江戸糸あやつり人形

江戸時代から伝わる日本独自の糸あやつり人形。その魅力を広めるためブログを通して活動などを報告します。

1年を振り返って

2009-12-31 15:58:22 | 人形について
今年は2月と10月に自分の公演を持ったうえ、新作を2本も作ることになって
1年中事務仕事か縫い物に追われた1年だった。

今年は不況の影響を受けて相当に暇だろうと覚悟していた。
だから2月の公演が終わってすぐに、「かっぽれ」と「酔いどれ」の衣裳を
新しく縫い始めた。
だから尚のこと1年中縫い物をしていた感覚になっている。

人から芸術祭を勧められたのも今年の初めだった。
丁度30周年で、何か節目の年に節目になることをやろうかと話し合って
いたので、参加するならば今年しかないと思った。
全く賞に縁のない人間だから、30年やってきたことは何か、捉え直す意味で
この公演は正解だったと思う。
まず自分はどのように人形を遣っているのか、確かめる作業を今年の初めから
やってきた。
お客さんに甘えて、随分好い加減な人形を遣っていると、つくづく思った。
一つ一つ気づいた事から直していくうち、何か根本的に誤った認識をしている
のではないかと思うようになった。
「人形の表情がこまかいのですね」「すごいですね」
と褒められる事があるが、おだてられないように気を引き締めてと思いつつ、
実はそれらの褒め言葉に甘んじている自分があったような気がする。

「人形は遣わなくてはいけない」
人形に教えられる事があるといったときに、師匠に言われた言葉だ。
10年ほど前だが、その時は自分の先にはそういう世界がある、と思っていた。
ところが今は違う。
人形は遣ってはいけないのだろう。
遣う意識のないまま、もしくはそれを越えて人形が動いたらと、
そう思うのである。

10月の公演が終わって、人形を遣う感覚が変わった感じがする。
それがどう違っているのかはわからないし、
また折角つかみかけたのに、今は薄れ始めているような感じもする。

今後どうなるのかは分からないけれども、
「節目」という意味で、今年は良い年だったと思う。
これまでがそうだったように、これからも変わらず一歩ずつ歩んで行きたい。

本年もお陰様で無事大晦日を迎えることができました。
来年もどうぞよろしくお願い致します。
そして皆様にとって良き一年でありますよう、心よりお祈り申し上げます。
コメント
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