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公営住宅の改革提案

2005年01月09日 11時37分57秒 | 経済関連
以前から思っていたのですが、自治体がもつ公営住宅は効率的なのかという疑問です。昔の時代とは変わってきましたから、住宅供給を公的に行わなければならないほど、住居に困る事はなくなってきているのではないでしょうか。もちろん、過疎地とか地域によっては特別な事情があるとは思うのですが、自治体が大きな不動産を取得して建設・維持をすることは無駄が多くなるし、リスクも当然発生します。これからの時代には、そのような手法はそぐわなくなったと感じます。



民間のマンション等がある程度整備されていたり、充足しているならばそれを活用した方がよいと思います(あまり民間の賃貸マンションとかが無いような地域では、別な考えが必要かもしれません)。


まず自治体に民間業者が所有するマンション等を申請してもらい、基準に適合する物件かどうか判定します(条例等で基準の作成が必要ですね)。自治体側が適合と認めたら、公認住宅(変な名前ですが、仮にこう呼ぶことにします)として登録しておきます。入居希望者は、希望の住所地から探すことができ、選択の自由度が増えます。例えば家賃が7万円としたら、公費で1万円を助成するという具合です。他は通常の賃貸契約と同じようなもので、管理費とか駐車場費とかは入居者が払います。所得水準や家族構成などに応じて助成額を変えることにします(簡単な計算式から算出できるような仕組みでよいでしょう。ほぼ所得比例と考えます)。低所得の人には多く助成するとかですね。この手法は生活保護の人にも使えます。生活保護については別な記事で検討します。

所得が増加して助成が適切でなくなれば、助成額をゼロにするだけで済みます。敢えて転居してもらう必要がありませんね。その分を他の人の助成に回すことができます(新たな入居希望者募集ということですね)。富の社会的再配分には役立つでしょう。今よりも公平性が保たれると思います。現状は抽選に外れると延々と待たねばならなかったり、一度入居してしまうと入居者の所得が上がっても出ていってもらうのは困難ですね。他に低所得で入れない人達がたくさんいるのに、です。
転居については、単にそこの助成を打ち切れば済むのです。空室になることで自治体の不利益はありません。現状回復は入居者と民間業者の間でやって頂きます。


自治体は登録先を確保するようにしておけばよく、どうしてもそれが困難な場合には、公認住宅建設に税制上の優遇措置をつけるとか、建設費用の一部補助をすれば促進効果は期待できるかもしれません。また、民間業者は公認住宅の基準に合格するような住居を建設しようと努力しますから、よい物件が増える効果があると思います。民間業者は、よい物件を多く登録でき希望者が多ければ、不動産業者を通すことなく優先的に入居者が来てくれるのですから、願ったりかなったりでしょう。

それに、物件のバリエーションも豊富になるでしょう。立地とか規模とか、あらゆる面で希望者の選択余地が増えます。空室であっても、自治体にはリスクが発生しません。民間業者は公認住宅としても貸せるし、給与水準の高い人には普通の物件としても貸せるのです。埋まれば登録からはずれるだけで済みます。また公認住宅の適合物件ならば、借り手も安心して借り易くなるでしょう。


自治体は自ら不動産を取得する必要もなく、バカ高い建設費をふっかけられることもなく、談合も発生しないので、非常に有利です。建替え問題もないし(民間業者は競争のために自然と建替えが進んでいますね、ボロければ借り手がつかないので)、維持管理はその民間業者が通常通り行ってくれます。自治体側は単に家賃助成費用だけで済むのですから、楽です。滞納や不払いも生じません。入居者は民間業者との契約になりますから、そんなことは当然出来ませんね。


自治体の公営住宅が営利事業ならばプラスに作用しますが、普通は違うでしょう。続ければ続けるほど負担が多くなるだけだと思います。もしも、公営住宅がなくなれば、不動産業界は活性化へと向かうと思うのですが。自治体所有の広大な土地とたくさんの建物は、売却したり転用したりして、新たな価値を生み出すものへと転換してもらえるかもしれません。結構いい場所に建っている公営住宅はたくさんあると思います。民間に売れたら、固定資産税も増えますね。

ただ、一気に整理はできないでしょうから、古い物件から順次入居者の転居を促進するような政策(例えば土地の転売先を探して、それが見つかれば、公営住宅住民の転居費用を出してあげて他の公認住宅へ移ってもらうとか)を考えてみる必要があるでしょう。
条件のよい土地は、有効活用してもらうように考えて、転売が無理でも借地料を取るとかでもいいですし。うまく考えたら自治体の利益に繋がる可能性があります。複合施設を民間と共同で建設して、営利事業を積極的に行う(合法ならばですが)とか、何か考えた方がいいです。


