平安夢柔話

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『源氏物語』の京都を歩く

2015-04-26 10:18:45 | 図書室2
 今回は、『源氏物語』の舞台を訪ねる本を紹介します。

☆『源氏物語』の京都を歩く
 著者=槇野 修 監修者=山折哲雄 発行=PHP研究所・PHP新書

内容(「BOOK」データベースより)
千年にわたって読みつがれ、今なお人びとの心を揺さぶる『源氏物語』。その主人公、光源氏や女人たちが見た平安の都の場景とは―。本書は五十四巻からなる長編のあらすじを丁寧に紹介しながら、ゆかりの寺社、庭園、風物を訪ね歩く。若き源氏が暮らした京都御所をはじめ、空蝉、夕顔、紫の上、玉鬘といった女たちとの逢瀬の場となった洛中、東山、北山、嵯峨野の名所へ…。小路から大橋、河畔、山々に至るまで、京都の風光には『物語』の気配が溶け込んでいる。カラー写真も揃え王朝絵巻が甦る源氏紀行の決定版。

目次

『源氏物語』の場景を訪ねる前に
第1章 冒頭巻の「桐壷」から「帚木」「空蝉」「夕顔」を読む(『物語』の時代背景と「京都御所」
若き源氏の恋と「京都御苑」周辺
源氏の女人彷徨と東山山ろくの寺社)
第2章 幼妻をえる「若紫」から失意の「須磨」「明石」までを読む(紫の君の登場と洛北の山寺
危険な情愛に溺れる若き源氏
源氏の光と影を映す洛外の地
『源氏物語』はどのように執筆されたのか
流離生活を余儀なくされる源氏の君)
第3章 復権の「澪標」から華麗な六条院の巻と「玉鬘十帖」を読む(政権に復活して権門家への道を歩む
『物語』の主人公が源氏の次世代に
「玉鬘十帖」にみる源氏の変容
加齢な六条院での愛の暮らし
玉鬘に悩まされる男君と女君)
第4章 『物語』の白眉「若菜上下」から次世代の巻と源氏の終末を読む(『物語』の最長編となる「若菜」の上下巻
「盈つれば虧くる」―たちこめる暗雲
光源氏の長大な物語の終焉)
終章 三世代目の巻々と「宇治十帖」の男女を読む(源氏亡きあと『物語』はなにを描く
宇治十帖と宇治の風光)

*なお、この本は現在、絶版のようですが、amazonでは中古品や電子書籍を購入できるようです。
 詳しくはこちらのページをご覧下さい。
 ↑のページからはこの本の内容、目次を引用させて頂きました。

 『源氏物語』のストーリーを追いながら、舞台となっている京都の寺社などを紹介した本。源氏物語を読みながら、京都のあちらこちらを旅行している気分になることが出来る1冊です。写真や地図も豊富でわかりやすいです。

 紹介されている場所は

 京都御所(雨夜の品定めなどの舞台となった)

 河原院跡とその周辺(夕顔が変死したなにがしの院のモデル。私はなにがしの院のモデルは千種殿だと思っているのですが、この説もしっかり紹介されていました。

 鞍馬寺(源氏が紫の上を見いだしたなにがしの寺のモデル)

 野々宮神社(源氏と六条御息所の別れの場所)

 清涼寺(源氏が造営していた嵯峨の御堂のモデル)

 仁和寺(朱雀院が出家後に住んだ西山の寺のモデル)

等々。

 その他、物語の直接の舞台にはなっていませんが、上賀茂神社、下鴨神社、清水寺、嵯峨の大覚寺、宇治の平等院なども丁寧に紹介されています。

 時には京都を飛び出し、住吉神社(明石の君と京に去った源氏が遭遇する場所)、石山寺(紫式部が『源氏物語』を執筆し始めたという伝説がある)、長谷寺(玉鬘と右近の再会の場所)も紹介されていました。

 また、『源氏物語』の成立過程や、作者複数説についても解説されています。
 私は「源氏物語」は基本的には紫式部が一人で書いたと思っています。しかし、成立過程で同僚女房たちが、「ここはこうした方がいいのでは」などと意見し合ったりして、多生他の人の創作も混じり、それを紫式部が編集した…という箇所もあったかもしれませんよね。特に玉鬘十帖や匂宮三帖などはその色が濃いかもしれません。

 それはともかくとして、この本を読むと、『源氏物語』のスケールの大きさ、舞台が今の京都市全体、さらには宇治や住吉、遠く須磨・明石、九州にまで及んでいることをひしひしと感じることが出来ます。
 そして、『源氏物語』の原文や現代語訳を読んでみたい、源氏物語の地理について、詳しく解説している本をもっと読んでみたい、さらには実際に京都に行って、物語の舞台を歩いてみたいという気持ちにさせられます。

 『源氏物語』の地理や歴史についての入門書として、この本は最適だと感じました。

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