やっと梅雨らしい空模様になってきた。
認定日なのでハローワークへ行く。
歩けばやや遠い距離にあるのであるが
徒歩で往復するとおよそ一万歩なので
贅沢をしてもいけんしウォーキングも兼ねて歩く。
途中であまり見かけない咲き様の紫陽花を見つけた。
縁取りのあるツートンカラーの紫陽花だ。
かつての女のひとのファッションで、こんな
白い縁取りがあるきれいなスーツを見たことがある。
あの70年の万博のコスチュームで見かけたような気も。
さて、午後の遅い時間帯もあってハローワークは
比較的空いていた。順番を待っている間
ラックにあった最新の求人一覧表に目を通す。
フルタイムとパートタイムの二種類がある。
年齢不問と書かれている求人はほとんどルートセールス
介護、警備、厨房、調理補助、データ入力事務などだ。
おっ!阪神高速道路料金所スタッフ募集もあった。
月10回ほどの勤務でシフト制である。
かつて、自分の携わってる仕事が虚業のように思えて
これでいいのかと疲れていた時期、真の労働とは
工員のような仕事ではないのか?と思ったことがあった。
今で言うエッセンシャルワーカーこそが、真に社会に
必要な仕事ではないのかと自問した時期があったのだ。
尻の青い頃の話であるが…。
黙黙と工程をこなして、終業のベルと共に終えて
帰りには独り安酒場で酒と冷奴で疲れを癒す。
そんなプロレタリアートに憧れた時期があった。
何の地位も所属もない無位無官の身となった初老の男。
ハローワークという社会の片隅で、若かりし頃の
そんなことを回想しながらどこか醒めている私。
厭な奴だな。それでもふと萩原慎一郎さんの
あの「滑走路」をもう一度読んでみようと思った。
きみのため用意されたる滑走路
きみは翼を手にすればいい 萩原慎一郎