公開から劇場は連日満席、そしてさっきtwitterをチェックしてみたら「初週の週末興行数値が、“日本以外の全世界の週末興行数値”を合算したものを上回った」とか思わず目を疑うようなニュースが出てきて、なんかもうエヴァ以上の社会現象になってる感のある「劇場版鬼滅の刃無限列車編」見てきました。
まずは静かに見たかったので平日のレイトショー枠を狙って行ったんですが、レイトショーでも客の入りはかなりあり、半分から後ろはほぼ満席になってた感じ。
また、行く前は男女比は女性が多めかと思ってましたが、劇場に入ってざっと見渡したところ男女比はそこまで女性に偏ってた感じはありませんでした。
以外だったのは年齢層。レイトショーだったので小さな子供や家族連れはいなかったんですが、終わった後に軽く見回してみると若い世代が多かったものの年配の方も結構いて、予想外に幅広い年齢層が見に来てたようです。
さて感想なんですが、有名作品でもう内容知ってる人も多いでしょうが、いちおう公開からまだ日が浅いのでネタバレ反転で。
なお、わたくし人形使いの鬼滅の刃本編の履修状況は、作品設定やキャラに関してはpixiv大百科などを読んだ程度、コミックスは1巻のみ読了、アニメ本編は断片的に知ってるくらい。
また、今回の劇場版に当たる無限列車編は読んでないものの、あのキャラがどうなるかはネタバレしてました。
↓ネタバレ反転ゾーン開始↓
冒頭から事前説明とかはほぼなしでいきなり列車に乗り込むところからスタート。完全に列車でのバトルにまるまる尺を割いた構成です。
そして今回のメインキャラとも言える煉獄杏寿郎、メイン敵となる魘夢も速攻で登場。起承転結の「起」の部分は本当に短く抑えてます。
平川大輔氏演じる魘夢のその能力を反映したかのようなネットリボイスがステキ。
魘夢の能力は、精神攻撃の基本とも言える「相手の最も望む夢の中に落とし込む」なんですが、炭治郎のそれがもう「絶対に取り返しのつかない失われた日々」なわけで、これがもういきなり涙腺に来る……。
さらにそこのシーンにたっぷり尺をとってあってもう完全に泣かせる気満々なんだよな……。
反面、善逸と伊之助の夢の中はともかくとして無意識領域はアレなんなんだよ……。伊之助はともかく善逸の無意識領域はただのクロックタワーじゃねえか怖すぎる……。いったいどんな闇を抱えてるんだコイツは……。夢の中の禰豆子のイチャイチャとの落差が激しすぎる……。
しかもこれ迷い込んだの魘夢本人じゃなくてそそのかされた一般人だからな……。
そして同じく炭治郎と煉獄さんの無意識領域がもうまさに「一目瞭然」といったところ。
ビジュアルでもうこの二人の心根がはっきりと分かるわけですよ……。それに比べるとやっぱり善逸の無意識領域はさあ……。コイツ鬼殺隊に入ってなかったらどうなってたんだよ……。一歩間違ったらジョーカーみたいになってたのでは……。
戦闘シーンはもうさすが劇場版といったところ。鬼滅の刃の戦闘シーンの見どころのひとつである炎や雷のエフェクトが、「暗闇を疾走する列車」というロケーションと相まって映える映える。
個人的推しキャラである善逸の霹靂一閃が、列車という「横に長いロケーション」で数両の車両を一気に駆け抜けるところが好き。
魘夢のこういう種類の精神攻撃は「完璧で幸福な夢からどうやって脱出するか」が見どころなわけですが、炭治郎がとった攻略法が「催眠にかかるたびに自決する」ってお前なんだよそのバトルガレッガみたいな解決法は……。正直お前が怖いよ炭治郎……。
鬼舞辻さんが鬼殺隊を「異常者の集まり」と評するのもむべなるかな。
終盤、魘夢は列車と一体化していることが判明するんですが、そこで機関車やえもん的な
そして煉獄さんなんですが、前述の通りこの人が無限列車編で死んでしまうことは知ってたんですが、どこで死ぬのかまでは知りませんでした。
なので劇中けっこうヒヤヒヤしながら見てたんですが、魘夢を倒した時点でまだ生存してるのでどうなる?と思ってたら、上弦の参・猗窩座襲来!
ここで一気にufotableの戦闘作画が全力を上げて襲ってきます。
一対一の直接対決という感が薄かった魘夢戦に対して、こちらは真正面からの打ち合い!
怒涛の打撃戦の中重症を追ってしまう煉獄さんですが、それでも折れた刀で首を狙うあたりの執念の作画に、わたくし映画を見てて久しぶりに手に汗握るという経験をしました。
また、昨今の映像技術発展の弊害か、はたまたこちらの近眼が進んでいるのか、あまりに目まぐるしく動く戦闘シーンは目がついていかず、「なにかすごいことが起こってるけど何が起こってるのかよくわからない」という状態になりがちです。
しかしこのラストバトルでは、両者の動きや攻防がよくわかりました。そして、両者の攻撃動作からその個性も見えるんですよね。
特に猗窩座。こういう戦闘狂系のキャラを石田彰さんがやってるのって初めて見た気がする。
特殊能力は一切なしで、超強化された身体能力による徒手空拳だけで戦うというなんともジャンプキャラらしからぬキャラ。
ジャンプらしからぬといえば、鬼滅にはいろんな「ジャンプのヒット漫画っぽくないポイント」があるわけですが、ラストバトルでは主人公である炭治郎は一切戦ってない(戦えてない)んですよね。これも本当に異色な展開。
しかも煉獄さんの相手である猗窩座は、劇中でも煉獄さん自身が言っている通り初対面で、深い因縁があるキャラではないという。
そして猗窩座との決着は、結局猗窩座の逃走という結果に終わる。
この辺はもう完全にジャンプ漫画と言うか少年漫画のお約束から完全に外れていて極めて意外でした。
この辺なんというか、鬼殺隊の戦いは決してヒロイックなものではないというどちらかというと劇画チックな展開に思えました。
そしてなあ……魘夢戦ではあれだけ勇猛果敢に自分を鼓舞して戦ってた炭治郎が、煉獄さんの最期にひとたまりもなく年相応の男の子に戻って泣きじゃくってしまうのがもう……。
対して最期の煉獄さんの、あのまさしく「憑き物が落ちた」という言葉がぴったりのあの無垢な子供のような笑顔よ……。
ここではさすがに劇場内のところどころからかすかなすすり泣きが聞こえてきました……。
そこからのスタッフロールがまた泣かせるんだ……。最後の折れた日輪刀とかな……。
↑ネタバレ反転ゾーン終了↑
いやー……ジャンプ原作アニメの劇場版なんておそらく数十年ぶりに見たけど良かった……。
これは原作も読んでみたいな。
しかし、こういう爆発的な盛り上がりは通例なら連載中に起こるものだけど、原作がしっかり完結してるあたりなんというか安心感があるな。