法律には不思議が存在する。それは非常に曖昧さが許容されている点である。例えば、法律の条文には、時間的経過を示す言葉に幾つか種類があります。
「すみやかに」「直ちに」「遅滞なく」この3つの言葉にどんな違いがあるのでしょうか。日常的な感覚では違いがよくわかりませんね。
ちょっと考えてみます。
法律には「~~法」というものとそれに関する「~~法施行令」とか「~~法施行規則」などが決められている場合があって、元の法律の条文で期日等を細かく決めてない場合でもこうした施行令や施行規則などで定めていることもあります。具体的な例を書いてみます。
「動物の愛護及び管理に関する法律」という法律があります(これには「同施行令」と「同施行規則」がそれぞれあります)。
この条文の中に、これらの言葉が入っています。
第9条 弟2項
動物取扱業者は、前条第一項第一号若しくは第二号に掲げる事項に変更があつたとき、又は届出に係る飼養施設の使用を廃止したときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
第19条
道路、公園、広場その他の公共の場所において、疾病にかかり、若しくは負傷した犬、ねこ等の動物又は犬、ねこ等の動物の死体を発見した者は、すみやかに、その所有者が判明しているときは所有者に、その所有者が判明しないときは都道府県知事等に通報するように努めなければならない。
弟24条 第2項
動物が科学上の利用に供された後において回復の見込みのない状態に陥っている場合には、その科学上の利用に供した者は、直ちに、できる限り苦痛を与えない方法によつてその動物を処分しなければならない。
このように条文によって使い分けられています。これらの条文に基づく期日や時間的経過は特に指定はなく、施行令及び施行規則においても何ら決められている事項はありません。
9条では、届出事項を”遅れず”出して下さいということで、「いつまで以内」という決まりはありません。一ヶ月以内なのか一年以内なのかはわかりませんね。ただ「遅れないように」という意味だと思います。
19条は、公共の場で動物の死体を発見した人はなるべく”早く”通報して下さいという意味ですね。
24条は、死にそうな実験動物は”すぐに”安楽(死)にさせなければなりません、という意味ですね。今までのを比較してみると、文脈から見て、これが一番早くしなければならない気がしますね。普通の感覚では。
国語的にはどうなのかというと、「遅滞なく」は「とどこおり(滞り)なく」とか「期日に遅れることなく」という意味です。条文の趣旨からすると合っているように思います。でも、期日がなければ少し変な気がします。
「すみやかに」は「すぐ」(そりゃそうだ)とか「時間を置かずに」という意味です。「直ちに」も「すぐ」とか「時間・間を置かずに」という意味で、両者にはほとんど言葉としての違いはありませんね。
条文の草案を考えた人がいろんな趣向があって言葉を変えて選択したのか、何人かで考えたためバラバラの表現になったのかは不明です。
結果的には、一般庶民の感覚で判断すると時間経過が最も短い順に、「直ちに」、「すみやかに」、「遅滞なく」ですね。
でも、実はこのような判断は国民の側が決めることではなく、お役所つまり行政側が決めるのです。そしてそれは、時と場合によって異なり、都合よく使い分けることができるようになっていると思われるのです。
次から、どうしてそんなことが言えるのかについて、記事にしてみます。
「すみやかに」「直ちに」「遅滞なく」この3つの言葉にどんな違いがあるのでしょうか。日常的な感覚では違いがよくわかりませんね。
ちょっと考えてみます。
法律には「~~法」というものとそれに関する「~~法施行令」とか「~~法施行規則」などが決められている場合があって、元の法律の条文で期日等を細かく決めてない場合でもこうした施行令や施行規則などで定めていることもあります。具体的な例を書いてみます。
「動物の愛護及び管理に関する法律」という法律があります(これには「同施行令」と「同施行規則」がそれぞれあります)。
この条文の中に、これらの言葉が入っています。
第9条 弟2項
動物取扱業者は、前条第一項第一号若しくは第二号に掲げる事項に変更があつたとき、又は届出に係る飼養施設の使用を廃止したときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
第19条
道路、公園、広場その他の公共の場所において、疾病にかかり、若しくは負傷した犬、ねこ等の動物又は犬、ねこ等の動物の死体を発見した者は、すみやかに、その所有者が判明しているときは所有者に、その所有者が判明しないときは都道府県知事等に通報するように努めなければならない。
弟24条 第2項
動物が科学上の利用に供された後において回復の見込みのない状態に陥っている場合には、その科学上の利用に供した者は、直ちに、できる限り苦痛を与えない方法によつてその動物を処分しなければならない。
このように条文によって使い分けられています。これらの条文に基づく期日や時間的経過は特に指定はなく、施行令及び施行規則においても何ら決められている事項はありません。
9条では、届出事項を”遅れず”出して下さいということで、「いつまで以内」という決まりはありません。一ヶ月以内なのか一年以内なのかはわかりませんね。ただ「遅れないように」という意味だと思います。
19条は、公共の場で動物の死体を発見した人はなるべく”早く”通報して下さいという意味ですね。
24条は、死にそうな実験動物は”すぐに”安楽(死)にさせなければなりません、という意味ですね。今までのを比較してみると、文脈から見て、これが一番早くしなければならない気がしますね。普通の感覚では。
国語的にはどうなのかというと、「遅滞なく」は「とどこおり(滞り)なく」とか「期日に遅れることなく」という意味です。条文の趣旨からすると合っているように思います。でも、期日がなければ少し変な気がします。
「すみやかに」は「すぐ」(そりゃそうだ)とか「時間を置かずに」という意味です。「直ちに」も「すぐ」とか「時間・間を置かずに」という意味で、両者にはほとんど言葉としての違いはありませんね。
条文の草案を考えた人がいろんな趣向があって言葉を変えて選択したのか、何人かで考えたためバラバラの表現になったのかは不明です。
結果的には、一般庶民の感覚で判断すると時間経過が最も短い順に、「直ちに」、「すみやかに」、「遅滞なく」ですね。
でも、実はこのような判断は国民の側が決めることではなく、お役所つまり行政側が決めるのです。そしてそれは、時と場合によって異なり、都合よく使い分けることができるようになっていると思われるのです。
次から、どうしてそんなことが言えるのかについて、記事にしてみます。