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利尻山は若かりし頃、一家で北海道一周旅行の折、礼文島に立ち寄ったとき海上高くそびえる山の姿を見ていつかは登ってみたいと思っていた憧れの山です。
利尻礼文サロベツ国立公園に属し、深田久弥の「日本百名山」の第1番目に登場する山です。
ようやく1年がかりで計画した利尻山登山、悪天候のため完全ではなかったが何とか無事に終えることができました。
今回の登山ほどトラブル、紆余曲折のあった登山はありません。それらを乗り越えての計画でしたから感慨もひとしおです。すべては新型コロナウイルス感染拡大のためです。当初の計画は4人、6月12日から15日の予定でした。航空運賃を安くするため2月に早期割引切符を手配しました。航空機の乗り替え時間等を利用してメインの利尻登山のほかにも、稚内・宗谷岬観光、礼文島観光、札幌内観光も計画に入れ楽しむ予定でした。ところが4月7日、緊急事態宣言が出され移動が制限されました。北海道は特に感染者が多く、クラスターも発生しました。人が集まる行事や催物はすべて中止となりました。・また訪れる利尻、礼文等の離島からは、住民に高齢者が多いこと。医療施設がないことから感染拡大防止のため来島自粛の要請がなされました。不要不急の外出が規制され登山も自粛要請の対象となりました。感染が納まるまで計画を先延ばして9月25日から28日に順延することにしました。しかしながら、第二波の感染が拡大し、8月7日、家族への感染を避けるため、残念ながら3名の方が取りやめにされ、私の単独行となりました。旅行者の減少に伴い9月のダイア変更によりANAの広島から新千歳空港直行便が停止され羽田経由になりました。ハートランドフェリーも減便で礼文島観光ができなくなり、計画も見直しせざるを得なくなりました。その結果、時間が逼迫し、稚内や札幌、礼文島の観光ができなくなり、利尻島に行くだけの計画になりました。さらに悪いことに9月21日、台風12号が発生しました。週末に北海道に近づく予報です。飛行機が欠航するのでは、天候が一番心配です。多額の費用が掛かるので時期の良い時まで延期したらいかがですかとのお話もありました。が来年には別な計画もあり、高齢ですから先のことはわかりません。何事もなければ、いかれる時に行く、あえて予定通りに実行しました。
単独ですからすべて自分でしなければなりません。細かいことまで考えられるすべてにわたり考えました。登山も同じですが単独行は勉強になります。力が付きます。これからの貴重な指針となりました。
また記録を残すことの大切さも再認識しました。前回このコースをいかれた先達の記録が大いに役立ちました。今回の私の記録も次回行かれる仲間の貴重な記録となり、より充実した山行となることでしょう。
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旅行会社からANA便欠航の連絡がないのでと予定通り行くことにする。台風12号は昨日、温帯低気圧になり千葉県沖を北上中。北海道からするとまだ南方なので今日は大丈夫です。
朝5時過ぎ自宅を車で出発。飛行場近くの正広パーキングで6時15分の開門を待つ。6時30分広島空港に、直行便から羽田経由新千歳空港行きに変更になったので担当者が不慣れなめか手続きが出発間際までかかる。
おまけに手荷物検査が厳重で一番最後に乗りました。広島空港発7時35分ー羽田空港着が9時。乗り換えて出発時間が羽田空港発10時、新千歳空港着が11時35分。昼食を食べる。12時35分出発が新型コロナウイルス防止作業のため、搭乗手続きが10分余り遅くれて出発。現在ここ札幌は曇りですが仙台行きの飛行機は天候が悪く着陸できない場合はここに引き返すとアナウンスされていました。徐々に台風の影響が出ているようです。このANAの飛行機は小型のためか80%の搭乗率、6月1日~9月30日までの季節運航のようで通年ではJALの丘球空港便が1往復のみの様です。30分くらいすると利尻の島影が見えてきます。だんだんと近づくたびに次第に鋭く海上に突き出た三角錐の山姿が近づいてきます。あるのは利尻山の尖った山だけです。雲が消え快晴の空に見事な姿が浮かび上がつてきます。島の運動場のような狭い滑走路に無事到着。13時25分着です。