崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

ペストとコロナ

2020年06月01日 06時54分07秒 | エッセイ

 コロナ進行と終息への過程と並列的に「ペスト」を読了した。最初翻訳の文が良く理解できず、あるページは何も分からないまま読んだ。しかし最後まで感動的に読んだのである。私には日本語はまだまだ外国語のようである。時々辞書を開いた。英語を読むより日本語の方が益しになったかなと思えるくらい、日本語の読みに少し自信がついた。
 ペストとコロナの統計の数字、用語が多く共通する。今使っている言葉がほぼペスト時の用語である。「終息」なども同じである。その終息の時、患者の熱が下がり治ったという大勢の中、主人公医師リウーの知人タル―が死んでいく。「病人はここで初めて血を吐き始めた。リンパ腺は腫脹がとどまっていた。それは相変わらずそのままめ雌螺旋のように固く関節のくぼみにねじ込まれていて・・・生気を失った一つの仮面に過ぎなかった」「別離の感情」「愛」「希望」のことが綴がられている。説教ではない。もっと深い思索の言葉が湧き出てくる。どの牧師よりも聖書的である。