電脳筆写『 心超臨界 』

嘘と作り話の上に自己を築くことほど
この世で恥ずべきものはない
( ゲーテ )

読む年表 古代~中世 《 十七条憲法制定――渡部昇一 》

2024-08-16 | 04-歴史・文化・社会
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世界最初の成文憲法といわれるアメリカ合衆国憲法(1788)の約1200年前に、わが国が単なる掟ではない「憲法(コンスティトゥーション)」を持っていたことは驚くべきことだが、何よりも、太子がそこに込めた理念が、現代にまで受け入れられているということ、つまり日本の「国としての体質」を示すものであることを考えると感嘆せざるを得ない。


◆十七条憲法制定

『読む年表 日本の歴史』
( 渡部昇一、ワック (2015/1/22)、p26 )

604
十七条憲法(じゅうしちじょうけんぽう)制定
現代にも通じる世界初の“近代的”憲法

推古(すいこ)天皇の12年(604)の夏4月に聖徳太子が定めた「十七条憲法」は現代にまで大きな影響を与えている。

用明(ようめい)天皇の死後、物部・蘇我という大氏族の争いが皇位継承問題にからみ、穴穂部皇子(あなほべのおうじ)の殺害、崇峻(すしゅん)天皇の暗殺にまで至る争いがあった。だから憲法第一条を「和をもって貴(とうと)しとなす」としたのである。

これは長期にわたる戦争と、それに続く敗戦という手痛い経験から生じた現在の日本国憲法が繰り返し世界平和を訴えているのと、その精神においてはまことに似ている。ただ、平和を訴える対象が、太子の場合は各氏族など国内に向けているのに対し、現憲法は平和をまったく外国まかせ(他人まかせ)にしている点が大きく違っていると言えるだろう。

第二条は、「篤(あつ)く三宝を敬へ。三宝とは仏(ほとけ)・法(のり)・僧(ほふし)なり」となっている。これは「新しい学問、新しい文化を尊べ」ということである。

当時の仏教はすぐれた宗教哲学としてのみ認識され、「法」とはすぐれた学説、「僧」は学者を意味していた。明治以後の「西洋の学問を尊べ」というのと似たような発想なのである。神道にまったく触れていないのは、日本の神を崇(あが)めるのは先祖を敬えということであって、あたりまえすぎてわざわざ憲法で既定するまでもなかったからである。

もう一つ重要なのは、第十七条において、政治の重大事は「独断すべからず、必ず衆と論ずべし」と言っていることである。これは、それからおよそ1250年後に出された明治天皇の「五箇条の御誓文」の第一条「広く会議を興(おこ)し、万機(ばんき)公論に決すべし」の条文に驚くほどよく似ている。

太子の「十七条憲法」は単なる掟ではなく、現代の日本人も自然に肯(うなず)ける「理念」を打ち出した点において、近代的な意味でも憲法の名にふさわしいものであった。

元来「体質」という意味である英語のコンスティトゥーション(constitution)という単語が、国と体質、国体というところから、今日でいう憲法を意味するようになったのは17世紀から18世紀にかけてのことであり、最初にはっきりした定義を示したのはイギリスの政治家ボリングブルック(1678~1751)の『政党論』であると言われる。

世界最初の成文憲法といわれるアメリカ合衆国憲法(1788)の約1200年前に、わが国が単なる掟ではない「憲法(コンスティトゥーション)」を持っていたことは驚くべきことだが、何よりも、太子がそこに込めた理念が、現代にまで受け入れられているということ、つまり日本の「国としての体質」を示すものであることを考えると感嘆せざるを得ない。
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