降り立ち機外に出ると帽子が飛びそうになるほどの強い風が吹いています。迎えの車に乗ったのは3人のみ。風になびく草原の中を1本の道がのびる。人家も少なくTVの「北の国から」のような風景が広がり、一言でいえば「疎」という感じです。利尻島は一周60キロ程で島の大きさは日本で18番目くらいの大きな島です。石垣島と同じくらいの大きさ、身近なところで見比べると江田島・能美島の2倍くらいの広さです、人口は4374人、世帯数は2318世帯、江田島に比べ人口は十分の一密度ですから感覚は5%程度、如何に人口密度が少なくて「疎」であると実感していただけたでしょうか。ここ10年でさらに1000人余りも減少、過疎化が止まらないようです。午後2時過ぎ、白い洋館の「レラ・モシリ」に到着。受付の人に手土産で持参した『生もみじ饅頭」を渡す。食事まで時間があるので自転車を借りて鴛泊の町を見物する。このペンションは市街地の最上部にあり海岸まで約500m余り、坂道が続く、碁盤の目のようにきれいに区切られています。町の横幅は東側の町役場から西のフエリーターミナルまで約1キロ余り、建物もゆったりと間隔をあけて建てられていますから「疎」という感じです。早速に明日島内観光で使用するレンタカー「利尻レンタカー」を訪れ、契約しました。内容は一人ですから軽自動車、9時30分から15時30分の6時間。燃料込み。ナビ付、保険付き、事故の個人負担なし。金額1万1千円。港のそばにそびえる岩山,灯台山とも呼ばれる「ぺシ岬」(93m)に登りました。展望もよく、利尻山の姿も絵になりました。途中にこの地の警備にあたり非業の死をとげた会津藩士達の墓碑もありました。つづいて帰りに乗るフェリーターミナルを下見、売店でお土産物を品定め、そばの漁業組合のスーパーでもどんなものが売られているか調査、帰路、天然温泉・利尻富士温泉に入浴して帰りました。強風に、坂道のサイクリング良い汗をかきました。楽しみは夕食です。出てきたものは半身のホッケの焼物、白菜とカニの味噌汁、小鉢三品、コーヒーぜリーが出されおしまい。ちょっと話が違います。先回来た人の話では食べきれないほどの豪華な食事といわれたのに・・・後で電話すると、それは次の日に宿替えした「花りしり」さんの食事とのこと。
この宿のウリは「清潔な建物」と「山岳ガイドのオーナー、渡辺敏哉氏」数日前のNHKBS「にほん百名山・利尻山」に出演されていました。宿選定の基準が違います。「了解です。料理のことはもう書きません」 、
明日は天気が悪いとの予報、山の天気もですが帰る日の天候も気になります。フエリーが欠航すれば帰れません。また新たに航空券も買わなければなりませんから・・・
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ハートランドフェリーの運行情報は朝5時、ホームページ又はナビダイヤルで知ることができます。今日は朝の第1便は運行、午後便は運休とのこと。
外を見れば雨も激しく横殴り、木々も大きく揺らいでいる。窓から見える海岸も白い波頭が見える。
インターネットの「てんきとくらす」の情報では利尻山1500m付近 9時の情報では、登山指数:C,登山不適、気温:2℃、風:24m。
雨の中、この風速、体感気温はマイナス22度、厳しい登山状況だ。
今日、島内観光という選択は正しかった。
9時30分 レンタカーが来る。お土産が気になるので送らねばならないところには最初に購入して郵便局で郵送することにしました。酒屋さんでは「礼文島こんぶ焼酎」「純米酒・麗峰の雫」を購入、ターミナル売店が安いようなので利尻昆布で作られたラーメン、昆布、とろろ等を購入、ユーパックで2か所。小、中クラスで送りました。郵送料3800円、高いね、お届けるる日数も4から5日は要するとのこと。離島は不便ですねー。発送に1時間余り要しました。今から島内観光に出発します。雨はやんだが風は強い。道は良く、歩く人も無く、車も少ない。道路は海岸沿いですから風に要注意です。白波が激しく打ち付けています。
姫沼、オタトマリ沼、北海道銘菓『白い恋人」のパッケージに描かれた「白い恋人の丘」、奇岩の仙法志御崎公園、東風ですから島の西海岸になると風がややみ、波も穏やかとなりました。道路際にはたくさんの鳥居、神社があります。海の平安と豊漁を祈願するためでしょうか。北のいつくしま弁天宮を見物、いよいよお目当てはミシュランに掲載された「ラーメン味楽、一番人気は焼き醤油ラーメン」です。
