江戸糸あやつり人形

江戸時代から伝わる日本独自の糸あやつり人形。その魅力を広めるためブログを通して活動などを報告します。

難しいけれど

2013-11-07 23:22:26 | 劇評・他
あなた、非常識ね!
かなり強烈な非難だ。
言われてしまったら、なかなか立ち直れないかもしれない。
「そんなの常識!」
とは、よく日常会話で使われる。
でも、本当に常識なの? と思うことがままある。
常識とは難しいものだ。

「江戸絵画の非常識」(安村敏信著 敬文舎刊)
は、改めて常識を問うきっかけになった好書だった。
江戸絵画における13の常識を取り上げ、
果たしてそれが、本当に常識なのだろうかと疑い、
その常識が”生み出されていく”過程を探っている。
資料が少なく、推測の域を出ないものもあるが、
かといって直感だけに頼って言っているのではない。
丁寧に資料を探って、最大限の根拠を提示している。
そこに読み手を引き付ける面白さがある。

翻って日本の演劇を見ると、
常識に絡め取られている感じがして、
それ以来一歩離れてしまっている。
何の仕事も同じだと思うが、
常識と言われながら実は単なる思い込みにとらわれると、
新しいことは生まれない、
創造的な活動ができなくなってしまう。
思い込みかそうでないかは個人の判断でしかないが、
常識に疑問を感じるその感性は、
日常生活の中で育てていくしかないのではないかと、
私は思っている。閑話休題

江戸時代に関する本を読んでいて、いつも気になるのは
「江戸」と一括りに言っているけれども
江戸と、京や大坂では大いに違うこと、
それがごっちゃになっていて、良く分からなかったりする。
この本は、そこのところをはっきりさせていて、
その意味でも面白かった。
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