(一目百万のツツジの絶景)
令和5年5月6日から7日
昨年は飛鳥の東側「山の辺の道」を歩きました。
今年はワンランクアップし、西側の山脈、金剛山系の二上山、大和葛城山、金剛山を歩きました。
今回の見どころは私の好きな万葉歌に登場する大津皇子と大伯皇女の姉弟の哀歌の舞台となった二上山と鴨鍋が美味しかった葛城高原ロッジ、私が尊敬する聖林寺・国宝十一面観音菩薩像、昨年9月、耐震構造に改修された観音堂はどのようになったのか,十一面観音菩薩様はどのように安置されているのかという極めて私的願望の強い山行となり、普段の例会山行とは一味違う山行でしたが、山に行くレパートリーが広がったとご理解いただきました。
昨年の「山の辺の道」の時、予告していたこともあり、定員の13名はすぐに満杯となりました。会報発行時にすぐに満杯となり参加できないのは何事かとのご不満の声も聞かれたので宿舎の方と相談し25人分のお部屋を用意いただくことができ、参加希望者はすべて受け入れました。
大型バスに変更し22名で実施予定でしたが、直前にケガや家族の病気のため2名の方が不参加となりました。
高齢者となれば、本人や家族の事情によりやまにいくことができなくなる。
行ける時に行かないといけない、また山に行けることの幸せを実感した例会山行でした。
予定日は大型連休最終日この2日間のみ雨天の天気予報。
なぜこのように運がないのかと残念がったが実施日が近づくにつれ初日は昼間は曇り、夜間に
雨との予報に好転した。
これも皆様、「観音様のお陰」といってくれました。
第1日目
午前5時、JR福山駅2名乗車、5時20分南蔵王町オート観光にて18名全員乗車、
車中は一席一人でゆったり座れました。
はじめに行程の説明の後、各人の自己紹介、私の出演したNHKbBS番組[国立公園 2泊3日の旅」や中西進氏の現地に関連した「万葉こころ旅』を鑑賞、私の持論である『心無罣礙(しんむけいげ)」について話させていただきました。
(道の駅当麻で出発前に・・・1班のメンバー、ハイポーズ)
(2班のメンバー、ハイポーズ)
出発点ははじめはダイアモンドトレイルの「屯鶴峰」でしたが時間短縮のため「道の駅・当麻」に変更しました。
そこからは午前10時出発予定ですが予想された交通渋滞もなく8時50分に出発できました。
この順調さ、余裕を持って行動できることを確信、この例会山行の成功を確信した。
麓の二上神社から雄山まで標高差400m、約1時間の行程。急な階段が多いコースです。
先月このダイアモンドトレイル全コースを歩かれた会員方からはこの最初のコースが一番しんどかったといわれていました。
同行者の方にも最初の1時間辛抱すれば後は楽ちんと励ましていました。
実際は後半の緩いながら連続して続く階段、疲れていて足が上がりませんでした。
厳しいけれど印象に残る階段道でした。大変な費用を要した道です。裕福な財政力のある大阪だからできた立派な階段道です。
案の定こののぼりで体調不良者が出ました。休憩し荷物を分担、仲間の協力を得て克服し最後まで完歩することができました。
例会山行はだれでも参加できるので体力に大きな差があり同じように行動することは困難です。皆が歩けるスピードの調整が肝要です。
元気な方にはこの状態を想定しザックの大きめのものを持参するよう要請していました。
頂上の大津皇子のお墓の前で辞世の句を朗詠しました。
「百伝ふ 磐余の池に鳴く鴨を 今日のみ見てや 雲隠りなむ」
(二上山・雄山山頂にある大津皇子のお墓)
あとは雌岳に登り岩屋峠に下り、かって飛鳥から難波に行くため峠越えの官道、竹内峠到着、行動食をとる。まだ11時30です。予定より1時間早い。
天気も大丈夫。参加者を2班に分けていたので交互に先頭をリードしていただきました。
