未クリアのゲームがたくさん残っているので終わりそうなものからプレイしてます。
というわけで今回は、「マヨナカ・ガラン」クリアしました。
製作者であるCAVY HOUSEさんのゲームは本作含めすべてプレイしており、これで未クリアのものは「真夜中は星づくよ」のみとなりました。
独特のルールを持ったゲームを制作しているサークルさんですが、本作はAVGで完全に一本道のストーリーとなっており、ゲーム性も排除してある異色作。
プレイ時間は4時間程度でしたが、とぎれとぎれでプレイしてたので体感時間はかなり長かった感覚です。
さて感想なんですが、これまでは宮沢賢治の世界観に影響を受けたであろう不思議な色彩を持つ作品が多かったのに対し、本作は思い切りホラーに舵を切った内容となっていました。
時は大正時代、迫害から逃れてきたキリシタンによって作られた「大臼村」を舞台とした本作の物語は、閉鎖環境におけるマレビト信仰を中核に展開していきます。
本作は非常に独特なグラフィックをしており、メインキャラ以外のモブキャラやオブジェクトは、大部分が着色されておらず、背景となっているタイトル画面の一枚絵が透過しているというものになっています。言葉で説明するの難しいなこれ……。
通常、そうした描写からは没個性的、非人間的な印象を受けがちですが、そうしたグラフィックで描写される村人たちの言動は生き生きと描写されているのが一層不気味。
本作はこのサークルさんの作品の中でもかなり不気味さを全面に出しており、以前プレイした「わすれなオルガン」が不気味な世界観を不気味感や不快感を全面に出さない作りだったのと対象的に感じました。
前半こそ主人公である橘はももるのとぼけたキャラクターもあって「多少不思議な感じ」くらいだったんですが、後半に進むに従ってだんだん違和感が出てくるのがかなりオカルト的。
閉鎖環境にある奇妙な伝説が残る村というシチュエーションは、金田一耕助シリーズを思い起こさせるものがあります。
生者と死者が共存する村、隠された因習、忌まわしい伝説といった要素からたどり着く結末は……。
まあこういう展開だと最終的にできるのはそこから離れることだけといった感じではありますが、あの振り出しに戻ってしまうラストシーンは虚無感とともに一種の美しさを感じました。
短編作品らしい、すっきりとまとまった作品だと思います。
今日はここまで。