4月6日(土)、”かたりと”の公演が行われた会場の「昭和の家」(平田邸)は旧日光街道沿いにある。東武伊勢崎線「竹ノ塚駅」で下車し、旧日光街道を歩いて20分ほどで会場到着。公演スタート前にも家の内部を見学した。
昭和14年に、金属加工業を営む平田源七によって建てられた洋館付きの和風建築。最近、国登録有形文化財に指定され、現在も、源七のお孫さん一家が利用していると言う。(写真:正門入口)
(外から見る洋館部分)
公演終了後、そのお孫さんの平田さん(お名前は失念しました)が挨拶に立った。普段は公開しないプライベートな空間も、ご案内しますとの事。その後「杉並たてもの応援団」の方が、この家の重要ポイントを解説して呉れた。それまでの和風建築との大きな違いは中廊下の導入にあるという。それまでの日本家屋は大家族対応住宅で、誰でも、部屋から部屋へと自由に移動できる為プライベート空間が無かった。が、中廊下を設けることにより、廊下の片側に客間・台所・トイレなどを配置し、反対側に、個人の部屋などを配置した。その結果、廊下伝いに直接プライベート空間に到達出来る様になったので、個人の意識が芽生え始めた時代の雰囲気にマッチして、以後この様な建物が人気を博する先駆けとなったとの説明に納得。(中廊下)
解説終了後、邸内を見学。玄関・居間・応接間・大広間・縁側などを見学。ここの庭に咲く枝垂れさくらが見事だそうだが既に散り、雨も降り出して来たので中庭はカット。玄関脇の応接間は洋風で、大広間の和室は書院造りと、全体としては和洋混淆の建物。特に和室はオープンスペースとなっていて、不定期のコンサートや展示会が開かれ、「高瀬舟」の語りの会もその一環。至るところで、職人の華やかな手仕事の数々に出会った。素人の目にも建築技術の高さが窺える。レトロ調は、見る機会が乏しい故か、それとも懐古趣味が為せるのか、何故か懐かしい。(写:和室とその向こうの中庭)
(凝った飾り)
(洋館の応接間)
(中庭を鑑賞出来る部屋も造られている)
(雨の中庭)
見学後、歓談の場が設けられ、お茶と桜餅が供された。美味しい桜餅もさることながら、おもてなしの気持ちが嬉しく、周りの方々との会話が弾んだ。横との繋がりが広がる貴重なコミュニケーションの場。数人の方と顔見知りとなる。
”かたりと”次回公演は、6月22日と23日。内容は池澤夏樹作「鮎」。場所は西荻窪にある、有形文化財一欅庵(いっきょあん)。
夕方から強風に見舞われるとの予想の日、帰りを急ぎ、バス利用で竹ノ塚に戻り、帰路についた。(写真:供された桜餅とお茶)