崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

レビストロース氏が10月31日死去

2009年11月04日 04時22分37秒 | エッセイ
フランスの文化人類学者・思想家のクロード・レビストロース氏が10月31日死去した。100歳だった。彼の「構造主義」は人類学の域を超えて人文社会科学全般に影響を及ぼした。彼はソシュール、ヤコブソンらの構造言語学の方法を文化人類学に導入し、構造人類学を構築し、いろいろな研究者を生み出した。チョムスキーもその一人である。彼の「変形生成文法」は世界的に影響を及ぼし、日本の言語学にも大きく影響している。
 私には若い頃、彼の神話分析の構造主義を利用して韓国のシャーマンの歌「バリデギ」を分析して書いた論文がある。彼の理論を簡単に言うならば、ある社会の思考には変わり難い構造があって、その文化の内容が入れ替わっても構造はなかなか変わらないということである。人もそうであるといえる。ある人は思考構造が決まっていて他人の話を受け入れない。人によって子供の時代の思考構造をそのまま死ぬまで持っている人もいるかもしれない。その人は単に知識を増やすことはあっても構造を変えないだろう。大病、大失敗などによって人生観の枠を変えるのは悟るか改宗ともいう。私はその思考の枠を変えるのが本当の教育と思っている。