まほろば日記

fujioの日常の出来事、記録等を思いつくままに書いた日記です

安全はすべてに優先する

2013-08-27 22:28:07 | 日常
平成25年8月26日
例会山行の極印本谷沢登りの下見に行った時のこと。宿泊予定地の「西条少年自然の家」は取り壊され大きな橋脚が建設中でした。一体何事かと先に行ってみると道路が巨大な岩石で寸断され行き止まりとなっていました。(この道路は瓶ヶ森から東之川へ至る登山道です。)稜線まで優に200mもあろうかという山の斜面が滑り落ちて崩落しその大岩が東之川谷を埋め尽くしていた。岩海という言葉があるがこちらはそのような生易しいものではなく、大岩がごろごろと転がり荒れ狂う荒海のようなものすごく異様な光景に身の毛もよだつ思いでした。自然の驚異、人間の力の到底及ばない破壊力に圧倒されました。沢登り参加者の皆様にはこれを見て自然の猛威は到底人間の力の及ぶところではないと知るだけでも極印本谷に来た意義があると感じました。この夏の合宿で穂高に行かれた会員も多いかと思います。横尾の手前の林道が落石の危険があるとして通行禁止のバリケードが設置され河原に迂回路が設けられていました。あなたはどのように通行されましたか。50m余りの短い距離であり、落石も落ちていなかったので多くの人がそれを無視して通行されました。関係者が上部の様子を調べ落石の危険があるとして通行禁止にされたのでしょう。それをあなたの自己判断で危険を犯して通行する。落石の脅威を知っていればこのようなことに命をかける行動はとらなかったはずです。危険は排除すべきです。無事に下山して初めてその山行は成功です。いや無事に家に帰って初めて楽しかった登山といえます。万一事故でも起こせばその山行は失敗です。つらい気持ちにさせられます。私が本当にこの言葉を実感したのは阿蘇・鷲ヶ峰山行で悪天候のため撤退した時でした。泥壁の脆い岩場を下る時、どのようにしたら全員を無事に下山させられるかと思案しました。垂直の脆い泥壁、懸垂下降するにも確実な支点がありません。最悪の時にはザイルをフィクスして下降、そのザイルは放置してでも止むを得ないと決めました。ザイル1本2万円、2本繫いで4万円。でも命には代えられません。その決意で危機を脱しました。全員無事に生還したのですから、いくら遅くなろうとも、いくら夜道を歩こうとも気分は晴れ晴れとして爽やかでした。安全第一、安全はすべてに優先する。この言葉の意義を初めて実感しました。ベテラン登山者とはその山行にいかなる危険が存在するかを予測しその対策と手段を講じることが出来る人だと思います。穂高の稜線を歩く時にはヘルメットの着用をお願いしています。数年前、穂高山荘前の梯子のつけられた崖のところであと少しで安全なところに降りられたのにバランスを崩し、3mあまり転落した人がありました。頭部を負傷しヘリコプターで緊急輸送されました。奥様の「あなたー、あなたー」と叫ぶ声が今でも耳を離れません。ヘルメットを被っていれば命に別状なく単なる打撲で済んだことでしょう。岩稜での転落、落石の危険を考慮すれば安全のためにはヘルメットは必携です。不可抗力な事故はまずありません。必ず原因があります。それも大部分は人的なミスによるものです。自然は些細なミスも見逃しません。雪崩事故も不可抗力のように思われますが新雪、急斜面等雪崩の危険が高いときにはその斜面に入るべきではありません。安全を確保するために時間がかかっても回り道をするとか、止むを得ない時には被害を最小限に抑えるためひとりづつ間隔を採り通過するとか、でも安全を第一に考えれば命の危険を掛けてまで実行すべきではありません。安全が確保できなければお山のご機嫌がよいときにまた登らせてもらえばよい。命がなくなれば文字通り一巻の終わりでもう山には登れませんから。穂高のサイデングラードを下山中、我々のパーティに上部から男性が転落してきました。山側を歩いていたので跳ね飛ばされることはありませんでしたが崖側を歩いていたら跳ね飛ばされて転落し大怪我をしていたことでしょう。このような場所ではいかなる危険があるか平素から安全を考えていたから事故を防げたのです。万一落石もあるかもしれない。そのときはこのようにしようと考えていた人と何も考えない人とは対応が違います。「浮石かもしれない」 「掴んだ岩がはがれるかもしれない」 「足が滑るかもしれない」・・・。車の運転と同じく「かも知れない運転」を心がけ危険を予知して運転していれば対応力が格段に違い安全を確保できます。山行中に事故、怪我をすれば大変な手間と時間が掛かり、仲間にも迷惑を掛けることを知っていれば軽率な行動は出来ない。安全で慎重な行動を心がけるでしょう。
山行中に私がいつも心がけていることは、今ここで転落したらどのようになるかということを考えています。支点は大丈夫か、落下距離はどのくらいか、途中で止まるのか,グランド
フォールになり地面に激突しないか、振られて側壁に激突しないか、その対策を考えて行動しています。慎重いや臆病です。臆病だからこそ安全が確保されているのだと思います。
「安全はすべてに優先する」心に深く刻んでいただければ幸です。

