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【ネタバレあり】塚口サンサン劇場「君たちはどう生きるか」見てきました!

2023-08-03 23:16:07 | 映画感想
 ようやく体調が回復してきた……とは言えませんが、食料の買い込みやらなにやらがあるので外出せざるを得ないのならこの機会にということで、見てきました今年最大の謎の作品!
 
 
 わたくし人形使いは前情報ほとんどなしで映画を見に行くことが珍しくありません。しかし本作は、現時点でも予告やトレーラーは一切なし、パンフレットすらも販売されていないという情報統制によって本当に情報がポスターだけという状況。そのポスターにも本編の画像は一切ないので、本当にポスター以外の情報源がまったくない状態で見に行くことになりました。事前情報がこれだけ少ない状態で映画を見に行ったのはこれが人生初だと思います。
 下手すればアニメがどうかもわからない状態で見に行ったので、上映開始の瞬間はかなりドキドキでした。
 漏れ聞こえてくる声からは、「ポスターの鳥はちゃんと出る」「宮崎駿監督のすべてが詰まってる」「塔が出る」「評価が難しい」などといった感想が読み取れたので、作家性の非常に強い、もしかしたら「ホーリー・マウンテン」や「ホドロフスキーのDUNE」、「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」とかそういう方向性を予想していました。
 さて、現時点ではまだ本作の感想に関しては大っぴらには出ていないので、今回はこのブログでもネタバレ部分は反転で書いていこうと思います。
 
 
 
↓↓↓ネタバレゾーン開始↓↓↓
 
 いやーいろんな方向性から予想を裏切られましたね。
 本作の感想を一言で言うと「宮崎駿GOTTAMIX」といった感じでしょうか。まさにこれまでの宮崎駿監督作品をすべてひとつの鍋の中にぶち込んで形がなくなるまで煮込んで煮込んですべてが渾然一体となった、まさに「ジャンル:宮崎駿」といった感じの作品でした。
 個人的にはいわゆる作家性というものは基本的に調味料であって、あんまりそこが自己主張しすぎると作品じゃなくて監督の顔が前面に出てきてしまうのでよろしくない。
 しかし、宮崎駿監督レベルになるともう元の食材が何であれ、自動的に宮崎駿味になってしまうというのを改めて感じました。このへんは庵野監督にも同じことが言えると思います。
 いきなり実写で宮崎駿監督が出てくる展開も予想してましたがまさかの火垂るの墓。
 本作は吉野源三郎による児童文学や漫画版とは直接的なつながりはないということは知ってたんですがこう来るとは思わなかった。これ予想できた人なんかいないでしょう。
 しかし驚愕の展開はこれから。主人公である少年、牧眞人は謎のアオサギに導かれて現実世界からこの世のものではない「下の世界」を訪れ、行方不明になった父の再婚相手であるナツコを探すという大冒険を繰り広げます。
 そう、いろいろ予想してましたが、実際に見てみた本作は少なくとも表面上は王道的な冒険ファンタジーなんですよね。
 活き活きとした登場キャラクターや美しい背景美術などで繰り広げられるその冒険は、最後まで大幅に奇をてらったような展開や描写もない本当に意外なほど王道なジブリファンタジーで、見ていて若干肩透かし感すら覚えたくらい。
 しかしながら本作は、実は全体的に非常に抽象的で、一般的な作品のようにキャラクターの明確な役どころやストーリーの根幹がおそらくは意図的に隠されています。
 思うに、本作においてスクリーン上で確認できる情報は実は本作を構成する情報全体の1割程度なんじゃないか……?
 前述の通り本作は公開されている情報が極端に少なく、通常なら世界観や設定を確認するための大きな手がかりになるはずのパンフレットも販売されていません。そのため、本作を読み解きための手がかりは大幅に制限されている状態なわけです。
 先程、本作は「意外なほど王道なジブリファンタジー」と書きましたが、実はその王道ファンタジー部分はあくまで表面というか氷山の一角で、本作は大量の寓意や含意を秘めた作品なんじゃないでしょうか。当然まだ他の人の感想や解釈にはまったく触れてませんが、掘っていけば大量の考察が芋づる式に出てきそうだと思います。
 現状におけるわたくし人形使いの考察としては、
 
・複数の時間軸が混在している
・「石」が重要なガジェットとして登場する
・監督を務めた劇場作品と同じ「13」という数字
・明らかに「次代への継承」を意識した終盤の展開
 
 以上4点から本作は実質レイディアントシルバーガンなんだよ!! 離せ俺は正気だ!!! アレとか完全に「石の様な物体」だっただろ!!!!!
 
(間)
 
 分かる人だけ分かってください。いやけっこう本気でこう思ってますよ。ほらこの本気の目を見て。おい目をそらすな。「13個の石」と「この世に生まれし第11の息子よ」って完全に対応してるだろ。俺は正気だ。
 もうちょっとまともな感想というか考察を書くと、まあ明らかに随所に「生と死」「彼岸と此岸」「継承」「黄泉がえり」「胎内回帰」といったイメージを強く感じました。
 本作は王道冒険ファンタジーのガワをかぶせた実質的な宮崎駿監督の自伝映画だと感じました。本作を見て随所にこれまで制作されてきた宮崎駿監督作品のテイストを感じなかった人はまずいないでしょう。宮崎監督レベルになると、もう作品と自身の人生が完全に癒着して切り離せない状態になってるんじゃないですかね。なので、監督本人にカメラを向けたいわゆるドキュメンタリーにしなくても、これまでの作品のテイストを渾然一体とした作品を作れば実質的に自伝映画になってしまうんじゃなかろうか。
 本作はそのタイトルである「君たちはどう生きるか」という問いかけに宮崎監督自らが答えた「わたしはこう生きてきた」というアンサーからの「では、君たちはどう生きるか」という問いかけなんじゃなかろうか。
 また、本作ではラストシーンにジブリ作品ではおそらくいつも表示されていたはずの「おわり」の文字が表示されません。これもまた、本作において大叔父と眞人とのあいだの「継承」が重要なテーマとして提示されていたのに合わせて、「継続」の意味があるんじゃないでしょうかね。これで終わりじゃないぞ、という。
 ってここまで書いてきてやっぱり本作は実質シルバーガンな気がしてきましたよ? STAGE1のメッセージとか読み直すと完全に本作と一致してる。(断定)
 
↑↑↑ネタバレゾーン終了↑↑↑
 
 ……とまあここまで色々書いてきましたが、正直1回見ただけでは本作に込められたメッセージをすべて読み取ることなんてできません。いつも以上にとっちらかった感想ですが、初見感想は初見のときにしか書けない貴重な感想なので。
 おそらくこれからさまざまな情報が出てくるでしょうし、ようやく本作を見たことで自分でもネタバレ感想を漁れるようになったので、今後も考察を深めて行きたいと思います。妄想とも言う。
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