いずれ建物は必ず老朽化するので、その時に建替え問題が発生するのは目に見えてますから、安易に公金を投入するのではなく、有効な不動産活用を考えるべきですね。旧国鉄用地がいい例です。随分と用地の有効利用が進みましたし、複合施設等の効果がかなりありましたから。


高齢者の増加は、独居老人の増加も考慮する必要がありますが、現在民間業者の高級な高齢者向け物件が多くなっていますが、賃貸物件はそれほど多くはありません。資産のあまり多くない高齢者でも入居できるような、公認住宅を増やす方向で行けば、いずれ公営住宅はなくせると思うのです。

全ての物件が適合住宅として申請してきたらどうするか、という問題があるかもしれませんね。その場合には、別な抽選とかが必要になるかもしれません。例えば「築5年以内」という選考基準で募集し、当選2百戸を登録し、予備登録として2百戸とする、のようなものでしょうか。

公営住宅の空き待ちは減らせるようになるかもしれません。入居者の所得水準によって決まるので、所得の低い人から助成を割り当てていきますから、不公平感は少なくなると思いますし、自治体は予定財源が尽きそうなら新たな入居者募集を停止すれば大幅な赤字はなくせるでしょう。

如何でしょうか?



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11 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
公的保証制度 (井上)
2005-01-09 12:13:55
 賃貸住宅の入居には連帯保証人が不可欠です。でも、連帯保証人になってくれる人なんて親兄弟ぐらいしかいません。

 身寄りのない人は本当に住宅探しに苦労します。

 公営住宅はいらないが、公的保証制度を設ける必要があります。

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Unknown (misaki)
2005-01-09 16:23:05
 個々人の経済状況が多様でしかも格差がどんどん拡大している今日では、居住権確保の1選択肢として公営住宅の存在意義はますます増価していると思いますし、政策としても公営住宅建設を促進すべきです。こういうところにこそもっとお金を使うべきでしょう。

理由

1.地域的にばらつきはありますが、公営住宅の入居希望者は膨大に多い。

2.年収300~400万世帯に持ち家を持たせる政府の政策は異常であり、単に破産者を作り出しているとしか思えない。

3.ゼニゲバ的色彩を強く持つ民間貸家に安定した居住空間の提供を期待するのはもとより現実問題として全く無理。

以上、不動産市場で働くものの感覚です。
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コメント有難うございます (まさくに)
2005-01-09 20:46:43
>井上様

保証人は公認住宅では不要でもよいと思います。



また、2院制は実質的に政権与党が過半数を上回ると形骸化しているような気がします。社会党が勝って過半数を獲った時には、単に「反対」の姿勢で廃案になってしまった面もあります。イギリスのように議会政治は成熟していないし、貴族政治の名残のような名誉職的終身議員とは違うようにも思います。



>misaki様

不動産関係とのことで、貴重なご意見ありがとうございます。かつてのように自治体が建設費用等を捻出できれば供給も可能でしょうが、現状の厳しい財政状況では難しいのかなと。適合基準をある程度しっかり作って、民間が供給する方が自治体の負担は軽減可能なのではと思った次第です。
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公営住宅は廃止すべき (井上)
2005-01-09 22:36:44
 家といえども耐久消費財の一種ですので、国家がそこにかかわりすぎると、効率性が損なわれます。国が直接供給するのではなく、良質な住宅が供給されるような環境を整えればいいのです。

 賃貸住宅に良質なものが少なかったのは、旧借家法のためです。幸い、借地借家法が定期借地権、定期借家権を認めましたので、家主は長期にわたって済んでもらえる住宅を作るでしょう。市場が劇的に変化するには時間がかかるでしょうが。



 まさくにさんがすでにおっしゃっていますが、現在の公営住宅は、クジで当たった人に高級レストランのフルコースをファミリーレストランなみの価格で食わせ、外れた人はファミレスの定食で我慢させるという、わけのわからない仕組みです。

 相場なみに公営住宅の家賃を上げれば、これはすでに民営と変わらず、政府がかかわる必要はありません。

 低所得者の住宅費用に補助金を出すぐらいがちょうどよいのではないでしょうか。
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弟が都営住宅に住んでいます (こねこ)
2005-01-10 07:03:34
日本に30を過ぎたばか弟がいるのですが、東京都港区にある都営住宅に住んでいるようです。かなりいい場所にあるのですが、あのような場所に弟が住めるのも、公営住宅などがあるおかげでしょう。



高校の先輩で都内の病院に勤務しているお医者さんがいますが、奥様は歯科医であり、おそらくは高収入カップルと思われるのに、やはり都営住宅に住んでいます。こちらの場合は、二人の収入を考えると、都内に一軒家を立てることも可能だと思いますが、なぜ都営住宅に住んでいるのか先輩に聞いてみたいです。
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Unknown (まさくに)
2005-01-11 12:01:14
>井上様

