平安夢柔話

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管理人えりかの趣味のページ。歴史・平安文学・旅行記・音楽、日常などについて書いています。

源氏物語享受の歴史の本

2009-10-22 21:08:06 | 読書日記
 このところ、文章がなかなか書けなくて、歴史記事の更新をお休みさせて頂いているような状態になっています。それどころか、最近は週に1回、しかも木曜日の夜にばかり更新していますね。毎日ご覧下さっていらっしゃる方がおられましたら、本当にごめんなさい…。

 実は、インターネットをつないでも、歴史以外のサイト(政治関連やスポーツなど)のサイトを見たり、動画サイトで音楽を聞くことも多くなってしまっています。でも、源氏物語関連の本は読み続けています。今日はそんなお話を…。

 最近、『源氏物語ものがたり(島内景二 新潮新書)』という本を読みました。
 この本は、源氏物語を校訂した藤原定家、「河海抄」を著した四辻善成など、『源氏物語』に魅せられた9人の男性を取り上げ、彼らと『源氏物語』との関わりを書いたものでした。青表紙本と河内本の違いとか、『河海抄』『花鳥余情』『湖月抄』とはどういう本なのかなど解説されていて、とても勉強になりました。

 それと同時に、この本を読んで『源氏物語』がどのように享受されていったかにもとても興味を持ち、『記憶の中の源氏物語(三田村雅子 新潮社)』をとても読みたくなってしまったのです。

 この『記憶の中の源氏物語』は、平安中期から近代まで、源氏物語がどのように読み継がれていったのか、つまり源氏物語享受の歴史の本で、昨年から気になっていた本で、mixiの友人からも、「えりかさんのように色々な時代に興味のある人は絶対にはまりますよ」と薦められた本でもあったので、少しお値段は高めでしたが、今年の5月に購入しました。でも、サイズが普通の単行本より少し大きめのA五判の上、500ページ以上もある厚い本だったので、読書のスピードの遅い私は、「これでは他の本をなかなか読めない」→「ブログの図書室の更新が遅れる」などと考えて、読むのを躊躇してしまったのですよね…。
 それでも、『源氏物語』がどのように読み継がれていったのかに興味を持っている今、読んでみたいと思い、読み始めたところ、これが面白い。「なるほど、そうなんだ~」とわくわくするような記述がたくさん書いてあります。

 例えば、『源氏物語』の『紅葉賀』に描かれた光源氏の青海波の舞いは、平安後期~鎌倉時代に天皇や院の五十の賀などで再現されていますが、ただの華やかな行事ではなく、しばしば政治に利用されていたようなのです。後醍醐天皇などは、青海葉を再現することによって、鎌倉幕府打倒計画をほのめかしていたようで、これにはびっくりしました。

 また、『源氏物語』をしばしば引用して書かれた『とはずがたり』の作者、後深草院二条について触れられた項目もあって、興味深く読みました。『源氏物語』を校訂した定家のお母さん、美福門院加賀は、「源氏供養」の目的で源氏物語の本を焼いていたというくだりも面白かったです。

 今は足利義満の部分を読んでいますが、このあと、戦国武将も『源氏物語』を政治的に利用していたという話も出てくるようなので、読むのが楽しみです。何しろまだ300ページ以上残っているので、いつ読み終わるかはわかりませんが、読み終わりましたら、「図書室」で紹介したいと思っています。

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