電脳筆写『 心超臨界 』

真実はつねに刺激的 だから真実を語れ
真実のない人生では退屈である
( パール・バック )

ついつい、周五郎さんの世界に引っぱりこまれていく――紀野一義

2024-07-16 | 04-歴史・文化・社会
電脳筆写『心超臨界』へようこそ!
日本の歴史、伝統、文化を正しく学び次世代へつなぎたいと願っています。
20年間で約9千の記事を収めたブログは私の「人生ノート」になりました。
そのノートから少しずつ反芻学習することを日課にしています。
生涯学習にお付き合いいただき、ありがとうございます。

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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
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紀野一義さんは、プロの物書きです。しかも、戦争で生死の境をさまよい生還した経験もあります。またずっと続けている仏教の研究からも人間を見る訓練はかなり積んでいる、と自負しているほどです。ところが、山本周五郎の小説は、それほどのプロの物書きをも感嘆させ、脱帽させてしまいます。物書きばかりではありません。あの黒澤明監督の愛読書のなかに山本周五郎が入っていたことからも、そのすごさが伝わってくる気がします。


◆ついつい、周五郎さんの世界に引っぱりこまれていく――紀野一義

「致知」2003年2月号【特集・信念の力】)
「『日本婦道記』に学ぶもの」 真如会主幹/正短期大学副学長・紀野一義

《 人間を見る眼 》

私は山本周五郎の小説が文句なしに好きである。どうして? といわれると困ってしまうが、文学的にどうのこうのというとりあげ方で好きなのではない。男が女を好きになる時に、学歴がどうとか、家柄がいいとか、背が高いからとか、おしゃれだからとかいう馬鹿(ばか)はいないだろう。

私は大正11年8月9日に生まれて、今、80歳である。戦前、戦中、戦後の日本を生き証人のように生きつづけ、戦争にも行き、何度も死にかけ、どころか、アメリカ空軍の爆撃機隊が台湾東部海岸の宜蘭(ぎらん)市を中心に徹底的な集中爆撃をした際に戦場や台湾人の田圃(たんぼ)や畠(はたけ)や庭や家屋の中に残った不発弾の信管を外して処理するという乱暴きわまる不発弾処理をして実に1752発片づけたとき、一発ずつ爆発する危険があるのだから実に1752回も死にかけた私が、死にもせず、今も歴史の生き証人として生きているのだから、人間を見る眼は自然に養われている。しかも寺にうまれて、ずっと仏教の研究を怠らなかったし、今も好きで仏教書を読みつづけ、仏教書を書きつづけているから、そっちからの人間観察は誰にも負けないものを持っている。というわけで、人間を見る眼はかなり訓練を積んでいるはすである。その私が、山本周五郎の小説の登場人物を見ると、見るたびにびっくりさせられる。そんな見方があったのか、そんな男の生き方があったのか、そんな女のひとがいたのか、と感嘆させられ、脱帽させられる。だから、ついつい、周五郎さんの世界に引っぱりこまれていくのである。
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