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郵政民営化の考察3

2005年01月31日 14時13分35秒 | 社会全般
郵政職員の非公務員化は、どうやら自民党内で概ね合意へ向かった(むしろ受け入れざるを得ずというところかな)ようである。政府案に対して有効な反論ができなかったと思われます。これを肯定する制度として、国家資格の導入ということを考えているようです。

NIKKEI NET(1/30)より以下に記載します。



郵政民営化、職員の国家資格「郵便士」創設案が浮上

郵政民営化の法案化で焦点となっている日本郵政公社職員の身分に関して、民営化会社設立に合わせて国家資格を創設する構想が政府・与党内で浮上してきた。訴状の配達など国家公務員が行うことを前提としてきた業務にあたる職員を中心に、新たに「郵便士」の資格を与える。非公務員化の原則は変えないが、公的サービスへの国の保障を残すとともに、公務員の身分維持を求める自民党などの主張にも一定の配慮を示す。

新設する国家資格は「郵便局職員が国家公務員であることを前提に成り立っている制度が多い」との指摘を踏まえたもの。基本的には郵便会社社員を対象とする方向で、公認会計士など他の国家資格と同様、試験制とする案が有力だ。




この様に、報じられておりました。
この資格制度は、業務の信頼性重視には役立つ案であろうと思います。妥協案としては悪くないと思います。自民党も考えればできるではありませんか。「妥協案」を探るという姿勢ではなく、よりよい方策を考えるという方向に進むことが必要です。


続いて毎日新聞(1/30)の記事がありました。以下に記載します。



郵便料金:民営化後は届け出制に 上限を決め料金設定

政府は、郵政民営化後の封書やはがきの郵便料金について、総務相が認可する現行制度から、政府が定める上限額までの範囲内で新郵便会社が届け出る制度に変更する方針を固めた。経営の自由度を高めるためには完全な届け出制が求められる。しかし、日本も批准している万国郵便条約は、郵便料金に関して「恒久的かつ合理的な価格」と明記しており、新郵便会社が経営難などから無制限に郵便料金を値上げすることを防ぐ必要があると判断した。

上限額は、郵政民営化関連法案の成立後、07年4月の郵政民営化までの間に総務省令で定める方向で調整している。料金を収益重視で上限額いっぱいに設定するか、利用促進を狙って安めにするかが、新郵便会社の経営判断になる。政府内には当初、現行の認可制を維持すべきだとの意見もあったが、民営化会社に認可制を強いることは困難と判断した。
現行制度では、民間会社が封書、はがき事業に参入するには全国に10万本のポストを設ける必要があり、事実上、日本郵政公社がこれらの事業を独占している状態。政府はこの参入規制を民営化後も継続することを「郵政民営化の基本方針」で明記している。




前の記事に書いた時は、はがき・封書についても民間との競合となるのかと勘違いしていました。お詫びします。定型はがき・手紙は郵便事業会社の独占的業務のようでした。よって、競合会社はこの業務に関しては存在しないことになります。現在の民間が行っている業務範囲(定形外や小包等)が競合分野のようです。しかし、郵便の実需自体が減少傾向を辿るのであれば、このトレンドを劇的に変えるようなビジネスモデルがない限り、郵便事業会社のこの事業における利益確保は厳しい状況となるでしょう。

この意味では、JTの民営化後の努力が参考になるかもしれません。喫煙率は世界的規模で減少トレンドであり、実需は大幅に減少してきました。しかし、タバコ事業だけではなく、医薬品・食料品・飲料関係・エコロジー関係等の経営努力により、収益基盤の多角化がある程度成功すれば経営は成り立つことが示されています。ただし、戦略なき多角化は野放図な経営と変わらず、大型の所謂ワンマン経営型企業群が次々と経営困難に陥っていますから、このような企業財産・資源の無駄遣いとならないように十分注意して多角化を推進する必要があります。

政府案についての希望は、現時点での郵政公社を民営化した場合(特に新たな事業付加などせずに何も変えない状態)の、大筋の4つの企業規模(人員・資産等)と営業収益予測、利益水準等の具体的数字(シミュレーションでよい)があった方がよいと思います。委託手数料の水準や、各事業の最低必要売上高等が見えてこないと、実際の業務でそれが達成可能かどうかが分りません。あまりに無謀な、達成困難な事業計画となるようなら、端から民営化計画を考え直す必要があります。

例えていうなら、「郵便事業会社が赤字にならない為には、今のはがきと封書を2倍増の売上増が必要」とか、「郵便銀行会社が赤字にならないためには、新規貯金残高を最低20兆円集め、年率5%以上の貸付先を確保しなければならない」とか、「郵便保険会社が赤字にならないためには、新規保険契約額が1兆円必要」というような具体的な水準があれば、これは無理だな、ということが見えてきますね。そういう具体的数字がない状態では、民営化の枠組みや方法としての技術的問題はクリアできる見通しがあっても、実際的に不可能な事業計画となるような民営化事業は無理なわけで、検討方法を根本的に変える必要があります。そういう基礎となる数字を明らかにして欲しいですね。


それが出来ないならば、説得力に欠ける、一か八かの賭けのような民営化の印象が拭えないでしょう。与党内でもそうした「得体の知れない不安」があることは確かであると思います。ですから、こういう具体性のある数字を出して説明することは、政府側の絶対的な責任ですね。今度はそれについて、事業として成り立つかどうか、あるいは収益源となる新規事業がどの程度の規模で必要か、というところの検討が出来るようになるのでは(その見通しが立たなければ、「どの位の規模でリストラが必要か」ということにもなりかねないのですが)。


ところで、民主党は本当に郵政民営化に反対するなら、現時点での着手が合理的ではない理由と根拠をきちんと述べて、郵政民営化の絶対阻止を狙うべきでは?それが本当に国民の為になるという考えであるならば、そうすべきですね。しかし、単に傍観者を決め込むならば、政府と与党が議論を重ねて、そこには民主党の考えや主張というものが全く入らない法案ができてしまうことになり、それが真に国民の代表たる国会議員たちの集まった野党第一党のすべきことなのか、よく考えてみるべきですね。

追記(2月3日):

郵政民営化の考察2のコメント欄に私が記入した部分について、以下に抜粋しておきます。非公務員化についての意見が書いてあります。


民営化後にも郵便事業会社と窓口NW会社は政府が株式保有を続けますから、完全民営化までは時間がかかると思います。28万人をいきなり解雇はないでしょうが、電電の時にも削減までは相当の時間をかけてリストラはある程度達成されました。いずれそういう方向へ動くでしょうね。

司法文書の送達については、証明発行の仕組みや制度が整えば、誰が運んでいっても同じと思います。内容証明付郵便もそうですね。住民のアクセスは不便になりますが、市役所や役場で文書証明をもらい、専門窓口に投函しておけば業者(郵便会社でも他の民間会社でも)が期日通りに送達するということも可能かと思います。あとは、全ての文書についての「通信の秘密」についての守秘義務を厳格に適用するとかでしょうか(民営化後に公務員でなくなれば、どの業者であっても条件は同じように思います)。



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