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貸金業の上限金利問題~その8

2006年04月29日 20時10分13秒 | 社会全般
昨日は書きかけで途中になってしまった「キノコモデル」(と名付けよう、とりあえず)の続きを書いてみます。



通常喫煙と肺ガンの発生の直接的証明のようなものというのは判っていません。「喫煙するから肺ガンになる」と証明することが難しいのでしょう。なので、普通はリスクで考えられており、「肺ガン」患者を調べると、「喫煙者」は「非喫煙者」に比べて「肺ガンの発生リスクが高い」という風に考えられています。これは世の中の大半に受け入れられていると思います。このようなリスクの評価は、オッズ比やリスク比などで示されることが多いと思います。また、喫煙者同士の違いを評価する場合には、「本数×喫煙年数」のような何かの指標によって区分されるグループ間を比較して、ある喫煙量を超えると「肺ガンの発生リスクが高くなる」という風に行われていると思います(どのような指標が感度が良いか、ということもあるかもしれません)。この場合にも、リスク比やオッズ比などの評価を用いていることが多いのではないかと思います。


しかし、坂野ペーパーでは、「破産」「非破産」というグループ間での比較で、これを喫煙に当てはめてみると、「喫煙者している者には、肺ガンが発生していない者が大勢おり、肺ガン発生者と似たような喫煙量なので、喫煙は肺ガンの発生リスクとは関係ない」ということを主張するものです。このようなモデルは果たして信頼できるのでしょうか?そのことに疑問を抱かないのは何故でしょうか?少なくとも、「破産」グループと比較される対照側の設定はオカシイと思います。


キノコモデルに話を戻しましょう。

通常、キノコの摂取と死の関連を調べる時、「摂取量の違い」「摂取する種類の違い」などによるオッズ比やリスク比を調べて、「量によるリスクは大差ない」とか「増殖率の違いによるリスクは小さい」といったことが判るんじゃなかろうかと思いますね。

毒物の危険性を見るのには、致死量というのがありますよね。50%が死亡する量を50%LD、95%死亡する量が95%LDなどと表示されます。全部死ぬ量は致死量ですね。「キノコモデル」では全部死ぬ量を求めることは意味がありませんから、例えば年収280~300万円世帯で「10%が死ぬ摂取量(=10%が破産している借入額)」というような数値は求められると思いますね。キノコを摂取しているあるグループと対照グループとで比較して、「摂取量」「増殖率」「解毒薬量」「代謝」「期間」などの要因の影響度(リスク)を分析するのではないかと思います。増殖率30%のキノコAと増殖率10%のキノコBを摂取した場合に考えられるリスクは、素人の直感で申し訳ないですが、多分キノコAの方が致死リスクは高いと思いますね。オッズ比やリスク比でどの位の数字になるのか、というのは判りかねますけど。


更に、致死率という考え方もあります。例えば疾病Xで死亡する率は10~25%、というようなものです。これは、「疾病によって死亡する可能性がある期間」全てを含む考え方です。坂野ペーパーでは、こういうことが全く無視されており、「現在生きている」ことだけをもって対照群に入れる、というのは明らかに誤りです。同じ疾病Xに罹患している患者100人がいて、1年後に生存している人が90人、5年後に生存している人が40人であれば、致死率は60%です(もっと観察が必要であるなら、もっと先まで観察し疾病による死亡数をカウントすることになります)。ところが、1年後で追跡を止めてしまえば、致死率は10%となって、リスク評価は異なってきます。


