電脳筆写『 心超臨界 』

人生は良いカードを手にすることではない
手持ちのカードで良いプレーをすることにあるのだ
ジョッシュ・ビリングス

セレンディビティの予感 《 ネゲントロピー――桜井邦明 》

2024-08-23 | 09-生物・生命・自然
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日本の歴史、伝統、文化を正しく学び次世代へつなぎたいと願っています。
20年間で約9千の記事を収めたブログは私の「人生ノート」になりました。
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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
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■『小樽龍宮神社「土方歳三慰霊祭祭文」全文
◆村上春樹著『騎士団長殺し』の〈南京城内民間人の死者数40万人は間違いで「34人」だった〉
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■超拡散『移民受入れを推進した安倍晋三総理の妄言』
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  セレンディピティ(英語: serendipity)とは、素敵な偶然に出会った
  り、予想外のものを発見すること。また、何かを探しているときに、
  探しているものとは別の価値があるものを偶然見つけること。平たく
  言うと、ふとした偶然をきっかけに、幸運をつかみ取ることである。
  [ ウィキペディア ]


自然現象はすべて、均一化という無秩序の方向に向かっているのに、生命だけは秩序を維持し、しかも進化によって、より高度な秩序を実現しているのである。秩序ある構造とは、エントロピーが小さい状態ということであるから、生命はエントロピーの法則に逆らうように見える。しかも、この生命は、この宇宙のどこにでも見つかるような元素で作られている。生命を作るための特別な元素があるわけではない。


◆ネゲントロピー(熱力学に逆行する生命現象の謎)

『宇宙には意志がある』
( 桜井邦明、クレスト社(1995/03)、p103 )

このように、エントロピー増大の法則は絶対のものであり、究極的には宇宙の死をもたらす。ところが、先ほども言ったように、生命だけは、このエントロピー増大の法則からは理解しがたい存在なのである。

時間的に見て一方向に進むという点においては、生命現象と熱現象は似ている。どのような生命でも、その成長が逆方向に進むということはない。しかし、似ているのはそれだけである。

あらゆる現象はエントロピー最大の状態に立ち至ると終わる。どんな物体も時が経てば、すべて形を失ってしまう。

だが、生命現象にはそのような終わりはない。子や孫というように世代の交流が起こるために、生命現象には終わりがない。もちろん、それぞれの個体には、生物的な死が待っているが、種の連続性という点では、終着点はないのである。

さらに、この世代交代のプロセスでは進化が起き、形態や機能がより複雑、高度なほうに変化していく。原初の生物はひとつの単細胞で活動していたが、それが進化を遂げるうちに、構造は複雑になり、知性を持ったヒトという種までも創りあげた。

ほかの自然現象はすべて、均一化という無秩序の方向に向かっているのに、生命だけは秩序を維持し、しかも進化によって、より高度な秩序を実現しているのである。秩序ある構造とは、エントロピーが小さい状態ということであるから、生命はエントロピーの法則に逆らうように見える。

しかも、この生命は、この宇宙のどこにでも見つかるような元素で作られている。生命を作るための特別な元素があるわけではない。

だから、そこで起きているのは、物理学で説明できる現象であり、物理学の法則から外れているはずはない。実際、現代では物理学の知識を応用して、分子生物学などというジャンルが成立している。

では、個々の分子や原子レベルでは理解できるのに、一つの生命体となると説明がつかなくなるというのは、いったい、なぜなのであろうか。このことは昔から、いろいろな物理学者が悩んできた大問題である。

量子論の発展に大きな役割を果たしたエルビン・シュレディンガー(1887~1961)は、生命が秩序ある構造を維持することを説明するために、今では古典とされている『生命とは何か』(What is life? 岩波新書刊)という書物の中で、生命がマイナスのエントロピー、つまり、“ネゲントロピー”を生産する存在なのだと述べている。逆に言えば、ネゲントロピーを摂(と)り入れた存在が生命なのだというわけだ。もちろん、シュレディンガーにしても、なぜ生命の中ではマイナスのエントロピーを生成しうるのかということについては、説明できていない。

そもそも、ネゲントロピーがあるとすれば、生命の中では時間が逆向きに進むということになる。もちろん、そんなことがあるはずはないのである。だが、彼ほどの学者でも、マイナスのエントロピーということを仮定しなければ、生命存在の不思議を理解できないと考えたのは、興味深い。
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