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人権擁護法案はどうなるか4

2005年03月28日 15時53分11秒 | 法関係
前の続きです。

私は誤解から会計検査院も”行政の仲間”として扱ってしまいましが、別物というご指摘を頂きました。ひょっとしてこれだけ他の場所にあるのですか?(笑)検査職員は他の省庁からの出向者がほとんどかと思い、今まで行政組織の一派と思い込んでおりました。お詫び申し上げます。


会計検査院が行政組織の独立・中立・公平という指標にはならないことも、この一つの例をもって他の全てに言えるわけでないことも、十分承知しております。ですが、象徴的な意味で、考えております。何故なら、人権擁護法案の妥当性について法的解釈とか法に基づく制度上の検討がなされており、これをもって「安全」とか「適切」とかを判断するからで、そのほとんどの根拠は法令の中に求められているからです。また、行政の業務の根拠が全て法令に基づいており、これによって当然権限行使ができます。このような仕組みが法令に基づいて正当に機能しており、条文に基づいて正しく業務が行われていると信ずるに足る信頼性が行政に見出せるならば、国民としても何ら憂慮することなく法案に賛成できるかもしれません。


最高裁が上告棄却で確定した警視庁(であったと思う)で作成された「偽造領収書」について、警察庁は「否認」し会計検査院法第27条規定に違反して報告していません。昨年行った弟子屈署の会計検査院の特別検査(正確には何というか不明ですが)では、現職ではないが実名告発者が存在し、署員達の一部にも偽造について「証言」が得られたのですが、検察には通告しませんでした。このことは、検査院に人的不備があるから、とか、証拠不十分だから、という理由は関係ないように思います。少なくとも、裁判で確定した偽造事件については、通告義務を果たすことは何ら不可能ではありません(時効が成立しているのかもしれませんが)。「事実上不可能」という答弁は、「おかしい」のではないか、と誰しも思うはずです(現職官僚が他の大臣とか長を非難できないというお立場にあることは理解しております)。これは普通に「法的解釈」をもってすれば間違っていると考えられ、人権擁護法案の適否について検討することも普通の「法的解釈」から適切であるとの判断を示されても、「本当にそうなのだろうか」という地点に行き着いてしまうのです。


以前の記事にも書いていますが、刑事罰を与えることが必ずしも問題解決には繋がるとは考えておりません。会計検査院に求めることは、もしも警察の裏金問題が「組織的に」行われていることを知ったのであれば、条文どおり法的措置をとるということを警察庁に表明し、改善を厳命することです。なぜこれが出来ないのか。まさに行政指導と同じですね。従わなければ、法的処分が待ち受けていますよ、と明示すべきです。これが独立性・公平性の確保された組織のとるべき行動なのではないかと思うのです。これを回避したいならば、警察庁自身が全国に厳しく命令し、内部調査を自治体とともに実施して結果を全て公表し、国民の審判を受けた上で、組織浄化と改善を図ればよいことです。勿論トップの方では責任問題が発生するかもしれないですが、これは仕方がないでしょう。



それと、こちらの書き方がまずく、何を言いたかったのか不明であったかもしれませんね。
『国民側が「その事例は差別的表現ではない」と主張する言論を行おうとした時に、それが例え正当であると思われても、メディアを封殺してさえいれば一個人の声など広く知られないし、権力に対抗できる言論ともなり得ないでしょう。』という文を入れたのは、単なる個人間での言論を想定しておりませんでした。所謂公権力、またそれを行使できる立場にある人についての批判的表現ですね。仮定に過ぎませんが(仮定で話をすると収拾がつかないと非難されるかもしれませんが)、将来「政府要人等に批判を加える場合には、勧告対象とする」という通知が出たとします。そうですね、例えば「××法に反対する~~党の議員達は、まともな政治的判断を持ち合わせていない。反対の論拠は全くの暴論やデマのような意見ばかりだ」と誰かが表現したとします(現時点でもちょっと危険な表現に思えてきましたね、いつも私が書いているのですが。笑)。これが、勧告対象となっても、当人は認めたくない、と。そうすると公表されますが、その公表形式とは、次のような感じではないでしょうか。

「人権擁護法違反(不当な差別的表現)で人権委員会は○○に対して是正勧告を行ったが、これを無視し従わなかったため公表に踏み切った。○○は、××法制定の反対派であることを理由に、~~党所属議員に対して、不当な誹謗中傷や差別的表現を自己の作成したHPに掲載し、不特定多数にこれを閲覧させていた。人権委員会の度重なる説示・指導や削除修正等の勧告に従わなかった。」
というような感じでしょうか。何だか某さんの近未来にこうなってしまう、みたいな煽り記事(すごい反響ですよ、とか書いていた方)と似ているんですが・・・(笑)

