電脳筆写『 心超臨界 』

一般に外交では紛争は解決しない
戦争が終るのは平和のプロセスとしてではなく
一方が降伏するからである
D・パイプス

真珠湾攻撃の真実 《 致命的だった「対米宣戦布告」の手交遅延――宮崎正弘 》

2024-09-24 | 04-歴史・文化・社会
電脳筆写『心超臨界』へようこそ!
日本の歴史、伝統、文化を正しく学び次世代へつなぎたいと願っています。
20年間で約9千の記事を収めたブログは私の「人生ノート」になりました。
そのノートから少しずつ反芻学習することを日課にしています。
生涯学習にお付き合いいただき、ありがとうございます。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■緊急拡散宜しく『日本を崩壊へ導く「選択制夫婦別姓」問題』
《自民党議員/党員必見!》『自民党総裁選候補者の人物評を西川京子前九州国際大学学長・元文科副大臣に訊く;水間政憲』
■『小樽龍宮神社「土方歳三慰霊祭祭文」全文
◆村上春樹著『騎士団長殺し』の〈南京城内民間人の死者数40万人は間違いで「34人」だった〉
■超拡散『移民受入れを推進した安倍晋三総理の妄言』
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


ハル・ノートが実は隠されていた。軍法会議になったらそれを出さなくてはならなくなる。前にも触れたように日本側は新聞発表していて朝日新聞の12月8日付の夕刊には数行触れているけれど、それをもっと早くもっと大声で世界に公開したら、アメリカの悪意が知れ渡ったはずだ。だから野村や来栖が一言ハル・ノートのことを喋って、その存在を直にアメリカの新聞社に語っていたら、日米戦争はかなり変わった。


◆致命的だった「対米宣戦布告」の手交遅延

『世界を震撼させた歴史の国日本』
( 高山正之&宮崎正弘、徳間書店 (2020/2/28)、p169 )

【宮崎】 次に日米開戦に当たって、対米最後通告遅延の問題について話し合いましょう。

これほど大規模な戦争を始めるに当たって、宣戦布告の意味を込めた最後通告を攻撃前に手交することになっていたのに、予定の時間通りの手交をせず、事務失態で攻撃が始まってしまった後で渡すことになったというのは、世界史に残すべき外交の失態だよね。この事実は日本人なら誰もが知っていることだけど、あまりに重大な失態だから教科書に書かれるべきです。「新しい歴史教科書をつくる会」の中学校の歴史教科書『新しい歴史教科書』だけが、この失態について触れている。

【高山】 だけど、この問題いつも僕が思うことがある。この時の事情を考えれば、もともと宣戦布告はしなくていいんじゃないの。だって、日本が対米戦を決断するのは11月26日にハル・ノートをアメリカが出したからだ。ハル・ノートを突きつけられたら、モナコやルクセンブルクだって立ちあがるであろうというシロモノだ。ハル・ノートそのものがアメリカからの宣戦布告だから、日本は明らかに自衛戦争をしたんじゃないか。自衛戦争だったら、宣戦布告はいらない。それが当時の国際法で言ってたことだから。

【宮崎】 だけどアメリカは、日本が無通告で真珠湾攻撃をしたとして団結したわけね。それが原爆投下まで続く、激しい戦争の原因になったことは認めざるをえない。

【高山】 そのように仕向けたのはルーズベルトだ。あるいはアラモ以来のアメリカの伝統外交だ。彼はアメリカの国民にとっても敵だよ。日本に戦争を仕掛けさせて、それであれだけアメリカ兵を死なせたんだから。

【宮崎】 いずれにしても、本省から緊急態勢を敷けと言ってきているのに、緊急態勢を敷かず、手交の遅延を引き起こしたワシントンの日本大使館の責任は大きいね。責任者は井口貞夫参事官だった。

【高山】 それでタイプを打つ担当だった奥村勝蔵がその前夜、タイプを打たないで遊びに行った。どこに遊びに行ったかは、いまもって判明していないのはどういうこと。

【宮崎】 ともあれ、翌日午前、奥村は一所懸命タイプを打ちだすんだけど間に合わない。

【高山】 間に合わないかもしれないとわかった時、手交が定刻の時間より遅れることをハルに通知するのみで、間に合わせるための工夫の智慧がまったく出てこない。

本省から現地のタイピストを使ってはならないという指示が来ており、それを忠実に守るだけで何の工夫もしない。

【宮崎】 現地のタイピストを使うなというのは、最後通告の文章が機密だからだよね。だったら時間節約のために現地のタイピストに打たせて、その最後通告をハルに手交するまで、タイピストを部屋に閉じ込めておけばいい。ハルに手渡したら機密文書ではなくなるんだから、それから解放すればいい。

