令和3年2月7日
朝日山は竹原市の北方にそびえる標高454mの山です。瀬戸内海の多島美の展望が楽しめる山で山頂まで車で行くこともできます。
わが会のガイドブック「コースガイド100」に登場する山で私が執筆を担当しました。
例会山行を実施しその後の登山道の状況も確認、歩かれる登山者のためにも役立つようにと計画しました。
今回の計画段階では広島県は新型コロナウイルス感染の緊急事態宣言が発令されかねないような危険な状況であり、「万一警報が発令されたときは中止」として会報に掲載しました。その後、感染状況も改善し、今回三密を守り実施することができました。
今日は天気も良く絶好の登山日和となりました。参加者は20名、内訳はJR組は12名、車組は7名、自転車組1名、竹原中学校で合流しました。
私は車で行き竹原駅の近所に駐車し9:01着の仲間を待ちました。知らない人もあり、テープに名前を書いて前後に張り付けていただき即席の名札としました。
今回の山行の学習目標は歩測です。自分の歩いた歩数で距離を知ることです。街中を歩くとき50mの歩測を2回、それに橋の長さを歩測で測ってもらう体験もしました。
竹原中学校で合流後、先ず準備体操で体を温め、コースの説明、注意事項等を話しました。
安全登山のため道迷い、転倒防止をお願いしました。
毎日の訓練を継続するためには、目標を持つことが大切であると話しました。槍ヶ岳に登りたいという人が多くありました。
それでは「今日はその槍ヶ岳に登るためしっかりと訓練しようと気合を込め、歩き抜きましょう」と気合を入れました。
山に入るまでの舗装道路、平たん道と坂道で2回歩測テストを実施しました。
何回も歩測を実施したのは今日の重要ポイントが山行中に250mで方向転換する箇所があるためです。
谷川の両岸には段々畑の石垣が残っています。その畔道も多くが崩れ歩きにくい。山の上まで何十段も続いてます。大正時代かそれ以前から食料を得るため営々と築かれたものです。急斜面、石ころや落葉で足元がおぼつかないところもありましたが槍ヶ岳登山への道と思い、スリップしないよう慎重に注意深く登りました。
(写真はぬかるんだ登山道に川原石を敷き詰める仲間)
川沿いの泥で抜かるんだ登山道では後続者のため河原から石を運び上げて歩き易くしてくれた仲間がいました。私の気持ちを理解してくれた仲間に感謝。ありがとう。
標高270m付近に立派な溜池があります。かなり大きな池です。この段々畑を維持するため大変な努力があつたことを感じざるを得ない。
溜池の上部より右側の尾根道に変更する位置に標識を設置しました。竹藪の続く尾根道で坂道の歩測を行う。歩数が1,5倍くらい増えることを体感する。
車道に出て再び登山道を登りますが若い松の木等が生い茂り歩きにくくなっていたのでのこぎり隊3名が先頭に立ち切り開いてくれました。残りの隊員は「ファイト、ファイト」と順番に声を出し最後の急坂を乗り越え頂上に到着、絶景の展望を楽しみました。
(写真は頂上の休憩所と瀬戸の展望)
昼食の後ツェルトの利用法を学習しました。緊急のビバークだけてなく、寒い時に暖をとったり、着替え、トイレにも使用できます。
これから後半のコースが今回の核心部です。
どちらの方向に進むべきか。地図と磁石で進むべき方向の見つけ方を学習しました。これを取得すれば迷うことがない。途中においても磁石で方位を確認して、進むべき方向に自信を持たれたのではないでしょうか。ここからはサブリーダーに実際にリードしてもらいました。のこぎり隊も藪を切り開き、登山道としてくれました。歩測と地形から現在地を探り出し、250mを歩測、予定通りのコースを行くことができました。
(写真は急峻な尾根道に安心の標識を設置しました。)
正解の細い尾根道に「コースよし、スリップ注意」の白い標識を設置しました。コースが間違いないことを確信すれば安心して下ることができ気持にも余裕が持てます。あとは急坂で転倒しないように注意するのみ。最後の分岐点、標高170mからは100m進んで100m下る、勾配45度の急斜面。登るのはたやすいが下るのは技術がいります。4本爪の軽アイゼンを着装。
(写真は安全のため急斜面に150mロープを設置しました。安全で早く降りれました。)
下見の折、一般の登山者も通行されるので道に迷わないようピンクのテープでマーキングをしたり、安全のため100mのロープを設置していましたが今回さらに50mを足して設置。麓まで安全に降りれるようにしました。スリップした人もありました。アイゼンが有効だという人もありました。この斜面が一番勉強になったという人もおられました。思い出に残る記念すべき登山となったという人もありました。指示を忠実に守り、全員事故なく無事に終えたことに感謝したい。軽アイゼンは氷結した登山道だけでなくこのような急斜面でも有効であると体験した。荷物にならないのでツェルトと共に持参してほしいものです。
[困難を克服することが楽しい。」とは登山の本質であり、これほどうれしい言葉はありません。
ともあれ、みじかな里山の登山でしたが記憶に残る山行となりました。