電脳筆写『 心超臨界 』

あなたはこの世で
自らの能力を使用できるただひとりの人
( ジグ・ジグラー )

向上心 《 多くの巨人の生涯を決定づけた『プルターク英雄伝』――サミュエル・スマイルズ 》

2024-06-22 | 03-自己・信念・努力
電脳筆写『心超臨界』へようこそ!
日本の歴史、伝統、文化を正しく学び次世代へつなぎたいと願っています。
20年間で約9千の記事を収めたブログは私の「人生ノート」になりました。
そのノートから少しずつ反芻学習することを日課にしています。
生涯学習にお付き合いいただき、ありがとうございます。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆村上春樹著『騎士団長殺し』の〈南京城内民間人の死者数40万人は間違いで「34人」だった〉
■超拡散『世界政治の崩壊過程に蘇れ日本政治の根幹とは』
■超拡散『日本の「月面着陸」をライヴ放送しないNHKの電波1本返却させよ◇この国会質疑を視聴しよう⁉️:https://youtube.com/watch?v=apyoi2KTMpA&si=I9x7DoDLgkcfESSc』
■超拡散記事『榎本武揚建立「小樽龍宮神社」にて執り行う「土方歳三慰霊祭」と「特別御朱印」の告知』
■超拡散『移民受入れを推進した安倍晋三総理の妄言』
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


プルタークは、その人物たちが成し遂げた偉業と、彼らが置かれた環境とを正確に見きわめる目と、それを描写する表現力を持っていたことである。そればかりでなく、彼には英雄たちの人格を一人ひとり明快に描き分ける才能があった。人間の個性が躍動していない伝記文学ではおもしろくない。英雄たちが何をしたかよりはどんな人間だったか、どれほど知性にあふれていたかよりはどこに人間としての魅力があったか、というほうが興味をかき立てられる。


『向上心』
( サミュエル・スマイルズ、三笠書房 (2011/5/21)、p143 )
第4章 見識を高める――「人生の教え」をいつ、どこから学びとるか
2 人生の教えをどこに読みとるか

◆多くの巨人の生涯を決定づけた『プルターク英雄伝』

行動と思想の両面で、人びとの人格形成に強い影響を及ぼした過去の作家をあげるとすれば、プルタークとモンテーニュの二人であろう。

プルタークは手本とすべき英雄を紹介し、モンテーニュはいつの時代にも人びとが深い関心を寄せた永劫回帰(えいごうかいき)の問題を深く掘り下げた。二人の作品はいずれもほとんどが伝記の形式をとり、その迫力ある描写はもっぱら登場人物の性格や経験を具体的に示すことによって効果を上げている。

『プルターク英雄伝』は、約1800年も昔に書かれた作品であるが、ホメロスの『イリアス』と同様に、この種類の書物の中でも最高の座を占めている。イタリアの劇作家アルフィエリはプルタークの作品を読んで文学への情熱に火をつけられた。

「私は、この本の中のティモレオン、シーザー、ブルータス、ペロピダスの生涯を6回以上も読んだ。そしてそのたびに感動の余り涙を流し、気も狂わんばかりに夢中になったものだ。これらの偉大な英雄たちの堂々たる人格にふれるたびに、じっとしてはいられないような強い興奮をおぼえたのだ」

シラー、ベンジャミン・フランクリン、ナポレオン、マダム・ロランなどはみなプルタークの愛読者である。マダム・ロランに至っては「英雄伝」に熱中する余り、聖書に見せかけてミサの間もこっそりと読みふけっていたという。

『プルターク英雄伝』は、フランスのアンリ4世、テュレンヌ、軍人ネーピアなどの勇敢な人たちにとっても心の糧であった。

ウィリアム・ネーピアは、子供の頃にこの本を読んで感動を受け、昔の偉大な英雄たちに強くあこがれるようになった。この本の影響はまちがいなく彼の一生の方針を決め、人格の形成にも大いに貢献している。

病状が悪化して死を目前にひかえ、衰弱し切ったネーピアの心は、いつしかプルタークの英雄たちの昔に戻っていった。義理の息子を相手に、彼はアレクサンダー大王やハンニバル、シーザーの業績を、時を忘れて話して聞かせたという。

ある本に強く感化され、それによって生きる方針を定めたという人たちを対象に、どの本にもっとも感銘を受けたかを投票で決めるとすれば、おそらく大多数の票はこの本が獲得することだろう。

プルタークの作品は、今日に至るまで時代を問わず、人びとの心を魅了し続けている。その秘密はいったいどこにあるのだろうか?

まず第一に挙げられるのは、作品の主題が、いずれも世界の歴史に重要な足跡を遺した偉大な人物だったことである。

次にプルタークは、その人物たちが成し遂げた偉業と、彼らが置かれた環境とを正確に見きわめる目と、それを描写する表現力を持っていたことである。そればかりでなく、彼には英雄たちの人格を一人ひとり明快に描き分ける才能があった。

人間の個性が躍動していない伝記文学ではおもしろくない。英雄たちが何をしたかよりはどんな人間だったか、どれほど知性にあふれていたかよりはどこに人間としての魅力があったか、というほうが興味をかき立てられる。

つまり、演説よりももっと多くを語る一生を送り、やり遂げた業績よりも性格のほうがはるかに魅力に富んでいた人たちがいるということである。

プルタークが細心の注意を払って描き上げた人物像は、たとえばシーザーやアレクサンダー大王の一生なども30分かからずに読んでしまえるほど簡潔にまとめられている。むだな描写がないために、際立って印象的なのである。くどくどした説明は少なく、登場人物自らがページの上に、ありのままの姿を現わすのである。

モンテーニュはプルタークのこの簡潔さに文句をつけているほどだ。そしてこうつけ加えている。

「しかし、この簡潔さが彼の評価を高めていることも確かである。プルタークは、知識の豊かさをほめられるよりは、むしろ自分の判断力を認めてもらいたかったのだろう。話を詰め込みすぎて読者を食傷気味にさせるよりは、もっと読みたいという余韻を残すのが目的だったにちがいない。

どんなにすばらしい題材でもくどすぎるのはよくない。ということを彼は百も承知していたのだ。やせた貧弱な身体を、衣装を重ねて隠すように、問題を正確に把握していない人は言葉で埋め合わせしようと必死になるものだ」
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 自分のための人生 《 親ばな... | トップ | 人間通 《 仄めかし語法――谷... »
最新の画像もっと見る

03-自己・信念・努力」カテゴリの最新記事