電脳筆写『 心超臨界 』

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( エドマンド・バーク )

読む年表 明治~戦後 《 日露開戦(日露戦争)——渡部昇一 》

2024-07-02 | 04-歴史・文化・社会
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日露戦争がなかったら、あるいは日露戦争に日本が負けていたならば、白人優位の世界史の流れはずっと変わらず、21世紀の今日でも、世界は間違いなく植民地と人種差別に満ちていたであろう。日本が強国ロシアを相手に勝ったのを見て、ほかの有色人種にも、自分たちにもできるかもしれないという意識が生まれた。


◆日露開戦(日露戦争)

『読む年表 日本の歴史』
( 渡部昇一、ワック (2015/1/22)、p208 )

1904(明治37年)
日露開戦(日露戦争)
開戦を決意すると同時に講和の準備を始めた明治政府の高度な外交センス

“国家存亡の秋(とき)”という表現があるが、まさに国家の存続を賭けた日露戦争に日本は勝利を収めた。これは世界中の度肝を抜く20世紀初頭の大事件だった。もちろん、当時世界最強と言われたロシア軍相手に完勝できるなどとは日本政府はまったく考えていなかった。そこで少しでも日本が優勢になれば、ただちにロシアと講和を結び、できるだけ有利な条件で戦争を終えるしかない」と、その際の講和の仲介を中立的な立場にあるアメリカに依頼していた。

開戦を決意すると同時に和平のための特使を送り、さらにアメリカの世論を日本に有利なように導こうとした明治政府の外交センスの高さは、いくら評価してもしきれるものではない。「いつ、どのようにして戦争を終らせるか」を、まったく考えずにシナやアメリカ相手の戦争に突入した昭和の政府や軍部を考えると、天と地ほどの違いがある。

さらに、政府は諜報活動や謀略活動にも力を注いだ。そのなかで最大の貢献をなしたのが明石元二郎(あかしもとじろう=当時大佐)である。彼が行ったのはロシアの革命勢力の援助であった。その働きは、「数個師団に匹敵した」と言われ、「日露戦争の勝因の一つは明石大佐であった」とされた。明石はヨーロッパ各地に亡命している革命家たちを資金面でも援助し、ロシアにおける反政府暴動や争議を煽動した。明石の活動によってロシア政府は戦争に専心できなくなってしまった。

こうした高度な外交戦略もあって日本は結果的に勝利したわけだが、日露戦争は単に日本がロシアに勝ったというだけの戦争ではない。空前の影響を世界中に及ぼしたのである。

それは、有色人種の国家が最強の白人国家を倒したという事実であり、世界史の大きな流れからすれば、コロンブスが新大陸を発見して以来の影響力を持っていた。

日露戦争がなかったら、あるいは日露戦争に日本が負けていたならば、白人優位の世界史の流れはずっと変わらず、21世紀の今日でも、世界は間違いなく植民地と人種差別に満ちていたであろう。日本が強国ロシアを相手に勝ったのを見て、ほかの有色人種にも、自分たちにもできるかもしれないという意識が生まれた。インドでは民族運動が起こり、あの頑迷固陋(がんめいころう)な清朝政府までが千3百年続いた科挙を廃止し、日本に留学生を送るようになった。日露戦争で日本が勝ったために、白人優位の時代に終止符が打たれたのである。

コロンブスが新大陸を発見するまでは、世界のある地域で起きた事件が別の地域に影響を与えるということは、ほとんどなかった。アレキサンダー大王が現れてもアメリカ大陸には関係がないし、漢の武帝の即位がアフリカに影響を及ぼすことはなかった。ところが、新大陸発見によって世界史の流れが変わった。以来4百年、日露戦争における日本の勝利は、その影響が世界に及んだ点で、コロンブスの新大陸発見に匹敵する世界史上の大事件であったのである。
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