かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

映画「のぼうの城」を観て、石田三成の人物像が改まりました。

2012-12-20 20:37:01 | アニメ特撮
 今日は時間をとって映画「のぼうの城」を観に行きました。そろそろ公開が終わりそうだったので、今日時間ができたのは実にラッキーでした。
 「のぼうの城」は、豊臣秀吉の小田原攻めの一環で、小田原城の支城のひとつ、忍城(おしじょう)を守る主将長田長親以下500の兵+農民と、総指揮 石田三成・参謀 大谷吉継以下2万の兵が合戦した史実を元に構成された物語で、一般には、その兵力差で城を抜くことが出来なかった石田三成の凡将ぶりをあげつらう話として流布されている内容の戦を、主として城側、不思議な魅力を持つ「のぼう様」こと長親側からの視点で描かれたお話です。
 私の知る歴史講談的なお話では、そもそも湖に囲まれて「浮城」とまで言われ、水にはもともと強かった忍城に無理やり仕掛けたために、備中高松城ほどうまくは行かず、折からの大雨で堤が決壊、三成方が大損害を被った、というものなのですが、これは諸説ある中の一つで、江戸時代、三成を貶める目的で書かれた数々の物語の一つなのだそうです。よくよく考えてみれば、大谷刑部吉継や佐竹義宣、真田昌幸ら戦巧者の諸将が付いてそんな無様な負け方をするというのもおかしな話なのですが、今日映画を見るまではさしてそれを疑うこともなく受け入れておりました。
 この映画で描かれている三成像は、巷間流布される三成とは大分違い、何より真っ直ぐで曲がったことが嫌いな男で、長いものには巻かれろ式な品性を嫌う一種のロマンチストでした。その稚気あふれる一種独特の爽やかさが印象的で、今までの三成像がこの一作でかなり改まったんではないかと感じさせられました。実際、そんないやらしい男が五奉行の一という地位だけで、徳川家康の向こうを張る大戦を演出するほどの人集めが出来るわけもなく、むしろこの映画の人物のような姿の方がよほど史実に近いんじゃないか、と思わせるものがありました。

 さて、映画そのものは実に面白いものでした。 野村萬斎演じるのぼう様以下それぞれのキャラクターが立っていてその言動から目が離せませんでしたし、大勢の人間を動員しての戦や水攻めシーンの特撮も迫力満点でしたし、二時間以上の時間が全く気にならない見事な娯楽作品でした。まあ突っ込みどころも、堤を切った農民があの濁流に飲み込まれてどうやって助かったの? とか色々ありましたが、それはそれとして楽しめる作品だったと思います。時間があればもう一介くらい見に行っても良いと思いましたが、残念ながら公開はそろそろ終わるので、もし見るなら次はDVDがレンタルされる頃になるでしょうね。今年は年末最後に良い映画を観ることが出来ました。


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