電脳筆写『 心超臨界 』

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( ブリガム・ヤング )

不都合な真実 《 台湾有事には日本に核攻撃――小森義久 》

2024-05-20 | 05-真相・背景・経緯
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中国の挑戦力の増強や戦略の変化の兆しがアメリカを懸念させるなかで、中国では台湾有事には日本に核攻撃をかけるという戦略が堂々と公表されたのである。民間の軍事研究集団が動画という形で拡散した。だが、「民間」とはいえ、中国の独裁政権下ではこの種の発信は当局の少なくとも暗黙の了解がなければ、起こりえない。アメリカ側では中国の日本への不当な核恫喝としてだけでなく、自国から先には核兵器は使わないという中国自身の誓約にも違反するとして激しい反発が起きた。しかし日本にとって、事態はさらに深刻である。日本の国家や国民の存亡にかかわる脅しなのだ。


◆台湾有事には日本に核攻撃

『中国、13の嘘』
( 古森義久、飛鳥新社 (2022/1/25)、p262 )

2021年7月11日に公開された「核攻撃での日本平定」と題された動画の内容の骨子は、中国が台湾に武力行使した際に日本が軍事介入すれば、中国はすぐに、しかも必ず日本への核攻撃をかける――という宣言だった。

この戦略は合計5分50秒ほどの長さの動画にまとめられていた。制作にあたったのは中国の民間の軍事評議集団「六軍韜略」だった。この集団は中国人民解放軍の幹部だった人物らを中心とし、独自のサイトをも保持して、軍事の戦略や評論を頻繁に発表している。

2020年11月に発足し、すでに約130件の軍事関連の動画を自主サイトに載せた実績がある。しかもそれぞれの動画が各5万件から2千万件のビューを記録したというから影響力の巨大な軍事問題の発信源だといえる。

掲載は自主サイトではなく、一般向けのより広範なサイト「西瓜視頻」へアップされた。

女性の解説者の声と種々の映像や文字が日本への核攻撃を中心に語られ、映し出された。最大のポイントは核ミサイルによる日本の徹底破壊だった。

その内容の要点は次のとおりだ。

###・日本では安倍晋三元首相が極右反中路線や新軍国主義を進め、中国に戦争を宣言する国民的な基礎を固めた。最近では麻生太郎副首相が「中国が武力で台湾を併合しようとすれば、日本はアメリカとともに台湾を防衛する」と言明し、岸信夫防衛相、中山泰秀防衛副大臣らも同趣旨を語った。

・中国は日本が台湾有事に一兵卒でも一軍用機でも一艦艇でも送って参戦した場合、ただちに必ず日本に核攻撃をかける。日本とのこの戦いは全面戦争であり、核攻撃は日本が完全に降伏するまで続ける。日本は核攻撃の被害を体験し、核に過敏に反応するから、中国の対日核攻撃はごく小規模でその目的を達成できるだろう。###

以上だけでもとんでもない核の脅しだった。

しかも中国は長年、「核先制不使用」の方針を宣伝してきたのだ。同時に核兵器を保有しない国には、たとえ、戦争になっても中国側は核攻撃はかけない、とも言明してきたのだ。

その点について、動画の解説は以下のように述べていた。

###・中国は1964年の核実験以来、核兵器は戦争の相手国より先には使わないという「核先制不使用」の政策を明示してきた。核の被害を受けた場合のみの核報復に限るという方針である。だが、日本だけは例外にする。日本は日清、日中両戦争で中国を2回も侵略し、日中戦争では3500万人の中国人民を殺し、いままた中国を侵略しようとするからだ。

・中国が日本を例外にする背景には近年の国際情勢の変化があり、核先制不使用が時代遅れになったという面もある。

・中国は日本への核攻撃の際には尖閣諸島(中国名・釣魚島)と沖縄(中国側は琉球と呼称)を奪回する。###

この動画がアメリカ側で報道されると、掲載の2日後には西瓜視頻サイトから削除された。ただしその2日間に中国側で合計219万人からのアクセスがあったという。そして同じ動画が中国北西部の陝西(せんせい)省宝鶏(ほうけい)市の共産党委員会サイトに転載され、また一般に視聴できるようになった。こうした動きはこの動画が中国当局も暗に認めた宣伝であることを証したといえる。