(長い階段の連続、大変ですがお金も大変。)
平石峠、岩橋峠、尾根道は峠で分断される。尾根道の後半は杉林と階段の連続。
(大和葛城山山頂、山頂に赤いポストがありました。)
16時15分、やっと大和葛城山到着。ゆっくり歩いたようでも予定通りの時間。
適切なペースでした。皆さんこのようなペースで標準タイムなのですね。安心しました。
風も強くなったので南斜面のツツジを見物「一目百万」といわれる絶景に皆歓喜の声を上げる。
このツツジを見るために来たのです。立派に咲き誇って歓迎してくれました。
私には別の思いがありました。
このツツジの光景。ここは近年人の手により作られたものです。かってのすすきの原を刈りはらい、大勢の人の努力により植えられたツツジが今このように実を結びました。
いまでも毎年ススキ等を取り払い維持のため努力されています。
植えていなければこのような光景はない。因果の法則はここになりたつ。
私は今、福山の熊ヶ峰に椿を植えております。
登山道整備をしている岩谷観音の道沿いには多くの椿が咲いております。
冬の花のない時期訪れる人に楽しんでもらっています。
ここ熊ヶ峰の道沿いにも椿を咲かせたい。多くの人に楽しんでもらいたいと椿の苗木や挿し木により増やしています。
いまこの風景を見て、熊ヶ峰の笹原がいつの日か椿やツツジの花咲く丘にかわる様が想像できます。
種をまけばいつかは必ず花が咲く。後世に残る仕事です。
すぐにお風呂に入り一汗流した後は待望の鴨鍋。
美味しいかも鍋に食が進みます。ビールも清酒もおいしい。話がはずみます。
大変な階段のことなど仲間内の思いが伝わり親睦が進みます。
平素の山行ではなかなか酒を酌み交わしての交流の機会はありませんから本当によかった。
その後は部屋に戻り二次会「反省会」をやりました。
各人がそれぞれの思いを一言主にならい発言します。あとは寝るだけですから気楽です。
いろいろな人の人柄を知り相互理解、親睦が深まりました。
外を見れば荒天、雨風強く木々が揺れ動いています。歩行中であれば大変でした。
これも観音様のお陰でしょう。
第2日目
朝6時、朝食のおむすびを食べ、しっかりと雨具を着用、出発。
今日の一番の難所は水峠峠への下り。
標高差500mあり最後が石造りの為滑り易いので注意を要します。
それからカヤンボまで舗装道の登りが続き、尾根道に取付きます。
若手(?)のリーダーは縦走部で鍛えられ健脚です。
高齢の私は汗だくだくなので、少しスピードダウンを要請、お陰で以降は汗をかかず楽にのぼれました。あとで楽とは楽しく登ることだときずきました。
(金剛山山頂標識、晴れていれば、大阪の市街地や湾の絶景が望めます)
道が平坦になれば金剛山・一の鳥居です。
(雨の中皆さんよく歩きました.葛木神社前にてハイポーズ。まだ桜花が残っていました。2週間くらい季節が遅いのですね)
いつもは大勢の登山者で賑わう神社境内も我々だけです
雄略天皇の狩場跡、葛木神社、転法輪寺を巡り、開いている建物の人間は登頂回数の集計係の人のみ、最高登頂回数が1万5千回以上とは驚かされます。何年要したのでしょうか
山頂広場の金剛桜、数輪ですが残って出迎えてくれました。
山頂標識の前で集合写真を撮り、休憩所で行動食をとり、動かないと体が冷えるので早々に下山開始しました。
郵便道の下りは雨水のため登山道が川のごとくまるで沢歩きのようです。
崩落個所も下見の時には通行禁止となっていましたが今回は警告板は撤去されていました。
標高差650mあまり、80分余り下るとそこはあの有名な高天原の伝承地の一つとされる高天原神社到着。
いつもは多くの車が駐車しているが今日は一台もありません。
大型バスは道が狭いので900m下の県道で待機しています。
