崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

ネジをキチンと締めること

2011年09月24日 05時12分16秒 | エッセイ
 研究所のオープニング準備のために一昨日は古川薫作家に看板を墨書きでお願いし、昨日は大掃除をした。千葉から家内の姉夫婦が連休休みで訪ねてこられたので4人の「清掃部隊」となった。展示と研究会ができるよう棚や机などを配置した。そのために壁一面を書画の展示用にするため本棚を移動させながら机の配置など力仕事、拭きそうじなど3時間以上続けた。私は鉄製の本棚を組み立てるのに全力を尽くした。特にネジを締めるのに力を要した。
 今は工場では電動で回すようであるが、一昔前までは手作業でネジを回した。その時、日本製がよかったことは従業員がネジをキチンと締まるからと聞いたことがある。日本は後進国から安いものを買ってボダンなどを再作業して売る縫製業も盛んな時代もあった。ネジやボダンをキチンとすることは簡単でありながらその作業の質は異なる。それは自分のものであるという意識と同時に他人のためにもキチンとする真心が必要である。ネジを全部締めなくとも立っている本棚に本を納めるには問題がないが、なぜキチンと締めるために力を消耗するのであろうか。日本人は物作りの「真心」を持っている。それが復興の力になるだろう。