M村にキノコQを3~5個食べた人100人がおり、N村で同じくキノコQを3~4個食べた人100人がいるとします。キノコ商人が、それぞれの村に行って各人にキノコQを1個ずつ売りつけ、さらに食べさせました。翌日、M村では全員死亡し、N村では全員生きている時、「N村では全員が生きているのだから、食べたキノコQは死亡と関係ない」という主張をするのは、容易ではないと思えます。しかも、1週間後にN村の生きている人の数は「不明」なのですよ?(少なくとも、坂野ペーパーを支持する人たちの誰もそのことには触れていません)死んでるかもしれないのですよ?それでも、「キノコQは自由に食べていい」と?実際にはM村とN村という風に完全に分かれているのでもなく、死亡者と生存者はランダムに存在しており、それを集めて「破産」「非破産」という区分をしたに過ぎないのですが。「他にも生きている人がいるのだから、キノコQは安全であり、制限をしなくてもよい」という主張には疑問を感じますね。


「代謝バランスが悪くなって解毒薬を手に入れるのが困難になった人が原因なのだから、キノコは制限しない方がよい」と主張する人がいたら、是非そのワケを知りたいですね。現実には「破産=死」ではないので現実の損失は死よりも必ずしも大きくはなく、たとえ破産件数が増加傾向であっても、それを減らさなければならない、という経済学的正当性は確かに存在していないかもしれませんけど。キノコを制限して失う利益よりも、自由にして得られる利益の方が大きければいい、という主張なのでしょうから。「素人の陥る罠」としては、直感に頼ってしまい、それが間違ってることが多いそうで、私の主張のほぼ全部が直感ですので、ダメっぽいけど。一応書いてみました。


それから、上限金利引下げで「GDPが減少する」ということが早大商学部消費者金融サービス研究所のペーパーに書かれているらしいんだが、素人なりの考えを書いてみよう。


上限金利が引き下げられた場合、利用者が貸金業界に払うお金が減るということで、業界が「利益を数百~数千億円失う」と。上限金利が20%ということになれば、「リスクの高い貸せない層が出てくる」、と。であれば、貸倒率は「大幅に減少」し、仮に以前の1割に減少すると、債権放棄額が1兆円であれば、9000億円は助かるワケですね。会計処理は判らないけど、きっと損金処理されてた部分があるから、その税金分は差し引かれると思うから、9000億円が放棄しなくて済むようになっても、これがまるまる得するワケではないけどね。自己破産の債権のうち貸金業界比率が6割とすれば、5400億円分の損金が減る。金利引下げで貸金業界の営業利益減少分が4500億円程度(プロミスで600億円規模とか報道されてた。大手5社で3000億円(貸付残高でザッと7兆円として)、他1500億円(同3.5兆円))なら損金分の方が多い。今までは利益から引き去られていたのだから、こちらの方が得じゃないのかと思えるけど。


しかも、利用者達がいままで支払っていた金利のうち20~30%にあった分は払わずに済むので、利用者たちは他への消費へ回すことが可能。貸金業界の営業利益が4500億円減少しても、その分全部が預貯金に回されない限り、利用者たちは他への消費へ振り向けるだろう。また、金利引下げによって、同じ一回返済額であれば返済期間が短縮される為、それ以降の消費への振り向けは、金利が高い場合よりも早期に行われるはずだ。なので、極めて短期的に見れば、GDP減少要因となるかもしれないが、その返済負担を抜けて以降は、大きな影響度は出ないと思われるが。


また、今までの上限引き下げが行われて以降、GDPが大きく減少したことがどれくらいあるのか。83年改正では×、86年改正では×、91年では×、00年では減少でした。つまり、1勝3敗ですか?(笑)いいモデルですね。実際経済学的評価がどうなのか判らんけど。ああ、下押ししただけで、実は金利引下げがなければ、もっと成長していたってことだよね。モデルでは、上限金利7%程度の金利引き下げで0.364%GDPが低下するんだから、10%も下がったら、恐らく0.45~0.5%くらいは低下させる、ってことだね?凄いね。大きな寄与度なんですね。

大体GDP600兆円くらいだと、丁度00年頃のGDP規模ですから、01年度になって592兆円くらいに低下してるんですけど、この10兆円のうち、約3兆円は「上限金利引下げ」による効果だったんですね。へえ~、へえ~
あんまり見たことのない経済学理論ですね。