肝心の先週末の極印本谷沢登り、雨のため中止しました。
この雨15日ぶりとのこと。よりによって週末のこの山行に重なるとは付いていません。
しかし山陰の方にはお気の毒ですがご当地の植物にはよい恵みの雨となりました。一気に涼しくなりました。
前線の上下に動く予報の確率は60から70パーセント。意外に難しいのです。
今回も外れるのではと期待したが予報どおり24日早朝から土砂降りとなり明日は四国に前線下がる予報でしたので大雨に沢は危険なので中止にしました。
焼き肉の食材も購入済であり午後から久松台の友人のガレージで全員集合して残念会をやりました。山行は中止となりましたが和気藹々と楽しい時をすごしました。また来年やりましょう。そのときはご機嫌よく登らせてくださいね。
(写真は対岸の付替え道路より崩落地の上半部を写す。下部は岩石が谷を埋め尽くしているが深くて見えない。)
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元宇品で海水浴す。

2013-08-18 00:13:59 | 日常
平成25年8月17日
今日は亡妻の命日です。亡くなって10年になります。まだ10年しか経過していないのか。このまえにはアメリカから親戚の方がこられ、妻と行った楽しかったアメリカ旅行を思い出したりしていましたから・・・時の経過を思わずにはおられません。
今日はこのお盆で初めての休日です。仏壇に向かい勤行し、亡妻の供養を済ませ、昼から気になっていた岩谷の観音さんの登山道の整備に出掛けました。段木の壊れたところを取り替えたり、すり減った段木の上に新しい段木を打ち付けたりして7箇所ばかり修理しました。連日の猛暑で汗だくだくになり、このところ肌が脂ぎっていたので子供の頃海水につかると「あせも」に効果があるとの言葉を思い出し久しぶりに以前行ったことがある元宇品の海岸に出かけました。今は陸続きですが元は宇品島です。この島は瀬戸内海国立公園に指定されています。全島クスノキ、エノキ、タブノキ等広葉樹の原生林に覆われ昼なお暗いほど樹林が生い茂り、島を周回する遊歩道が整備されています。魚釣り、ジョギング、散歩に多くの人が訪れ自然を満喫しています。この島のシンボルは白亜の宇品灯台と樹齢300年というクスノキの大木に象徴されるように緑豊かで自然がいっぱい残る島です。広島港を望む小さな砂浜で海に浸かりました。昔は海水浴場だったのですが,今は泳ぐ人は数人の静かな元海水浴場です。
船が通る度に大波が打ち寄せます。水温も程よい温度で冷たくはありません。波に揺られながら山でかいた汗を洗い流しました。白い砂浜、深い緑の原生林、白亜の灯台、波に揺られながら眺める心地は最高です。心が癒されます。山の緑の樹林もよいが海の水の蒼さも最高ですね。人の心を和やかにしてくれます。そのためでしょうか最近では海洋療法なるものがあり海水浴の効用も認められているとか。海水は末梢血管の血流をよくするとか、解毒作用、浄化作用もあり毛穴に詰まった皮脂や汚れを取り除く効果もあるとのこと。だから「あせも」や肌の脂分が除かれさっぱりするのですね。そのような効用があるのならここは組合事務所からも10分余りと近いので毎月でも海水浴や散策にきてみてはどうかなという気になりました。皆様も是非とも元宇品にいらっしゃい。いつでもご案内いたしますよ。
      (写真は小さな海浜より白亜の宇品灯台、原生林を写す)
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灼熱のお盆

2013-08-15 13:47:08 | 日常
平成25年8月14日
今年もまたお盆の季節が到来しました。
広島のお盆は色とりどりの盆灯篭がにぎやかにお墓を飾りご先祖様をお迎えします。
最近は安価で手間も要らない小さな板状の塔婆も増えてきましたがやはり盆灯篭が風情があっていいですね。しかし今年の暑さは異常ですね。8月12日高知の四万十市で41度の日本最高気温を記録しそれが連日4日間も40度を記録しています。日陰でこの気温ですから直射日光の下では50度以上になります。日向に出るだけでも汗びっしょりになります。先日朝でしたが荷卸作業を3時間もしたときには水を1リットル以上も飲み、汗だくになり、頭から水を被りました。この痛いような暑さなんと表現すべきでしょうか、酷熱、炎熱,焦熱、炎天・・・この暑さいつまで続きのでしょうか。何もせずクーラーの下に居たいですね。気温の測定法なのですが昔は白い木箱の百葉箱で測定していましたが今はアメダスの時代。電子温度計で測ります。地表は芝生で覆われ直接日が当たらないように通風筒の中に格納され、上部にはファンが取り付けられ常に外気が取り入れられる構造になっております。今までの最高気温は2007年8月16日、熊谷市と多治見市の40,9度、今回の最高気温測定地点は2年前に移設されたところで周囲道路は舗装され、観測地点周辺の芝生は枯れていたということですからわずか0,1℃の差ですから疑惑が持たれています。以前城陽市で最高気温が記録されたことがありましたが現地を確認すると計器につるが巻きつきファンが正常に作動していなかったため幻の記録となったことがありました。今回も気象庁の係員が確認に赴き問題なしとして認定されたようです。市は最高気温観測地、日本で一番暑い町として宣伝しイベントもやり観光に乗り出すようです。これで町が活性化するとよいですね。ご成功をお祈りします。
暑い暑いと騒いでいても季節は確実に進展しています。すでに早朝は爽やかで秋の季節の到来を感じさせます。しばらくは去り行く夏の暑さを惜しむことにしましょうか。
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穂高・屏風岩に登る。