これを読むと、○○は相当「悪い奴だな」ってイメージですね。検察の冒頭陳述みたいなものですかね。
結局国民は何処までが許されるか判らないし、この公表に個人は対抗が難しいと思います。公表によって、○○はその言説の信用性を毀損される可能性が高いように思います。また、そういう記事を掲載しておいてくれるインターネット業者はいるでしょうか?掲載内容が人権擁護法違反であると認定された場合です。プロバイダ等の業者の責任についても、法的な解釈は判りませんが。メディアが黙るというのは、先の「公式発表」に基づく報道のみで真実が反映されていないかもしれない、ということです。犯罪報道などにある、検察の冒頭陳述に基づく報道を見れば判るかと思います(これを全て否定はしませんが、作文上手であって真実を伝えるものとは限らない、という意味です)。


通知についての問題として、市立札幌病院事件を書きました。この中で、医師法及び歯科医師法は不変であるが、それぞれの第17条に関する法的解釈として行政側が出した通知「医政医発第87号」が実質的に第17条違反を規定しています。行政がこの判断を行っているのです。「医業」に該当するかどうかは行政が裁量で決定しうる、ということになります。この後、「医政医発第919001号」が出されますが、この中では「ガイドライン」として研修中の医行為について行政側の法的解釈が変わっています。僅か2年で解釈を変えたことになります。法の専門家は当然の如く「通知やガイドラインは法令ではない」とおっしゃるでしょう。しかし、現実には法令の条文が変わらずともこのような「通知」により、医師法第17条の解釈を規定することが出来るのです。しかも、1審判決に矛盾する通知がそのまま運用されています(判決が確定するまでは、変える必要がないという判断かもしれませんが)。法律は変更されなくとも、解釈は変えられるというのが、現状の行政の権限と言えます。同じようなことが人権擁護法に起こらないという保障はなく、条文の正しさがこれを担保する訳ではないと思います。

例に挙げた除細動が「医業」に該当する、ということになれば、本来除細動器を備えたりはできないでしょう。「医政医発第123号」では、旅客機の客室乗務員による除細動行為は「医業」に該当するかもしれないが緊急避難としての違法性阻却事由によるものとして判断されています。少なくとも救急救命士法制定の時には「医業」に該当する行為であった除細動が救急救命士の業でもあると考えたか、救急救命士が当該行為を行うことは「医業」であるが違法性は阻却されると考えたのか、でありましょう(国会答弁をみる限り、厚生省医政局長や法務省刑事局長は「違法性阻却」を根拠として考え答弁しているかのようです。あくまで私の個人的印象ですが。違法性がある除細動を救急救命士の業となすのはおかしいと思いますが)。通知があって、救急救命士法から除細動を削除する理由とは何か?その業とは判断しない、という意味だと思われます。「医業」であるが「救急救命士業」ではなくなった、ということ?おかしいような気がします。「医業」のままならば、救急救命士法があってもなくても関係ないように思うのですが。何れにせよ違法行為なのですから。

むしろ「医行為」であるが、緊急時に行う除細動の行為は「医業」ではないし、「救急救命士業」でもなくなったので、一般人が当該行為を行うことは違法性を問われない、と考えるのが普通かと思います。これも、個人的見解に過ぎず、行政側の法の担当者はそう考えていないのかもしれませんが。

見解がどうあれ、医師法17条の条文はずっと同じまま変わりがないことは確かであり、この法律の正しさを(17条の)条文から説明されることに大きな意味はないように思えるのですね。結局は、行政が決めた通知の威力は「法の条文」を上回る威力を発揮しており、条文に書かれている文言の正しさを争う意味は感じられないのです。


私の法律とか行政への感じ方に大きな問題があるのでは、とも思ったりもします。何故なら、専門家の方々はこうした疑問をさほど感じていないのではないか、と思えるからです。私が法をよく知らないからこうした考えが浮かぶのではなかろうか、という不安ですね。何だかよく判りません。

それと、総務省の進めている情報公開と行政手続法の周知徹底については、一定の評価をしております。今後も情報公開は推進するのが望ましいと考えますが、行政指導の個別案件については制度的によく検討されるべき事項と思います。



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