電脳筆写『 心超臨界 』

ひらめきを与えるのは解答ではなく質問である
( ウジェーヌ・イヨネスコ )

不都合な真実 《 追いつくための大学――山本尚 》

2024-05-26 | 05-真相・背景・経緯
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現在問題になっている脱炭素、SDGs、ムーンショット(破壊的イノベーション)を生むような挑戦的な研究開発)などの壮大な、しかも新しい目標を見ると、「持続的イノベーション」だけでは成就しない「破壊的イノベーション」が必要である。一言で言えば、もはや「破壊的イノベーション」のないところでは、大きな成長は望めないということなのである。


◆日本の大学は「追いつくための大学」――山本尚

『日本の問題は文系にある』
( 山本尚、産経新聞出版 (2022/2/18)、p78 )
第3章 問題は文系にある

一昔前には、科学技術は持続的なイノベーションがあれば、国は大過なく、ゆっくりとではあるが着実に成長してゆけた。

友人の日本の化学者で世界でも指折りの成果を上げた人が打ち明けてくれたが、日本の企業では欧米の先進研究が発表されると、必ず内容を確認することを行っていたそうだ。しかも、欧米ではとてもやらなかった詳細微細にわたる再現実験を行い、粘り強く改善することで、持続的技術を作り、特許をくぐり抜け、市場を獲得することが多かったそうである。これは典型的な「持続的イノベーション」の手法である。

これで日本は昭和と平成を生き抜いてきたが、21世紀に入って、状況は一変した。科学技術の世代交代が驚くほど急速に進んでいるのだ。今や「持続的イノベーション」だけでは、世界の動向から遥かに遅れてしまう。開発途上国が「持続的イノベーション」に慣れてきており、これによって簡単に先進のイノベーションに追いつくからだ。

しかし、現在問題になっている脱炭素、SDGs、ムーンショット(破壊的イノベーション)を生むような挑戦的な研究開発)などの壮大な、しかも新しい目標を見ると、「持続的イノベーション」だけでは成就しない「破壊的イノベーション」が必要である。一言で言えば、もはや「破壊的イノベーション」のないところでは、大きな成長は望めないということなのである。

しかし日本の場合、こうした「破壊的イノベーション」を起こす大型プロジェクトでは、適当な「名ばかりのプロジェクト」でお茶を濁し、最終的にはとんでもなく抹消のプロジェクトで終わることが多いのだ。

この「破壊的イノベーション」の時代に入っていることを、十分には認識していない日本企業はいまだに多い。「持続的イノベーション」だけでは徐々に企業の業績は尻つぼみになり、最終的には倒産することになるが、その危機感は薄い。

日本は、戦後の好景気の時代の手法は通じないことを認識し、知識を教えるという大学のあり方も根本的に変え、イノベーション志向の大学に生まれ変わる必要がある。しかし「持続型イノベーション」に慣れて親しんできた大学や日本企業が、本質的に異なる「破壊的イノベーション」を志向することは難しい。

日本は外来文明の渡来に対して、これまで素晴らしい受け入れ方をしてきた。古代アジアの3大文明と言われる稲作、鉄器、そして漢字の受け入れ方である。日本は単に盲目的に全てを取り入れずに、稲作は「苗代」を、鉄器は「たたら製鉄」を、そして漢字は「表意文字の仮名」を発明し、改良した形で受け入れたと先に述べた。

しかし、明治維新では素早く欧米の文明を受け入れなければ、日本が植民地化される危険があった。そこで、急いで国立大学を作り、多くの海外の教官を招聘し、次々と欧米の科学技術を、手を加えずにそのまま吸収した。基本は世阿弥の「まねぶ」や「論語」の素読にある。完全に自分を抑え、全てを真似をして科学技術を100%吸収した。

設立された大学は様々な分野の知識を満遍なく国民に伝えることを最重要課題と考えた。早急に国の化学技術を欧米に追いつかせるため、大学にはすべての科学技術の分野に満遍なく講座を作る必要があった。どの科学技術でも大学にゆけば学ぶことができた。我が国の大学が、その後「幕の内弁当」と呼ばれるようになる講座制の始まりである。大学は知識の宝庫で、そういう意味で大学は国民に海外の知識を効率よく伝える場所であった。

しかしこの日本の明治維新の大学創設の施策は、科学技術を誕生させた欧米諸国の大学創設の考え方とは根本的に違っていた。

欧米ではそれぞれの分野の創始者か、あるいはその弟子が大学での研究を始めたので、大学が全ての分野をカバーするという意識は全く持っていない。国民は学ぶべき知識が必要であれば、その知識を持っている大学に行けばいいのだ。従って、欧米の大学には教室(研究室)の専門分野が偏っていることもある。

日本の「追いつくための大学」と、欧米の「イノベーションを始めるための大学」とは本質的に異なっていたのである。
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