平安夢柔話

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徳川家康と三人の女 感想

2008-03-17 21:19:33 | 歴史雑記帳
 3月15日午後9時からテレビ朝日系列で放映された松平健さん主演の「徳川家康と三人の女」、見ました。従来あまり取り上げられなかった家康の二人の正室、築山殿と朝日姫にスポットを当てたドラマということで、以前から楽しみにしていました。ただ、三人目の女性は淀殿ではなくて阿茶局かお勝の方ではないかな?…と思ったりもしましたが、そこはまあドラマですから、あまりつっこまないことにしますね。

 ドラマの感想は…、一言で言うと、2時間ちょっとの短い時間にたくさんの内容を詰め込みすぎという印象を受けました。6回くらいの連続ドラマでやってもらった方が良かったかも…。合戦シーンが少ないことも戦国ものとしては物足りなかったですね。でも、家康や女性たちの描き方がなかなかおもしろかったので、そのあたりを簡単に書いてみますね。

☆家康
 このドラマは、家康が三方原で武田信玄に敗れたところから始まり、築山殿・信康切腹事件、本能寺の変、秀吉への屈服を経て、秀吉の死後に関ヶ原合戦が起こり、天下を取るまでの家康の姿を3人の女性と関わらせながら描かれていました。松平さんがどんな家康を演じるか楽しみでしたが、なかなか人情のある家康を演じていました。

 信長から切腹を命じられた築山殿を、最後まで助けようとしたり、病気になった朝日姫に薬湯入りのおかゆを作って食べさせたりするところなど、ホロリと来ましたね。

 ドラマで描かれる家康は、腹黒い狸親父というイメージが強いのですが、このドラマでの家康も、関ヶ原前夜ではそのような部分が少しあったものの、全体的には家族思い、家臣思いの人間的な武将に描かれていました。家康好きの方にとっては満足だったのではないでしょうか。そういう私も、家康は私の地元、静岡と縁の深い武将ですので、こういう描き方は嬉しかったです。

☆築山殿
 家康の最初の正室です。
 今川義元の姪であることを鼻にかけた高慢な女…というのが従来の描き方だったと思うのですが、このドラマでは、夫と子を愛する慈悲深い女性に描かれていて新鮮でした。

 ただ、信長が、築山殿と信康に唐突に切腹を命じていたので少々戸惑ってしまいましたが…。この事件に関しては、築山殿の病気を治した医者が武田の間者で、彼女は実際に勝頼と通じていたとか、築山殿と折り合いの悪かった信康の妻、督姫(信長の娘)が父信長に築山殿のあることないことを告げ口したとか、色々な説があるようですが、真相は不明なようです。

 このドラマでは、信康の優れた資質を恐れた信長の陰謀というような感じで描かれていました。そして築山殿は、徳川家を守るために自ら切腹してしまいます。以前読んだ本では、築山殿は遠江国で刺客に殺されたと書いてあったので「あれ?」と思いましたが、ドラマとしてはよくできた設定だと思いました。史実的にはかなり怪しいですが…。。

☆朝日姫
 家康の二番目の正室です。

 彼女は豊臣秀吉の妹です。秀吉の家康懐柔策のため、相思相愛の夫、副田甚兵衛と強制的に離縁させられ、家康に嫁がされた悲劇の女性です。このドラマでも、どこかはかない、影の薄い女性に描かれていました。「兄の道具になるのは嫌じゃ」というせりふが切なかったです。

 それでも、家康とは、短い間ながらも夫婦らしく幸せに過ごしていたと描かれていたところが救いでした。上でも触れたように、家康が薬湯入りのおかゆを自ら作って朝日姫に食べさせるところはなかなか良かったです。

☆淀殿
 浅井長政とお市の方(信長の妹)との間に生まれ、長じて秀吉の側室となり、秀頼を生んだ女性です。関ヶ原合戦の際、家康と敵対します。

 父を信長に、母を秀吉に殺された彼女は、天下人秀吉の子を生むことで自分が天下を取り、父母の無念を晴らそうと考えていた…と描かれていました。その周年はなかなかすさまじく、運命にもてあそばれたような所のある築山殿や朝日姫とは対照的だというイメージを受けました。最後に大坂の陣のシーンが少し映ったのですが、「終わった」という彼女のせりふが印象的でした。

そのほか、片岡鶴太郎さんの秀吉と、中村玉緒さんの大政所が面白かったです。秀吉は、いかにも農民から成り上がったという感じでしたし、大政所はしっかり者の田舎のおばあさんという感じでした。

 ただ、最初にも書きましたように、放映時間が短いせいもあるでしょうが、大事な歴史的事項がかなり省略されていました。小牧・長久手の戦もその一つですが…。この合戦は、家康と秀吉の対立を描く上で欠かせないような気がしますが、しっかりカットされていました。
 重要人物がたくさん無視されていたのも残念でした。淀殿を出すなら北政所も登場させて欲しかったです。また、徳川四天王のうち、酒井忠次と榊原康政が出てこなかったと思うのですが…。私の見間違いでしょうか。

 やはり、一昨年の11月~12月に同じテレビ朝日系列で放映された「太閤記」のように、家康の生涯も連続ドラマで取り上げて欲しいものです。

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