「ビブリア古書堂の事件手帖」その2、漸く廻って来ました。
物語の主人公は北鎌倉駅付近で、老舗「ビブリア古書堂」を営む栞子さん。初対面の人とは満足に口もきけないほどの人見知りで、接客商売には向いていない人柄ですが、古書の知識は並大抵ではなく、本には人一倍情熱を燃やす、若き女性です。もう一人の主人公が、物語の語り手の俺・五浦大輔。”俺”は一度「ビブリア古書堂」を辞めてしまいましたが、故あって又でここで働き始めています。
その2で登場する古書は『時計じかけのオレンジ』(アントニイ・バージェス著)・『名言随筆 サラリーマン』(福田定一著)・『UTOPIA 最後の世界大戦』(足塚不二雄著)です。その1と同じように、これらの古書にまつわる謎が姿を現し、栞子さんの博識がこの謎を解き明かしていきますが、前作と違うのは、解き明かされていくことがらは、大輔君と栞子さんの過ぎ去った日々のことであったり、栞子さんのお母さんのことであったりで、謂わば身うちの過去が明らかになっていきます。
この作品は”ミステリー”なのでしょうが、殺人事件も起らないし、刑事も登場しません。謎につられ物語にぐいぐい引き込まれて行きます。俺・大輔は栞子さんに密かな恋心を抱く一方、栞子さんは大輔君に好意を抱きつつもそれが異性としての好意か否か、未だはっきりしません。その1よりその2で二人の間柄はより親密になった様に感じられますが、今後どうなっていくのか、この物語のもう一つの謎です。兎も角、読後感が爽やかな物語です。
『名言・・・』の著者福田定一とは司馬遼太郎の本名であり、『UTOPIA ・・・』の作者足塚不二雄は藤子不二雄のデビュー当時のペンネームであることなど知りませんでした。それ故希少価値があり、高価な値段で取引されるなどの古書にまつわる話も初めて知った事柄です。
さて「・・・事件手帖」には古書が登場し、そこを出発点にして事件が繰り広げられるのですが、この「・・・事件手帖」そのものから、全く偶然にも明らかになった私的な話を付け加えます。
7月10日(火)、中学校に到着した私が「・・・事件手帖」を机の上に置くと、前の席のA先生(後に司書さんとわかるのですが)、その先生の後ろのO先生も「・・・事件手帖(その3)」を読んでいる偶然に驚いて、「・・・事件手帖」読者二人、O先生と私の間で会話が出来る機会を作ってくれました。「私のは文京区の千石図書館で借りた本です」と語ると、O先生曰く「私もよく図書館に行きますが、私は本駒込図書館利用です」と。なんと”隣”の図書館同士でした。そこから二人の住まいが500メートル以内にあることも判明。小説に登場するお話の様な展開です。まだ慣れない勤務先で、会話の切っ掛けとなった「ビブリア古書堂の事件手帖」とA先生に感謝!
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