陽だまりの旅路イスキア

あ、slice of life…日向香を感じる日々の暮らし…

墓園の萩

2023年09月25日 | nonoka

この週末、秋彼岸の墓参へ出掛けた

日射はまだまだ夏の名残を留めているが、やっと凌ぎ易い気温となった一と日。山間の墓園であるが、蜩も法師蟬もさすがにもう居ない。聞こえてくるのは昼の虫の声。さて掃苔であるが、お盆に草取りをしたのでそんなに雑草は生えていない。おかげで重労働にならずに済む。真夏に比べて秋の墓参はどんだけ楽か。

野萩が風に揺れていた。芒も穂をつけていた。秋らしい景にこころが緩む。野萩は名所の萩とは違って全然見応えもないし華麗さというか派手さは全然ない。しかし私はこの方がどことなく風情があって好きである。万葉の時代から愛されてきたのはこのような野の萩ではなかったか?

仏教伝来以前の日本人は、死ねば魂は渚や野山に還ると考えていたという。黄泉(よみ)と呼ばれる死者の国は里から地続きであった。野道や黄泉比良坂を歩いてゆける所にあったのだ。だから「野辺送り」という言葉もそういう概念から来た言葉だろう。つまり日本人は万物に神や仏が宿っていると考えていたのである。四季と共に暮らしてきた日本人が培ってきた死生観である。

ひょっとしたらこの野萩にも死者の魂が宿っているのかもしれない。

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