【高山】 いや、まだ他の方法がある。手書きですませばいいんだよ。手書きで。

【宮崎】 本当に機転がきかない。そして問題はこの最後通告を読んでも、これが宣戦布告だという認識が出てこなかったことだ。ルーズベルトは解読電報を読んですぐに宣戦布告だと思ったというのに、日本の大使館はそう思わなかったというんだから。1時に渡せという指示が本省から来ているわけですからね。タイピストを使っちゃいかんということも言っているわけですね。そうすると非常に重要な電報だということは、もう言わなくてもわかるわけですよね。そして万端準備態勢ね、態勢はきちんとしろと指示されていたにもかかわらず、それが宣戦布告だとわからなかった。

【高山】 宣戦布告の認識のないままに、指定時間から約1時間半遅れて、大使の野村吉三郎と来栖三郎はハル国務長官にこの文書を渡す。

この時、ハルは電報の解読によって文書の内容はよく知っている。そして真珠湾攻撃の始まったこともよく知っている。でもそれを知らないかのようにして読み始めて、そして激怒していく。

このハルと会っている時、野村と来栖は真珠湾攻撃が始まったことをまったく知らなかった。

【宮崎】 大使館に帰ってからラジオでそのニュースをけたたましく報じているのを知って、真珠湾攻撃が行われているのを知った。

【高山】そうしたらハルに渡した文書は、宣戦布告の意味だったことがわかる。だったら指定の午後1時に手交することがいかに重要だったかわかるよね。だとしたらあの文書は1時に手渡すはずのものであり、事務失態によって約1時間半遅れたことを何としてでもアメリカ国民に伝えなければならない。この時、真珠湾攻撃のことを知ったアメリカの新聞記者が大使館に押し寄せてきた。その記者にいっさい説明していない。だからルーズベルトに騙し討ちだと言わせるようになった。

さらにその際、アメリカからハル・ノートを突きつけられたことを言っておくべきだった。これは渡辺惣樹氏の訳したハミルトン・フィッシュの『ルーズベルトの開戦責任』という本で知ったが、多くの日本人も知らないまま、開戦を論じてきた。

【宮崎】 ハミルトン・フィッシュは戦後まで知らなかった。

【高山】 そうそう。それで大使館で野村や来栖が、ハル・ノートについてアメリカの新聞記者に一言でも喋っていたらよかったんだ。ハミルトン・フィッシュは、ルーズベルトがハル・ノートのことを知りながらアメリカ国民に何も言わないで戦争に賛成させたのを怒っているわけだ(*)。

  注(*)関連ブログ:ルーズベルト大統領「恥辱の日演説」の嘘

あの時、ハズバンド・キンメル提督をなぜ軍法会議にかけなかったか、2千何百人も死者を出したのに、まったく防備はなっていない。あれだけ痛烈な被害を受けたということについて、キンメルは当然、軍法会議ものだった。

それが罷免だけで、なぜか、ハミルトン・フィッシュが懸命に追いかけていくと、ハル・ノートが実は隠されていた。軍法会議になったらそれを出さなくてはならなくなる。前にも触れたように日本側は新聞発表していて朝日新聞の12月8日付の夕刊には数行触れているけれど、それをもっと早くもっと大声で世界に公開したら、アメリカの悪意が知れ渡ったはずだ。だから野村や来栖が一言ハル・ノートのことを喋って、その存在を直にアメリカの新聞社に語っていたら、日米戦争はかなり変わった。

でも結果としては日本が緒戦で勝ちを制し、アジアを解放することになった歴史の方がはるかに意義の高いものだと思う。

【宮崎】 本省による最後通告の修正電というのがあって、それで清書が遅れたという説が最近出てきた。最後通告の修正のため仕上げが遅くなったのは事実なんだけど、本省がその訂正電を意図的に遅く発信して、意図的に指定時間に手交できないよう仕組んだのではないか、という説だ。もちろん、そういうことはない。たとえそうだとしても、いまここで高山さんと話し合ったことはすべて大使館の機転によって解決できることだよね。それが実行されていれば問題は起こらなかった。

【高山】 そういう無能が、あの戦争を原爆投下まで続けさせる原因になったのかと思うとやりきれないよ。
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 悪魔の思想 《 坂本義和――購... | トップ | 南京大虐殺という嘘 《 「南... »
最新の画像もっと見る

04-歴史・文化・社会」カテゴリの最新記事