自分のための人生 《 使い古しの“レッテル”は捨てる――ウエイン・W・ダイアー 》

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自分は誰なのか。自分をどういう言葉で表現するのか。自分ではなく他人によってなされてきた選択や今までの自分の選択とはまったくつながりのない、何か心ひかれるような新しいレッテルを考えてみよう。使い古しのうんざりするようなレッテルのために、充実した人生を送ることができないかもしれないのだ。


◆使い古しの“レッテル”は捨てる

『自分のための人生』〈原題：Your Erroneous Zone（錯信帯）〉
（ ウエイン・Ｗ・ダイアー／渡部昇一・訳、三笠書房 (2011/7/21)、p138 ）

　　過去の人生を頼りに自分と言う人間を語り、過去の世界をさまよう
　　のは幽霊だけである。生きている自分は、今現在の存在であって、
　　過去の存在ではない。

4章　「きのうの自分」を超える
5　使い古しの“レッテル”は捨てる

人間性などというものは存在しない。人間性という言葉そのものは、人を勝手に分類し口実をつくり出すように意図されたものである。自分という人間は自分が行なった選択の積み重ねによってできあがったものであるから、後生大事にしている「私は……である」というレッテルは、「私は自分で決めてこうなった」というふうに変えることができるだろう。

自分は誰なのか。自分をどういう言葉で表現するのか。自分ではなく他人によってなされてきた選択や今までの自分の選択とはまったくつながりのない、何か心ひかれるような新しいレッテルを考えてみよう。使い古しのうんざりするようなレッテルのために、充実した人生を送ることができないかもしれないのだ。

何かを学ぶことについて、マーリン（訳注・アーサー王を助けたりっぱな魔法使い）が語った言葉を思い出してみよう。

　　悲しい気分のときに一番ふさわしいのは、それは何なのかを学ぶこ
　　とだよ。学ぶこと――それだけが唯一、駄目になることを知らぬも
　　のなのだ。

　　お前は年をとり、骸骨のようになってふるえるかもしれない。乱れ
　　た脈の音を聞きながら眠れぬ夜を過ごすかもしれない。愛するただ
　　一人の人を恋しく思うかもしれない。自分の住む世界が邪悪な狂人
　　たちの手で荒らされるのを目の当たりにし、自分の名誉があさまし
　　い心根の連中に踏みにじられるかもしれない。

　　そんなときにできることはただ一つしかない。学ぶことだ。どうし
　　て世界が動いていくのか、何が世界を動かすのかを学ぶのだ。精神
　　が倦むことなく、仲たがいすることもなく、苦しめられず、恐れも
　　疑いもせず、後悔など想像もしない。学ぶことはそういうものなの
　　だ。

　　学ぶことこそお前にふさわしい。見るがいい。学ぶべきことがどん
　　なにたくさんあるか。唯一の純粋さがそこにはある。

　　一生かけて天文学を、三生かけて博物学を、六生かけて文学を学ぶ
　　がよい。そうやって百万生を費やして生物学、医学、神学、地理学、
　　歴史学、経済学などの学問を学んだ後に、ようやく荷馬車の車輪を
　　それにふさわしい木材でつくる作業にとりかかればよい。フェンシ
　　ングで相手を倒すことを学ぶようになるまで、さらに五十年、学び
　　続けるがよい。そして、耕し方を学ぶときがくるまで、もう一度数
　　学の勉強を始めることだ。