マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

『遠い唇』より「ビスケット」

2016年11月28日 | 読書

 『遠い唇』は読んだ後、妻に回しました。妻は最終章「ビスケット」の謎解きに源氏香が使われたことに触発され、『源氏物語通信No92』に源氏香と「ビスケット」について綴っていました。今回は、そこに登場した文章をそのまま拝借(本人の了解済み)しました。要するに、他人の褌で相撲を取る訳です。 

 <源氏香というものがあります。香道での遊びで、嗅覚だけでなく記憶力も試されます。ご存知の方もおつきあいください。 







  江戸
時代以降のものだそうです
 
1回の勝負において、5種類の香(ABCDE)を5包み用意します。(以下の図で右から1回目・2回目・3回目・4回目・5回目です)
 右図は
帚木 5回とも、違う香を焚きます。右からABCDEです。







 若紫 12回がA34回がB5回がCを焚きます。ABCをそれぞれDEAとしてもよろしいでしょう。






 
初音 例えば1回がB24回がD35回がEを焚きます。







 数学で「組合せ」に属することだそうで、それによると52種類(注1)の組合せがあり、源氏物語54帖に合わせられました。「桐壺」と「夢浮橋」は除きます。
 
デザインとしても面白く、着物の模様等にも使用されています。
 この源氏香を使った推理小説があります。
 作者は、北村薫でデビュー作からずっと読んでいます。心が穏やかになる作品が続いています。その最近発行の『遠い唇』から。
 
 
「ビスケット」
 NHKの『探偵Xからの挑戦状!』シリーズの原作でもあるそうで、だから、この作品中唯一の殺人事件の謎解きです。 
 被害者のダイイングメッセイジが、右手の人差し指、中指、薬指が、三本ぴったりくっついている。親指と小指は左右に開かれ、要するに、≪131≫という恰好になっている。
 被害者は、アメリカ人の客員教授のトリリンさん。「日本語もペラペラで」、「伝統文化ならーーー茶道、華道、香道。なんでも興味を持って」いた。こう書かれていますから、香道→源氏香に繋がるのは、知っている人なら一直線でしょう。被害者発見の前に、関係者はアルファベットのビスケットをつまみながら、お茶をしています。

 
さらに、同僚教授村岡さん・関屋さんから、トリリンさんの語った、ダイイングメッセイジのことが出てきます。Vサインに薬指を立てて≪こうすればWサインだ≫、そしてあの≪131≫の手を見せて、Mだと言ったとも。そして、名探偵が登場し、関係者に竹河さんはいないか?という問いからパソコンがめでたく下記の源氏香図を指摘してくれて、落着です。(右:関屋。下:竹河)

               
 現代は、名探偵の脳の働きを機械が代用する、名探偵が生きにくい時代なのだそうです。
 そういえば、日本の囲碁ソフト戦は、趙名誉名人が21敗で勝たれましたね。>

 数学の「組合せ」から見た源氏香については、(注1)を中心に、次回私が綴ります。数学嫌いな方もおられるかと思いますが、出来ればおつきあい下さい。