爆笑もありで、あっという間の2時間半でした。

ちなみに笑いでは、「椿姫」と藤圭子「新宿の女」細川たかし「心のこり」の~バカ繋がり~が最高でした。
どれもバカ、バカと2回繰り返して歌います。

■出演:
大野和士(お話、ピアノ)
天羽明恵、藤田美奈子、並河寿美(ソプラノ)
松本薫平(テノール)
井原秀人、泉良平(バリトン)
■演奏曲目:
ヴェルディ:「椿姫」より
“ああ、そはかの人か~花から花へ”
ジェルモンとヴィオレッタの二重唱
ヴェルディ:「リゴレット」より
リゴレットとジルダの二重唱
レオンカヴァッロ:「道化師」より
ネッダとシルヴィオの二重唱
“シルヴィオ!こんな時間に”
カニオのアリア“衣装を着けろ”