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夕食の時。ガイドでオーナーでもある渡辺さんから言われました。「明日は、今日よりも天候が悪い。今日は曇りでしたが明日は一日中雨です。風も強いので登山は中止にしていただきたい。私はガイドであり、地元の山岳会の会長もしております。このような荒天で登山を認めたとなれば私の責任を問われます。中止していただきたい。明日4時の出発予定ですが暗いうちは危ないので7時30分の朝食を食べて明るくなり様子を見て考えてほしい。送迎できないので車は貸すから自由に使用してください」何のためにここまで来たのか。荒天は覚悟のうえです。これまで雨でも登っています。出発2日前にオーナーに「台風が来るけど登山可能ですか」とメールすると次のような回答がありました。「北東の風の場合、10m以上吹くと厳しいコンデション。私どものツァーでは風速15mの予報で中止。風と雨の場合は12mで中止です。」「登れない。」とは書いてありませんが天気予報からすると真意は「登れない」と理解しました。「私の責任」とまで強い言葉で言われると従わざるを得ない。途中の第一展望所くらいまで登り。11時30分には行動を中止して引き返すと話す。
登頂に必要ないと思われる装備、アイゼン、セーター、タイツを除いて準備する。
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9月27日
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朝5時、ハートランドフェリーの情報、今日は午前、午後とも全便欠航。荒れています。8時朝食を済ませ借用した軽自動車で出発。登山口の北麓野営場まで3,2キロ。8時7分着。広い駐車場、案内施設、バンガローのある立派な施設だ。雨対策も万全に整え、8時32分出発。3合目までは舗装道路で暗くても安全に歩けます。周囲はエゾマツ、トドマツの高木樹林帯で風音はすれど体感せず、雨も木々の樹冠に遮られ気にならない、登山道もよく整備され快調に高度を稼ぐ。5合目を過ぎるころから低木帯になりますが登山道は樹木にさえぎられ風の影響もありません。雨は降りつづき展望は全くありません。
一人なので歩数を数え、リズムをとりながら登る。3合目から4合目は複歩で約1100歩、5合目間は970歩、6合目間までは630歩、勾配が急になるほど歩数が減り、励みになる。
7合目をすぎたあたりで単独の下山者に出会いました。「頂上直下は風がありましたが大丈夫いけます」との言葉に勇気づけられる。私も予定どうり出発していれば同じように下山できたのに残念。ハイマツ帯に入り風と雨を感ずるようになる。8合目、長官山(1218m)を過ぎ、小さなピークを乗り越えると避難小屋がある。標高1232m、
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最後までやり抜くという気概に欠けたことが根本原因であることを思い知らされました。登るという気持ちがなければ登れない。下山路は雨のため川のようになっていました。午後3時、北麓野営地に下山。ふたたび天然温泉につかり体を温めて帰りました。万一、明日もフェリーが欠航すれば、雨、強風であろうとももう一度頂上を極めようと思いました。
9月28日 利尻よ、さらば。広島に帰る。
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今日は風も穏やかフェリーも大丈夫。これなら予定通り広島に帰れます。良かった。もう一つ良いこと。goーto-キャンペーンのお陰で宿泊費代が35%割引になりました。一泊分安くなりましたから大助かりです。そして出掛けにオーナーの渡辺さんと一緒に写真を撮りました。鴛泊港発8時55分だ。荷物を満載した大型トラックが続々と上陸する。建設機械や資材を積んだ車両も多い。島の生活の生命線ですから当然でしょう。
宿の方からフェリー後部の方に乗った方が揺れがすくないですとアドバイスを頂く。
乗客は手慣れたものでみんなごろりと横になり着くまで寝ておられました。私は甲板に上がり去りいく利尻の山を眺め心に留めました。