因みに減少分は、借りられなくなった層がこの3兆円を使えなかったからですか?そうですか。何万人分かの消費抑制だもんね。ハイリスクな貧乏人だから、一人平均50万円借入だったと仮定して、これが借りられなくなる為に消費が抑制された、と。そういうことですよね?桁が多すぎで判らんけど、600万人が借入できなくなったってこと?GDPの増減の計算方法がわからないから、素人考えだと思うけど、きっと直接お金を使う額とは違うんだろうね。結構借りられなくなる人は多いんだね。大雑把に貸出は1100万~1200万口座くらいあるらしいから、2人に一人が断られるのですか?

結構たくさんの人たちが支持してるんだから、きっとそうなんだろうね。3兆円規模のGDPが吹き飛んだ、と。


86年上限引き下げ後、消費者金融全体の信用供与額は増加してますね、5兆円(約25%増)くらい。次の年も5兆円以上増えてますけど。これも「借りられなくなった人が続出してしまった」からですか?(笑)91年改正後には信用供与額全体は94年まで連続で伸びてますけど。ここから連続で減少となり、95年-0.8兆円、96年ほぼ変わらず、97年-0.9兆円、98年-2.2兆円、99年-3.4兆円、00年-1.2兆円、01年-1兆円、です。

因みに、消費者金融会社の信用供与額は85年の約2兆円弱から2003年の10兆円超まで、一度たりとも減少なんかしてないんですけど。ああ、「信用力不足になって貸せなくなり、ヤミ金に行った人たち」で減った分を、それ以上の新規顧客開拓でカバーしたんですね?そうでしたか。全体の減少は94年がピークで、主に民間金融機関の消費者ローンが減少してるんですよ。92年には30兆6千億円あったのが、02年には18兆5千億円まで落ちてますから。信用供与額が94年ピークから12兆円くらい減少している中で、銀行系が同じくらい減らしたけど、消費者金融会社は4兆5千億円から10兆円まで拡大してきたんですよ。


<これって、どう?信用力供与額の大幅な減少は、金利下げ時期には起こらずに、95~99年に起こってますよね?これって、ノンバンクや金融機関が次々と破綻していった頃なんじゃないですか?97年ショックの後で信用供与額減少が大きいと思うけど。ブラックな方面にも金が流し込まれてたとか?トンデモナイ貸出先ってこと?ありゃ、陰謀論ですね>


金利上限下げの影響で貸出残高が減少するよりも、銀行の問題などで減少した分の方が圧倒的に大きくて、逆に消費者金融は倍増させたんじゃないですか?(笑)闇金の活発化してきた時期(98年以降)と、妙に符合してるけど。上限金利引下げの時期よりも。


00年には金利上限が「10%超」も下げられた(40.004%→29.2%)のに、それ以降、大手各社はみんな揃って「貸出口座数純増」ですか、そうですか。これも、「信用力不足の人が続出だから」ですか、そうですか。貸付残高も増加ですか?営業利益も増加ですか?そうですか。


確かに00年の翌年は「ITバブル崩壊」の影響で景気が悪かったもんね。景気後退の影響度と、「上限金利引下げ」による下押し要因の比重は、全く判らんけど。

「上限金利引下げは、GDPを引き下げる」という素晴らしいモデルは、正しいんですよね?危険率は10%だけどね(笑)私は統計学も全くの無知ですので、早大のペーパーが正しいのかどうかは、判らないんですよね(笑、これは本当です。直感的に疑問に思っただけですけど)


さすがは、天下の早稲田大学。「消費者金融サービス研究所」の出してるペーパーは違うね、モノが。


経済学理論に沿って、ペーパーが正しいと支持してる人たちの反論を聞いてみたいですけどね。経済学理論で全て説明可能なはずでしょうから。




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