久しぶりに梨木さんの文章。
子供のころから本の虫だった梨木さんの日本語は鍛え方が違う。
繊細で情景がありありとしてかつ清流のように流れて無駄がない。
時々読めない漢字もある~~;)
こんな日本語の使い手になりたいと思う。
だけど日常の安易な言葉にうずもれて、すぐに素敵な単語や言い回しを忘れてしまう愚かしさに落ち込む日々だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/49/63/8e4509962e32d63d1c771f11fd6ab248.jpg)
題名の「海うそ」は海の嘘、幻つまり蜃気楼をあらわす言葉。
南九州の離島「遅島」を調査のために歩いた若いころ。
それは明治政府の「廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)」神仏分離令によって破壊された地元の仏教などの宗教施設跡を訪ねる旅だった。当時の悲劇を取り込んで埋め尽くすかのように生い茂る植物やそこに穏やかに暮らすいろいろな生い立ちを持つ人々。
が、それから戦争を挟んで50年後。観光地へと開発が進む遅島を見て愕然とする。
「自分はいったい何をしていたのか」と我に問いかけるが・・・
形あるものを求めてもすべては消えゆく。しかし、空(くう)はまた新たな何かを生み出す。
自然界の時の流れの中におそらく、確かな形を持ち続けるものはないのかもしれない。
だけど、人間はいろんな「経験」を「記憶」として留めることができるなあ。
そのリアルな記憶は人の寿命ととともに消えるとしても、
その思いは言葉によって次世代に語り継ぎ、共有できるものもあるようです。
登場する植物や動物の名前の多さは相変わらず圧巻。これをひとつひとつ調べるだけでもかなり物知りになれる。
梨木香歩 1959年 鹿児島生まれ
子供のころから本の虫だった梨木さんの日本語は鍛え方が違う。
繊細で情景がありありとしてかつ清流のように流れて無駄がない。
時々読めない漢字もある~~;)
こんな日本語の使い手になりたいと思う。
だけど日常の安易な言葉にうずもれて、すぐに素敵な単語や言い回しを忘れてしまう愚かしさに落ち込む日々だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/49/63/8e4509962e32d63d1c771f11fd6ab248.jpg)
題名の「海うそ」は海の嘘、幻つまり蜃気楼をあらわす言葉。
南九州の離島「遅島」を調査のために歩いた若いころ。
それは明治政府の「廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)」神仏分離令によって破壊された地元の仏教などの宗教施設跡を訪ねる旅だった。当時の悲劇を取り込んで埋め尽くすかのように生い茂る植物やそこに穏やかに暮らすいろいろな生い立ちを持つ人々。
が、それから戦争を挟んで50年後。観光地へと開発が進む遅島を見て愕然とする。
「自分はいったい何をしていたのか」と我に問いかけるが・・・
形あるものを求めてもすべては消えゆく。しかし、空(くう)はまた新たな何かを生み出す。
自然界の時の流れの中におそらく、確かな形を持ち続けるものはないのかもしれない。
だけど、人間はいろんな「経験」を「記憶」として留めることができるなあ。
そのリアルな記憶は人の寿命ととともに消えるとしても、
その思いは言葉によって次世代に語り継ぎ、共有できるものもあるようです。
登場する植物や動物の名前の多さは相変わらず圧巻。これをひとつひとつ調べるだけでもかなり物知りになれる。
梨木香歩 1959年 鹿児島生まれ