今日は昨日までとは打って変わり天候も晴れで波も穏やか、揺れることはありませんでした。
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稚内港は定刻通り10時35分着。稚内空港まではタクシーで20分余り、3900円でした。荷物検査で預けれボストンバックの重量が24㌔、それにのラーメンの箱で追加料金1500円かかりました。11時50分到着予定でしたが10分余り遅れ、搭乗も感染防止のためグル-プごとに分けられ間隔をあけての搭乗になり時間がかかりました。
新千歳空港では1時間余り時間がありましたので3階で海鮮丼を食べ、2階の広い買い物街で定番の「白い恋人」と北海道展のお店で干物の「ほっけの開き」等の海産物を買いました。
ホッケ等の海産物、鴛泊のスーパーでもありましたが送るにはクール便となり送料が高くつきますので、持ち帰るためここで買いました。
一般論になりますが利尻産は高いです。昆布もホッケもとろろ昆布も広島のスーパーに比べると倍以上の価格です。中には産地がアメリカ産とか単に北海街道とだけ表示せてあるだけのものもありましたが利尻の地元の人はスーパーでも広島の倍以上のものを購入していることになりますね。運賃の加算だけでしょうか。店がないのだから競争しないのですね。
ただお土産ですから、利尻産に価値があり、地元の商品を買って帰りました。
新千歳空港からは広島直行便はJALしかありません。荷持重量が4キロオーバーのため少しサービスされましたがラーメン1箱分として1200円支払いました。
結局ラーメン運賃2700円かかったことになりました。購入時に送れば日数は要しますが2000円ということでした。手間を考えれば送った方が楽でした。
15時発で17時広島着、わずか2時間とは驚きでした。今月はANA便が停止中でJAL1便と便数が少ないのでほぼ満席の状態でした。
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JAL室内乗務員の制服、今年の4月に変わったそうですが黒色のスーツにアクセントのスカーフ、センスがあり抜群の好印象でした。
今度の旅行で一番気になったのは天候。北海道は低気圧の墓場です。とくに北部は荒れます。帰りのフェリーが出るかどうか心配でした。欠航すればもう1日分の宿泊費と帰りの航空費が新たにかかります。それなら、はじめから1日延期の予定なら宿泊費だけで済みます。遠隔地ですから余裕のある日程は必要です。今回は1日予備を設けましたがもう1日追加し2日にすれば気持よく安心して楽しめたと思います。
NHKの百名山では、渡辺さんは利尻島の魅力としてカヤックを紹介されていました。美しい利尻の海の旅、利尻島に降る雨が森林に育まれ栄養豊かな伏流水となり海中で湧き出ている様子が紹介されて今いた。高級な利尻昆布も森により育てられています。昆布の森やウニも見たいものです。楽しみはいろいろあります。
情報は詳細に調べる、今回、ウニは6月から8月、漁期を過ぎており生ものは食べられませんでした。昆布は6月から11月です。9月上旬から10月まで港内でもサケが釣れれます。お客さんでサケ釣りに行かれて方もありました。釣り具はレンタル出来ます。
食堂は昼間だけの様です。ターミナルの食堂もあ運行時間が終われば終了、つかない時間帯は休業とのところもあります。とにかく人が少ないですから。
宿泊施設も食事か、サービスか内容をよく確認して決めましょう。
観光シーズン以外は休業のところも多いようです。
行程は利尻山登山、礼文島観光、利尻島観光の3日、できればもう1日海の観光、カヤックかサケ等の魚釣り。そうすれば晴天で確実に利尻登山ができます。
飛行機を利用した方が日程は確実です。万一、海が荒れフェリーが欠航しても飛べるようです。ただ現在は午後便なのでその日のうちに広島に帰れるかどうかは分かりません。
長々と長文となり申しけありません。終わりまで読んでいただきありがとうございました。利尻山登山で判らないことがあればご照会ください。ご返信します。
追伸
登山道もよく整備されていました。お礼の気持をこめて、利尻富士町に「ふるさと納税」をしました。
直接、利尻富士町役場に申し込むよりインタ―ネットで「ふるぽ」に申し込んだ方が有利とのことでした。
手続の問題なのでしょうか時代は変わりました。
以上