陽だまりの旅路イスキア

あ、slice of life…日向香を感じる日々の暮らし…

ミチクサ先生 逝く

2021年07月14日 | slow culture

日経文化面の新聞小説は「ミチクサ先生」
伊集院静さんの作である。
夏目漱石が主人公の小説であるが
正岡子規、高濱虚子、寺田寅彦なんかが
登場するので興味を持って毎朝読んでいる。

今朝の新聞でついにミチクサ先生が亡くなった。
大正五年十二月九日、午後六時四十五分
夏目金之助、享年四十九歳である。よって
連載していた『明暗』は、十二月十四日の
東京朝日新聞に掲載された第百八十八回をもって
終了となり、未完となっている。遺作である。

胃潰瘍の発作で嘔吐を繰り返して、大正五年
十一月及び十二月に大内出血をする。
脳貧血で意識は朦朧となっていたようだ。
またリュウマチだと思っていた身体の痛みは
教え子の診察で糖尿病と判ったという。

東大の職を棄てて朝日の専属小説家となった金之助。
相次ぐ人気小説の執筆で命を縮めたのかもしれないが
五十歳にもならない内の生涯はやはり何とも短い。
子規も肺を病み脊椎カリエスから三十四歳と
短命であったが、虚子は八十五歳と長命であった。

このミチクサ先生、挿絵のタッチが好きであった。
福山小夜さんと云う方の画である。
特に描かれる女性がとても美しいのだ。

「ミチクサ先生」は7月22日で完となる。
次回作は安倍龍太郎さんの「ふりさけ見れば」
遣唐使の物語であると云う。
安倍龍太郎さんはかつて日経で「等伯」を執筆。
日経好みの作家である。これも楽しみ。
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