2013-08-05 19:32:44 | 日常
平成25年8月1日~3日
今年最大の目標、いや登山人生最大の目標であった屏風岩に登りました。
アルパインクライミングを目指す岳人にとって屏風岩に登ることが最大の目標であり、山をやめる最後の時には是非とも屏風岩に登ってからやめようと考える人は多いと思います。
最初は前穂高岳の北尾根、次は北岳バットレス、その次は剣岳・八ッ峰六峰フェース、と年々レベルを上げてゆきました。昨年は剣岳のチンネ、そして最後の到達点は今回の屏風岩です。志を同じくする仲間達がいたからこそ今日まで頑張ってこられました。今日のこの日を迎えられ、感激を共有できたことを感謝します。今まで登った岩壁で難しいところは核心部といわれる部分でしたが今回はすべてが核心部の様な厳しい登攀の連続で、易しいところはテラスにいるときだけでした。タクシーの運転手さんの話によると今年は世界遺産に登録された富士山にお客様の関心が集まり、上高地に来る人が減り、おまけに週末のたびに雨天続きでお客様が少ないと嘆いておられました。このたびも前日に大雨が降ったとのこと。明日は果たして登れるのでしょうか。今回の屏風岩登攀は今までに比べ数段難しいといわれていたのでチンネが終わってからすぐに計画を立て、訓練を始めました。通常の登攀訓練だけでなく荷物を担いでのマルチの連続登攀訓練、アブミの使い方、通常ではやらない雨天時の登攀訓練、これは実際有効でした。今回のコースは屏風岩東壁、雲稜ルート。5,11C、7ピッチ。実際はこの取り付き地点まで3ピッチ登らなければならないので合計10ピッチのロングルートになります。屏風岩で最初に登られたクラシックルートで最も人気のあるルートです。当日は午前4時前 横尾出発。岩小屋付近で川を渡るのですが連日の雨のため水量が多く、まるで激流です。しかも水温は5から6度、氷水の様で痺れます。股下まで水があるので転倒防止の為靴をはいて渡るように指示された。これは足が滑らず安定して歩け有効でした。これこそプロの技です。
無事川を渡り、ルンゼをつめ、雪渓のある地点が取り付き地点。ここから2ピッチ登り、少し林間を歩き、1ピッチ登ったところがようやく雲稜ルートT4の取り付き地点。時折雨交じりの風も吹き寒い。ここから気合をいれ7ピッチも登らねばなりません。8時登攀開始。最初の1ピッチ目が50mもあります。疲れました。先が思いやられます。扇岩テラスで一息入れる。
つぎの3ピッチ目が核心部。ランクは5,11C、20m余りの垂直な岩壁。マルチルートのランクはその数字以上の困難さがあるとのこと。先生はフリーで登られたが我々は荷物を担いでいるし絶対無理。このピッチだけはアブミで登る。
あとの4ピッチは我々でも何とか登れるランクであるが昨日の雨と途中から降り出した雨で岩が濡れているので大変苦労しました。少しも気が休まりませんが雨天訓練の成果と自信で何とか登ることが出来ました。最後のボロボロの濡れた泥のルンゼも確実に支点を捉え無事に乗り越え、13時終了点の広場に到着、目標を達成しました。天候が悪いためか登攀したのは我々だけのようでした。ここまでの登攀で全力を出し切り、体力が残っていません。最近の傾向はここで終了して懸垂で下降するパーティーが多いのですが、わが先生のポリシーは「屏風の頭まで登って初めて屏風岩の登攀は完了する」との考え。ならば最後まで完遂し頑張ろうと気持ちを切り替える。ここから屏風の頭までの1時間30分余りの地獄のヤブコギののぼりが始まります。先生によれば昨年は2回もお客様のスタミナ切れで荷物を持たされたとのこと。我々は平素の訓練のお陰か予定より早く地蔵の頭に立ち感激を新たにした。下山路のパノラマルートは雪が残っており雪渓では安全を期してロープを出してもらい慎重に下りました。そのため大分予定時間を超過しましたが無事に涸沢に到着しました。(パノラマルートは未整備のため通行止めの表示が出されていました。)翌日 下山中に懐かしい屏風岩を眺めました。快晴で絶好の登攀日和でしたが登っているパーティはいないようでした。厳しいクライミングをする人は年々少なくなっているとのこと。記念すべき充実したクライミングが出来たことを仲間達とともに喜びました。(写真は下部をながれる梓川の対岸より東壁を眺める。下部中央のみどり部分がT4尾根でその上方が雲稜ルート)
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