「遠野」なんだり・かんだり

遠野の歴史・民俗を中心に「書きたい時に書きたいままを気ままに」のはずが、「あればり・こればり」

まだ百専右衛門

2020-06-10 11:58:37 | 民俗

日曜日、ついに父親が生きた年数を越えました!これで目標のひとつ達成。

そういうわけでその前日、コロナとは別に、諸般の事情により自粛していた外飲み

 

久々に気が晴れた晩になりました!笑

さて、今年の折り返し月も第二週、何もかもが停滞ムードで、お祭りも中止ばかり。

年齢や学年で今年最後の参加予定の方々はやるせないでしょうね・・・

かつて、遠野まつりの郷土芸能共演が市街地のみになった頃、我が家の娘も最後の年で、

八幡様の馬場で踊らないまま踊り卒業となり、悔しい思いをしました。

と云うことで、

今月に入っても、まだ百専右衛門(ももせんうえもん)を追っています。笑

ここで若干のおさらいということで、

専右衛門は天明3年(1783)の生まれで嘉永2年(1849)に亡くなります。

まるで飢饉の時代を駆け抜けたような人生でした。

百専右衛門って何をした人?と聞かれると決まって云うのは、

運動公園のある辺りにため池を作り、農地開発した先駆者だよと。

そこで私が気になるのが、彼の回りに居た人たちの人間模様

 

趣ある門前を通ると百専右衛門が眠っていたはずの瑞応院

 

いたはずというのも、専右衛門緒用留書にここから戒名を頂いているとあるからですが、

本人の物だと明確にわかるお墓はなく、現在あるのはその家系の方々になるようです。

百の父親は綾織の高橋氏で、母親は松田氏

綾織高橋氏は丸に十六菊紋、又は菊菱紋だということはわかりましたが、

母方の松田氏がどこの松田氏なのかが、はっきりしません。

電話帳で松田姓を調べると、現在の市街地を除くと多いのは小友、綾織の順。

小友は秀吉の奥州仕置後に浪人となった江刺家臣の松田氏と、八戸から移ってきた

遠野南部の是川氏に従ってきた松田氏がいることはわかっています。

また、現在の人数は少ない附馬牛にも当初、会津系の松田氏が知行地を持っていました。

綾織は八戸から南部氏が来る以前は不明ながら、以後は、松崎、工藤、是川、四戸、

橘、宇夫方、及川、荒屋と多くの人たちの分割知行地だったようです。

その流れで、街中に松田氏が点在。では、松田氏がどのような家紋かと云うと、

 

瑞応院にあるのは剣花菱紋

 

附馬牛では剣花菱というよりは剣花角と抱茗荷

 

綾織では剣花菱

 

小友はというと、剣花菱の他に、橘

 

二引両

 

三柏

 

木瓜

 

笹竜胆

 

なんと種類の多いことか!小友にはルーツを異にする松田さんが多いようです。

百専右衛門緒用留書他の資料から、

百の母方の松田氏は宝暦(1750年代)には新町で佐藤屋として商売をしており、

寛政8年(1795)には六日町善左衛門の酒屋を引き取り、直支配の別家を出します。

また百の父方は高橋氏で寛政3年(1791)には一日市で吉里吉里善兵衛の株を引受け、

東屋として酒屋商売をしていました。

百と弟は佐藤屋で育てられ、そこで商売の修行のした後、父方の東屋を根拠地として

商売していくことになります。

 

我が家のさつきも見ごろ 笑

文政年間(1818~1830)母方の佐藤屋は、百兄弟も働いていた六日町の酒屋を人手に渡します。

相手は及川恒箇時治、小友の外山を開発した及川一族で、三河屋という屋号で、

商売を続け、菩提寺は瑞応院。

及川も松田も高橋も一族は遠野南部氏の家臣でありながら、商売もしていたようです。

 

瑞応院の及川氏、剣花菱紋です。

小友には宝永年間(1704~1711)に長男が遠野に出て酒屋を営み、次男が家を継いだ

という言い伝えのある松田氏がいます。蔦紋

その長男の家系だと思われる紋は剣花菱。予想した結果にはなりませんでした。

但し、百専右衛門から見えてくるのは、高橋氏も松田氏も及川氏も小友町に関わりある

一族だということです。

 

瑞応院の観音堂?

一日市にあった中川原観音を移したものだと遠野町古蹟残映には記されています。



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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
水無月 (掛け持ち人)
2020-06-10 18:59:46
お誕生日おめでとうございます!この間亡き祖母が消防の婦人協力隊に入っていた時に貰ったであろう分厚い本を見た際に笛吹さんが写っていました(笑)
岳早池峰神社例大祭奉納神楽、遠野まつりも中止何もかも自粛。このやり場のない気持ちを何処にもぶつける事ができないのが本音ですm(__)m
今の自分の楽しみは好きなアーティストの曲を聴いたりYouTubeで過去の神楽の映像見るのが唯一の救いですm(__)m
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Unknown (とらねこ)
2020-06-10 19:52:06
まだまだ高橋氏やら松田氏がもう少し継続というところですね。゜
実際に聞いてみると確かに・・・とか興味を覚えることでもありますね。
この分野、好きなところですし、かつてはライフワークにしようか?そんな分野でもありましたから。
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6月 (笛吹)
2020-06-11 08:30:30
掛け持ち人さんへ
ありがとうございます!人生区切の年代になりました。
分厚い本、私も持っています。笑
コロナ感染者ゼロの岩手ながら、何もかも中止ということで、本業にも支障が出ている今年。
八方ふさがりの様相になっていますが、芸能関係者の声に耳を傾けつつ、行先を郷土史に向け、
何とか気持ちを上向きにと頑張っています。汗

練習が再開したら教えて下さいね~!
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遠野関連 (笛吹)
2020-06-11 08:41:14
とらねこさんへ
公の場では遠野史再編纂が進められているということで、
新たな資料等も目にする機会も増え、
百専右衛門を切り口に、その周りに登場する様々な人たちの江戸時代の姿が見え始めてきたところです。
それと情報提供頂いた三翁昔話の高橋氏、確認してみたいと思います。

とらねこさんも、そろそろ如何でしょうか?笑
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 (姫猫)
2020-06-17 17:40:06
人生の大きな区切りの誕生日、おめでとうございます。
それにしても、好きですねー(笑)
お待ちかねの遠野市史ですが、本来では今年3月末発刊予定でしたが、残念ながら大幅に遅れているとの事です。
我家の家紋、丸に隅立て四目でした。
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家紋 (笛吹)
2020-06-17 18:03:54
姫猫さんへ
このタイミングでおめでとうは・・・。
市史は首を長くしても、待ちます。笑

姫猫家の家紋、話していたのとは、全く違いましたね!
自分の家紋ぐらいは覚えておきましょうねえ~!
ksuzさんも同じですが。
さて、姫猫家が、その紋だと、町中に居る同姓との関係が出てくるような気がします。
一緒にお寺廻りでもいかがですか?笑
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