崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

歴史と教育

2008年06月30日 06時11分27秒 | エッセイ
 昨日の本欄に私は嶋倉剛教育長が「植民地支配というのは歴史事実に反する」と言ったコンテキストが分からないと書いた。それについてコメントを投稿してくれた方がいたのでその問題を再考する。コメンテーターは金鍾九理事長らが助成金増額を要請し、それを断られた時、学園側の出席者が「植民地支配によって来ざるをえなかった朝鮮人子弟が通っている」といったことへの返答として「植民地支配というのは歴史事実に反する」と出た言葉であると、少し分かりやすく書いてくれた。
 現在の私の理解の限りでは、教育助成金の増額の要請を賠償金の請求のように「植民地支配によって来ざるをえなかった子弟が通っている」と言うのはうなずけない。その歴史的事実と教育助成金とは違うという意味で「増額の理由には該当しない」と言うのは正しい発言として推察される。
 それを歴史問題だけで騒ぐのは良くない。それよりは日本政府が朝鮮学校へ公正な対応をしているのだろうか、つまり「各種学校」であるから1条学校のように支援しない、認めないという教育法に関して教育長らしい見解や識見を述べるべきである。日本の教育とは本質的に違う数多くの社会主義国家の教育や民族教育を受けた外国人留学生にその国の教育課程を認めて、正規の学生として受け入れていながら、国内で日本社会と文化の中で正規の教育期間と課程をもって教育する朝鮮学校については冷淡であることは差別といわざるをえない。特に下関市の支援金の少なさは指摘されてきた。今度の問題で両側がもっと本質的な教育について議論をして欲しい。