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主に映画、ゲーム、同人誌の感想などをコンクリートミキサーにかけてブチまけた、ここはいいトシしたおっさんのブログ。

東方同人誌レビュー「維新悪路怪奇譚 無頼刃」(折葉坂三番地)

2020-10-28 23:49:17 | 同人誌感想

 仕事が一段落したのでどんどんやっていきます同人誌レビュー。
 今回は紅楼夢前に入手していた一冊。

・維新悪路怪奇譚 無頼刃(折葉坂三番地)
 東方小説サークルの中でもイチオシのサークルさん、本作は東方とるろ剣のクロスオーバー。
 妖魅妖怪たちと剣士・武人たちとの邂逅を描いた6編の物語が収録されています。
 クロスオーバーの楽しみといえば言うまでもなく異なる作品のキャラ同志の出会いなわけですが、こと東方はキャラが多いのでどのキャラとどのキャラが絡むのかという組み合わせがなかなか予想がつかないものです。
 そして本作に収録された6編の物語におけるキャラの組み合わせは、なるほどと唸らされるものばかりでした。
 また、以前読んだ『魂魄妖夢四番勝負」が全編チャンバラだったのに対し、本作では直接的な戦闘シーンはほぼなかったのも印象的でした。
 それでは作品ごとに感想を。
・イヅナ(石動雷十太×犬走椛)
 もう初っ端からこれですよ。予想外すぎる。
 白狼天狗である椛と出会うのは、幼き日の雷十太。
 天狗のもとで修行するといえば石舟斎ですが、その顛末は……。
 ネタキャラとして見られがちな雷十太ですが、本作では新たな側面……というかバックボーンの掘り下げがあり、見え方が違ってきました。
・悠久の神座(悠久山安慈×洩矢諏訪子)
 これまた予想だにしない組み合わせ。
 まるで釈迦の修行中に現れた魔羅のエピソードを思い出す一編です。
 本作の印象的なポイントは諏訪子の容姿の描写。徹底して「少女の姿をした得体のしれないなにか」としての描写がなされており、特にシリアスな作風では浮きがちなあの帽子の目玉も鉄鈴として描写されているのが上手いと思いました。
・此夕渓山対明月(雪代縁×純狐)
 此の組み合わせには、思わず「こう来たか!」と声を上げてしまいました。
 純狐さんのビジュアルがもう夜の上海に映える映える。
 一見なんの接点もなさそうですが、この二人は「復讐」の二文字で結び付けられるんですよね。
 劇中の縁と黒星の会話も好き。
・屍姫(外印×霍青娥&宮古芳香)
 この組み合わせはもう必然と言えるというか、完全に歯車が噛み合っている感じです。
 るろ剣作中ではバックボーンに関しては特に言及されていない外印ですが、これは極めて納得度が高いです。
 青娥のおぞまステキなアトリエの描写が好き。
・いどのかいぶつ(魚沼宇水×古明地こいし)
 作者である折葉さんがtwitterにて雷十太と並んで頻繁に話題に挙げているので宇水は出ると思ってましたが、よもやこいしと組み合わせるとは。
 盲目となった宇水に語りかける謎の声という構成がサイコホラーです。
・残火(志々雄真×戎嬰花)
 本作では収録作の章扉にその章に登場するキャラのイラストがあるんですが、この章のイラスト見た時には思わず声が漏れました。
 ある意味この二人はベストカップリングと言えるかも。
 登場するるろ剣キャラの中でもっとも戦いの匂いの濃い志々雄が愛刀を葬送するという構図、そして彼の心象風景として印象的な白骨の平原に赤い風車が並ぶという情景は非常に印象的でした。

 今日はここまで。
 

コメント
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