ご指摘のように、公営住宅は外れると非常に苦しいのが現状です。公平な制度が求められると思います。また、維持管理にも費用がかかりすぎ、自治体の財源を浪費している面は否めません。それをどの様に解消していくか、考える必要があると思います。



>こねこ様

東京に住んだことがないので、実は詳しく分りませんが、都心に住んでて離れたくない気持ちは判るような気がします。でも、お金持ちの方には、高級マンションとか一戸建てに住んで欲しいですね(笑)貧乏な人こそ助成が必要でしょう。因みに、私は東京には住めません。人が多すぎて酔うからです、残念!田舎暮らしが合っています(1週間ほど友達の実家に泊めてもらった時、人込みで死ぬかと思いました)。
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Unknown (misaki304)
2005-04-24 07:18:50
 定期借家は少し見た限りでは2年契約が多いようです。定期借家が経済的弱者の立場を配慮した良質の住宅を供給している事例があれば一度見てみたいものです。

 民間賃貸住宅は学生や若年転勤者用では合理的でしょうが、一般住宅としてはとても勧められないというのが実態ではないでしょうか?

① 家主は当然投資(金儲け)としてやっており、借り主からみれば、安心して住める住居とはなりにくい。

(退去時のおぞましい敷金不返還や掃除費要求等の家主優位の現状は当分変わりそうもありません)

② 日本では、居住権の保護がますます弱くなっています。そういう方向で民法の改正や諸法整備が進んでいるようにみられます。アメリカの対日要望の線に沿っているのかもしれません。

 フランスやドイツは居住権の保護が強いですが、日本は逆に動いており経済的弱者の立場がかるんぜられているように思われます。

 ドイツでは公営住宅優位の政策が伝統的に優位にあると聞いています。(最近のドイツは様変わりしているとききますので、現在の政策がどうかは知りません)

***

 私は現在郊外の一戸建て住宅(自用)に住んでいます。以前転勤サラリーマンのころは借り上げ社宅(民間高級?マンション)を転々としておりましたが、いずれも優秀な管理会社であったためか?、いやな思いをさんざんしました。

 お金もでき、自営になって自宅を持つと、やはり住宅は自用がよく、借家はよくないと実感します。

 しかし皆が自用の家をもつことができない以上、家主がうるさくない公営住宅で住宅供給するのが次善の策としていいのかなと感じています。自治体の財政を心配されておられるようですが、問題は国民経済的な全体観点からもシュミレーションされるべきなのかもしれません。

 以上 あくまで感覚としての意見で説得性はないのかもしれませんが、小泉登場以降、貧乏人いじめ政策が進んでいるようで気分が悪く思います。

 しかもこうした政策が共産党を除く全政党(社民党もふくむ!)の協同で行われていることです。一方向になだれをうって進む日本の伝統的国民性でしょうか?

 短期賃貸借の廃止に際しても、強硬に反対したのは、民間では弁護士会と司法書士会ぐらいで、マスコミはほとんど問題にしませんでした。

 現在の権力者の意思は公営住宅縮小の方向のように見えます。
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Unknown (まさくに)
2005-04-25 13:40:02
経済的弱者について、現状の公営住宅がカバーしているとも思えません。むしろ、そこに巣くう公務員とかOBに回る金を、現金給付として弱者に配る方が利点が多いのではないのか、という発想です。



自治体も住宅供給公社も雇用促進住宅も、まともな運営はされていないし、土地は新たに何も生み出していません。民間に転用されれば、固定資産税を生みます。事業があれば法人税等に繋がります。しかし、今はタカリ軍団が公営住宅運営に絡んで、金を吸い上げています。弱者には、住宅の順番待ちをさせながら、無駄に管理費等につぎ込んでいるのです。ならば必要ないでしょう、という話ですね。住宅の供給は民間にもできます。例えて言えば、団地と全く同じ部屋のアパートがあればそれでいいのではありませんか?そこに補助すればいいように思うのですが。公的住宅の居住環境が特別いいとは思えませんね。昔、私も住んでましたが。
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Unknown (taisikun)
2005-04-26 00:09:58
misaki304さんとまさくにさんの話が、まったくかみ合ってないですね。

「民間賃貸住宅での家主優位の現状(さらにその強化)」の話に

「住宅の供給は民間にもできます」との切り返しをされるというのは、はなからmisaki304さんの話を聞く気がないように見えます。

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鋭いご指摘 (まさくに)
2005-04-26 13:53:01
有難うございます(笑)。記事中にあるように、「公認住宅」という基準を行政側が設けるわけですから、それは制度設計の問題のように思います。家主の請求に心配が多くあるならば、そのような基準設定を考えて行けばいいように思うのですが。



現状で空き待ちしても、ハズレを引かされた当選者の数倍の世帯の方々を見殺しにすることになってしまいます。これを何年も待たされることより、もっと均等化され、実質的に低収入世帯への扶助を公平に行うことの方が有意義のように思うのです。
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