電脳筆写『 心超臨界 』

天才とは忍耐するためのより卓越した才能に他ならない
( ルクレール・ビュフォン )

不都合な真実 《 「盾」は「剣」ではない戦いの現実——ジェイソン・モーガン 》

2024-08-04 | 05-真相・背景・経緯
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「台湾有事」とか「わが国の安全保障」などは、盾だけ、つまり防衛だけで解決できない。攻撃は最大の防御とも言う。「攻める」ことを論議さえせず、目を背けてはならない。東アジアをはじめ全世界の安全を脅かしている敵の戦争できる機能をなくすことが求められている。本当に台湾と日本を守るつもりであれば、大きな剣を帯びて戦う準備を本気にやろう。アテネの戦没者の幽霊が今生きている日本人に言っている…。盾だけでは、東アジアの平和を守ることができない。


◆「盾」は「剣」ではない戦いの現実――ジェイソン・モーガン/麗澤大学准教授
(「正論」産経新聞 R03(2021).12.01 )

〈 古代ギリシャが伝えること 〉

ローマ帝国の支配下で活躍していたギリシャ人作家、プルタルコスは、戦いの訓練が極めて厳しいことで有名になっているスパルタについて記している。

スパルタの兵(つわもの)が戦いに赴くとき、故郷に残る女性が盾を指して言ったという。「それを持って、またはそれの上に」。つまり貴方(あなた)が戦争から帰ってくるとき、盾を持って(生きて)帰るか、盾の上に(死んで仲間に運ばれている状態で)帰ってこいとの意味だ。

古代ギリシャの重装歩兵は「ホプリテス」と呼ばれていたが、その意味は「盾」だ。そして古代ギリシャで重要になった戦い方「ファランクス」は、歩兵が持っている盾を隣の歩兵の盾と重ねて、亀の甲のような密集陣形を作って部隊を保護する。

このような戦いで、盾が非常に重要なことは確かだが、一番大切なのは盾ではなくて剣ではないか。なぜなら戦争の意味は防衛ではなくて攻撃だからだ。プロイセンの軍事学者、カール・フォン・クラウゼビッツの『戦争論』は、戦争というのは政治の延長線上で行われると書いているが、戦争の目的は唯一、敵が戦争を続ける機能をなくすことに他ならない。

いくら盾があっても、いくら盾の使い方が上手でも、剣がなければ、つまりオフェンス(攻撃)をしていなければ、取りかかっている戦争が消耗戦になり、負けるのは時間の問題になってしまう。

消耗戦は、攻撃している側に勢いがある。包囲戦は、敵の城を囲んでいる陣は、ただ待てば済むわけだ。防衛は、戦略ではなくて、敗戦の保証だ。自分の帝国を守ることを優先していたアテネは結局、滅びた。盾より剣、つまり防衛より攻撃を優先したスパルタは、ディフェンス(防御)の姿勢をとっていたアテネを倒した。

〈 米国も「ディフェンス」に 〉

たとえば米国の軍事史をみると防衛という戦略の愚かさが一目瞭然だ。世界史上で最も大きな軍隊を持つ米国は、イメージでは戦争に優れているかもしれないが、実はこの76年間、戦争に勝ったことがない。今の米国の軍隊は、大きな盾にすぎない。剣を使うことをためらっている。

米連邦議会が最後に戦争宣言を出したのは、1942年だ。第二次世界大戦の一環として41年12月にナチス・ドイツ、イタリア、大日本帝国に対して戦争宣言を発表し、42年6月4日にブルガリア、ハンガリーなどに対して戦争宣言を発表した。それ以来、米国は正式に戦争を宣言したことがない。

冷戦に入ると米国は軍事姿勢をディフェンスに切り替えた。軍を統括する機関は、49年に国防総省(Department of Defense)に改名された。朝鮮戦争もベトナム戦争も目的はあくまでも防衛だった。

ちなみに朝鮮戦争で真の敵の中国共産党を攻撃して問題を源泉で解決したいと訴えるマッカーサー元帥は、冷戦ロジックでしか考えらえないトルーマン大統領によってクビになった。大日本帝国と過酷な合戦を繰り返して戦ったマッカーサー元帥は、盾と剣との区別がよく分かっていたが、米国の政治家は防衛のままでいいと思っていた。

米国にとってイラクやアフガニスタンとの戦争も防衛戦争だった。9・11の後、ワシントンの事情によってサウジアラビア、パキスタンなどを攻撃することは考えられなかったので、アフガニスタン、イラクで「まやかしの戦争」をやっていたとみることもできる。しかしそれは盾を連ねて戦地を守るという作戦だったので、敵がいくら軍事的に下手でも、たとえばあのタリバンでも、米軍が負けるのは最初から時間の問題だった。盾は結局、剣に負けるからだ。

〈 「盾」だけで平和は守れない 〉

今年7月に麻生太郎副総理兼財務相(当時)は「台湾で大きな問題が起きると、間違いなく『存立危機事態』に関係してくる」とし、「日米で一緒に台湾を防衛しなければならない」と言った。

そして同じ7月に刊行された2021年の日本の防衛白書にはこう書いてある。「台湾情勢の安定は、わが国の安全保障や国際社会の安定にとって重要」。台湾や日本の領土を守るなどと公の場で言って、日本政府が中国が東アジアに対して与えている威嚇に目が覚めていることを大歓迎するべきだ。もっとはっきり、もっと強く、乱暴な中国への危機感を持って批判してほしい。

しかしそれと同時に覚悟が必要で。「台湾有事」とか「わが国の安全保障」などは、盾だけ、つまり防衛だけで解決できない。攻撃は最大の防御とも言う。「攻める」ことを論議さえせず、目を背けてはならない。東アジアをはじめ全世界の安全を脅かしている敵の戦争できる機能をなくすことが求められている。本当に台湾と日本を守るつもりであれば、大きな剣を帯びて戦う準備を本気にやろう。アテネの戦没者の幽霊が今生きている日本人に言っている…。盾だけでは、東アジアの平和を守ることができない。
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