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低金利で得する人って?

2005年05月27日 13時36分50秒 | 経済関連
一般庶民にとっては経済原理などどうでもよいが、日々の暮らしぶりが悪化しないようにしてくれればよいのです。難しい原理や理論に基づいて政策・運営をやって貰えるならそれでかまいませんから。自らの経済理論の主張の正しさを結果と照らし合わせて、証明してくれれば何だっていいんですよ。


普通の給与所得者がバブルちょっと前に家を購入したとしよう(夫30歳、妻27歳、子供3歳と1歳にしようか。架空の家族が念願のマイホームゲット!ですから)。仮に2千万円の30年住宅ローンを組んだとします(昔は全額借入が出来ないはずで、自己資金は2割以上だったと思う。ですから総額ベースで言えば2500万円でその他に諸経費ですね)。そうだな、87年からということにしましょうね。当時の借入金利がどれくらいなのか知らないんですが、4%くらいはあったでしょうか?(住宅金融公庫の最高金利がバブル期頃の一時期5.5%だったような気がしますが詳しく知りません。まあそれよりも安いんではないのかなと。)ローン返済は2017年まで続きます。元利均等返済(ゆとり返済ならもっと悲惨だと思うけど)なら毎月の返済額が大体95500円です。これが30年続くわけですね。当時の借入は変動金利などではなく、固定金利であったでしょうから、未だにその金利のまま返済が続いていることになります(借り換えはしていないとしましょうね)。


バブル崩壊後に、預金金利は下がり利息収入は大幅に減少していき、現在は1年の大口定期ですら0.03%程度ですから、預金する意味は全くありませんね(繰上げ返済に全額回した方がいいに決まっていますね)。まあ、これは置いておくとして、97年頃の金融不安があって、借入から僅か10年くらいですが、利息は大幅に低下しています(半分程度まで落ちたでしょうね)。その後の金利下げによってさらに低下を続けました。民間銀行の良い住宅ローンが出始めたのは(借り換えを目論んで)2000年ころでしょうから、その時点で借り換えを検討したとしても、不動産価格は約3割ほど低下とすると(個別物件にもよりますが、土地下落がだいたいそれくらいかな?)、評価額が少なくとも3割減少し、建物の減価償却分も当然減るので、一般庶民は借り換えの際に残債と借り入れ上限の差額分の現金を支払う必要があります。土地・建物がそれぞれ1千万円(元の価値)として評価額は700万円と500万円(築13年の建物部分の評価額はきっともっと少ないはずですが、一応半分程度と仮定します)です。合計1200万円に対する銀行の貸付上限は7割くらいでしょうから、最大でも840万円しか貸し出されません。住宅ローンの今までの返済状況は、この時点までで返済元金は約6割以上残っており、借り換えすべき残債が1300万円とすると、先の840万円との差額460万円をキャッシュで銀行に払わなければなりません。この他に借り換えの事務手数料とか印紙代金、不動産登記手数料などがかかります。これもざっと25~30万円くらいになるかもしれません。となれば、結局500万円近くのキャッシュを用意しなければ借り換えられないことになりますね。


毎月95500円の住宅ローンを払いながら、500万円の現金となれば13年間毎月38500円くらい貯金を続けなければなりません。もしも預貯金を続けていたとしても、この間(87年~00年)に受け取るべき利息は昔なら3%とか4%とか貰えたのだが、その何分の一かしか手に入らなかったのです。この家のバランスシートは、不動産価格の下落によって相対的に借入比率が上昇した上に、金利負担分だけが重く残ってしまいました。給与が順調に上がってくればよいですが、多くの中小企業で見られたようにボーナス大幅減額とかカットなどで収入水準は大きく上昇していません。


「実質金利がどう」とか「経済原理がどう」、などということは分らないが、こうしたごくごく普通の庶民はたくさんいるし、彼らが払い続けた利息は、「マクロ経済」というどこかの闇に消え去ってしまった、ということです。この一家は、デフレや低金利で何か得をしたでしょうか?ユニクロの登場で、衣服が安く買えるようになったことかな(笑)。まあ、この一家は2017年まで払い続けねばならないでしょうから、可哀想だと思うけれど、消え去る運命の住宅金融公庫を儲けさせてやってくれ。


企業は確かに資金調達が楽になったが、特に儲けまくったのは金貸し屋とかだろ?低金利だからといって、企業の設備投資がもの凄く多くなって、雇用や民間需要を大幅に押し上げたりはしなかった。銀行もあこぎに、個人向け無担保ローンの旨みに飛びつき、高金利で昔の高利貸しと同じような商売をやり、愚かな弱小個人から稼いだのさ(消費者金融の広告)。


また、05年まで見ると、保険料負担は大幅に増加して(厚生年金、健康保険、雇用保険は何度もアップした)増税されたのと同じだし、介護保険料も増えたし、社会保険本人の自己負担額は1割(もしかしたら0円だったかもしれない)から3割に増えたし(年間医療費の実質的大幅増額と同じですね、病気にもなれないし、虫歯も許されないんだよ)、配偶者特別控除などがなくなったりして、実質大幅増税となってしまいました。金利負担だけが残る以上に、実質的な可処分所得は低下しました。これが、庶民の感覚だっての。頑張って生きてきて、真面目に働き、微妙に給与は上がったかもしれないが、その増加分を上回る勢いで、色んな分野でとられちまったのさ。こういう生き方をしているのが愚かなのだ、と言われればそれまでですが。


経済原理や理論は、普通の庶民を救済したりはしない。単に現象の記述がうまくなるだけだ。それが、日常生活というものです。冒頭の架空の家族は、今年、夫48歳、妻45歳、子供21歳と19歳で、住宅ローンとその重い金利負担は今も残っていますね。子供達は大学生になれたかな?無職の子供が残るのも、もっと辛いな・・・来年あたりが心配だな・・・。

お父さんがクビになったりせずに生き延びてこれたのかな・・・?リストラされたりしたら、更に厳しいですね。何だか切実ですね、こう考えると。



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