12時ジャスト、大型バスに到着。
濡れた衣服を着替えるため男女交代で入れ替わり、着替えました。
大型バスだからできることですね。
乾いた衣類に着替えると本当にさっぱりと気持ちよくなりました。風呂があればよいのですがまだ次がありますから贅沢は言えません。
運転手さんも気を利かせて大型バスが入れるコンビニを事前に探し誘導してくれました。
以後は福山に帰るまでノンストップで帰るのでお昼と今夜の食事分を皆さんたくさん購入されていました。
(実物は撮影禁止ですから写真帳から転写しました。)
最後は十一面観音菩薩像のある聖林寺です。
聖林寺は大和盆地の東南端、談山神社に登る山道の傍にあります。
眼下に箸墓や山の辺の道、三輪山の山稜を望む丘陵地にあります。
藤原鎌足の息子、藤原定慧が父の菩提をともらうため点てた談山神社の支院として和銅5年(712年)創建されました。
私は聖林寺友の会の会員であり、事前に団体で参拝するので説明方をお願いしていました。
到着すると本堂に座席が準備され若い女性の僧侶が説明に立たれました。
先ずお寺の履歴を説明されました。
(本堂でご住職さんに説明していただきました。)
(聖林寺のご本尊の地蔵菩薩。安産祈願。大きな岩を掘って仏像に仕上げ、その後に周囲を建物で覆ったとのことです。撮影禁止の為この写真は写真集から転写しました。)
ご本尊は子安延命地蔵菩薩。243㎝もある大和随一の大きな石仏です。地面に直接接しているので水分を吸って仏像の色が天気なら白色に、雨が降れば黑色変わるといわれました。
次にビデオで十一面観音菩薩像の説明がありました。
それから耐震構造に改創された観音堂に移り本物の十一面観音菩薩像を拝観しました。
先ず、入口手前の前室で仏像を見ながら説明されました。
その後、いかにも重厚で頑丈そうな堂内に入り仏像を拝観しました。
8畳くらいの部屋の中央の特殊な四角の透明なガラスの中に安置されています。
仏像の劣化防止のためにこのようなガラス容器に入れてあるとのこと。
いろいろな国宝の仏像を見ましたがこのように空気まで管理され厳重に守られた仏像は見たことがありません
この仏像の高さは209㎝、ハスの葉の台座が40㎝余り,見上げるような位置にあります。
本来は背後につく光背が復元されればその高さは244㎝。そうなればさらに高くなりますから天井まで4m位の高さに建てられてゆったりとした空間が広がっています。
間接照明でとてもきれいに見えます。
何回も回って見物しました
「東洋のミロのビーナス」といわれる美しい仏像です。
言葉には表現尽くせない。ただ美しいとしか言いようがありません。
この世のものとは思いない美しさゆえに私も一目ぼれしました。
昔の人も同様でこの美しい人にほれ込み、このひとの言葉を信じたのでしょう
案内された住職さんの説明もありよく理解できました。
参加した仲間からもいろいろな質問が出されていました。
仏像は1300年前の当時のままであり、金箔の剥がれた個所も頂上仏の欠けた部分もそのままの状態である。
美しい仏像を拝観し心が洗われる思いでした。
皆さんも同様ではなかったでしょうか。
後で知ったことですが私が最初にこの寺を訪れたときは男性の住職さんでした。
今日説明された方が新住職さんで地元のメディアにも「美しい住職さん」として活躍されておられる有名人のようです。
あの時、集合写真でも撮っていれば良い記念になったのではと残念でなりません。
帰路のバスの中で皆様からいろいろをご感想を述べていただきました。
帰りも順調で予定通り、19時ジャスト全員無事に福山の帰りました。
皆様ご協力ありがとうございました。
会計係、記録係 各班のCL,SLさん、荷物を担いでいただいた方本当にご苦労様でした。