A Day in The Life

主に映画、ゲーム、同人誌の感想などをコンクリートミキサーにかけてブチまけた、ここはいいトシしたおっさんのブログ。

TOHOシネマズ梅田「ザ・ウォッチャーズ」見てきました!

2024-06-24 21:14:08 | 映画感想
 梅雨入りで雨ばっかりで気が滅入る時期が続いてますが、こういうときも映画ですよ。
 というわけで今日見てきたのはこれ!
 
 
 予告で見て気になってたので見てみることに。M・ナイト・シャマラン監督の娘であるイシャナ・ナイト・シャマラン監督作品ということでもちょっと興味を引かれました。
 主人公・ミナは母親と死別し双子の姉とも断絶状態。そんな中、ミナは鳥かごに入った鳥を指定場所に届ける最中で謎の森に迷い込んでしまいます。車とスマホが故障し外部との連絡が絶たれた状態で森を彷徨うミナは、壁の一面がガラスになった怪しげな家を発見。その家には老女マデリン、若い女性キアラ、青年ダニエルの3人が。
 その家では、日が落ちると謎の存在がガラス越しに彼女らを観察するという日々が繰り返されていました。g日が暮れてから森に入ると殺されてしまうために脱出不能となったミナたちは、どうにかして謎の存在の正体を暴こうとするのですが……。
 うーん全体的にはまとまってましたがストロングポイントがあんまりなかった感じでしょうか。
 冒頭でミナが持っている「鳥かごの中の鳥」にミナ自身がなってしまうとういう二重構造、異常な環境下で観察されることで露呈する隠された過去など、一つ一つのシーンはうまく機能しているもののすごく目を引く部分が足りませんでした。
 展開も終盤まであまり意外性やビジュアル的なインパクトのあるシーンがなく、突拍子のない超展開はない代わりにサプライズもないというやや退屈な展開だったなあ。森の中の閉塞感やガラス越し壁越しになにか得体のしれないものがいるという不安感は良かったんですが。なんかシャマラン監督作品の感想も全体的にこんな感じだった気がする……。
 またクリーチャーデザインも凡百。あとこういう「姿を見せないクリーチャー」ってみんな示し合わせたみたいにクリック音出すのなんで?
 なので本作、全体的に「起こるべきことは起こるけど起こりそうにないことは起こらない」という印象でした。ラストパートまでは。
 本作が本当にやりたかったこと、言いたかったことって、明らかに命からがら森から脱出した以降のパートだと思います。
 そう、あのままだとミナは無事帰ってきたものの再び何も変わらない日常に埋没してしまうんですよね。
 しかしミナは、謎の家の地下で見つけた研究施設内で、この森と謎の存在を研究していたひとりの教授の残したメッセージを発見します。そして彼女はそのメッセージに従い、教授が遺した研究資料をすべて破棄するために大学へ。
 そこで彼女は、謎の存在の正体が人間の姿に成り代わる「チェンジリング」という妖精だということを知るのです。こういう作品の場合、謎の存在が与えてくる恐怖が重要でありその存在の正体が明白になることがない場合も多いもの。しかし本作は謎の存在の正体をSF的なものではなくまさかのファンタジー方向に振ってきました。ここが本作の最大のサプライズポイントでしょう。
 思えば謎の存在は他の人間の声音を騙ったり人間的な容姿を持っていたりすることが示唆されてたのをここで思い出しました。そしてここでお約束の「怪物から逃げ切ったと思ってたら着いてきてた」ですよ。
 ここで面白いのが、このチェンジリングが対話不能な怪物で火力で撃退というお約束の展開ではなく、対話で解決したという点。
 チェンジリングはさまざまな姿に化けた後、最終的にミナと同じ姿になります。ここでミナは一方的に観察する/される状態から初めて文字通り自分と向き合うわけですよ。
 このミナとチェンジリングが向き合う構図は、そのままかつて人間と友好的な関係を築いていながら排斥された妖精としてのチェンジリングと人間の構図でもあります。さらに言うなら、間に何もない状態で直接向き合う構図なんですよね。
 映画のシーンというのはメタファーなわけですが、このシーンのメタファーとしての機能は非常によかった。ここでのチェンジリングが語る妖精の悲劇の歴史はそのままミナが抱えるトラウマのメタファー。
 このシーンでミナは、押し隠していた自分自身と向き合い、自分自身の心を外側から「観察」することで心の底に隠していた「自分のせいで交通事故が起こり母が死んだ」というトラウマと向き合い、そしてそのトラウマと「和解」する」という……。
 対話を終えたチェンジリングが、すでに失ったはずの翼をもう一度広げて「あなたを信じる」という一言を遺して飛び去っていく姿はまさにトラウマとの和解と言えます。
 そしてラスト、今まで音信不通だった双子の姉とその子どもと楽しく笑っているミナ。その姿を遠くの窓から見守っているチェンジリング。このラストシーンには、タイトルの通りの「お前は見られている、その罪も」という意味に加えて「あなたを見守っている、いつでも」という意味も込められているように思いました。
 この感想書いてて思ったんですが本作は非常にもったいないんだよな。本作のキモは前述の通り森から脱出したあとに集約されているので、ストーリー的な面白さがボトムヘビーなんですよね。おそらく普段映画を見ている人ほどそこまでが退屈なんじゃないかな。でもそこを通してから見るラストパートはとてもいいんだよな……。実にもったいない……。
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