ちなみに陝西省には中国軍の長距離ミサイル基地がある。

国際的にもこの動画は台湾、インド、韓国、欧州などのメディアですぐに報じられた。またアメリカでもCNN、ニューズウィーク、FOXなによっても詳しく報道された。とくに視聴率の高いFOXテレビの報道はアメリカ側の厳しい反応を反映していた。

FOXの報道はまず冒頭で「中国共産党は日本に対し台湾有事に介入すれば、核攻撃と全面戦争をしかけると警告する動画を発信した。」と述べ、この動画を「民間」とはいえ明白に中国政府の意向を示す脅しだとみなしていた。FOX報道はさらにこの脅しは中国自身が宣言してきた「核先制不使用」や「非核国への核不使用」の政策に違反し、国際的にも核拡散防止条約(NPT)に反する点を強調していた。

FOX報道はそのうえで中国政府代弁の強硬声明で知られる外務省の趙立堅報道官の「日本はその心理を改めねばならない」という最近の日本糾弾の言葉を紹介し、今回の動画も中国の反日姿勢に沿うと指摘していた。

アメリカの歴代政権は日本に対する核の威嚇や攻撃には同盟国として抑止や報復にあたるという「拡大核抑止」、つまり「核の傘」の方針を誓約してきた。そもそも日米安保条約に基づく日米同盟では、中国の日本攻撃は核でも非核でもアメリカへの攻撃に等しいとされる。だから日本への核攻撃、アメリカの中国への報復の核攻撃を意味するわけだ。

この動画の主張のように日中間だけの戦いではすまないのである。

だがそれでも日本への威嚇の効果は大きい。しかも中国政府が日ごろ公式に唱えている核先制不使用の原則は日本に対してはウソだと公言したに等しいのである。

中国の日本核恫喝のこの動画についてアメリカ側の中国専門家も批判を明確に表明した。

中国の軍事動向に詳しい元アメリカ海軍大学校教授のトシ・ヨシハラ氏はこの動画について以下のような意見を述べた。

###「中国政府は明らかにこの種の対外憎悪の民族感情を煽っている。とくに、日本への敵意や憎悪は政策形成層にも強い。その間違った世界観が中国政府の実際の戦略を大きく錯誤させる危険を日米同盟は認識すべきだ」###

日系アメリカ人学者のヨシハラ氏は台湾育ちのため、中国語にも不自由しない。いまはワシントンの大手シンクタンクの戦略予算評価センター(CSBA)上級研究員を務める。同氏はさらに語った。

###「米国側ではこの動画を『中国の政府や軍の公式の戦略ではない』として軽視する向きも出てくるだろう。動画が明らかに中国当局によりすぐに当初のサイトから削除されたことも軽視の理由になるかもしれない。だがこの動画が明らかに代表するのは中国側全体の日本に対する国家的、国民的な感情だという大きな構図を見失ってはならない。憎悪に満ちたナショナリズムの扇動なのだ。
 この種の対外嫌悪は中国共産党政権により意図的に奨励されている。とくに日本の国家と国民に対する敵対心は故意の宣伝の結果の誤解だともいえる。この種のゆがんだ対日観は戦略的な危機に際して間違った判断、錯誤の決定を生む危険が高い。だから日米両国はともに中国のこの種のゆがみを重視して、是正する必要がある。
 さらに懸念されるのは中国当局が公式の核戦略からどのような条件下で逸脱するのかという疑問をこの動画が提起した点だ。現実に中国政府が日本への核の威嚇をどんな状態の際に行使するのかを日米同盟として考えねばならない。中国人民解放軍が近年、核戦力を拡大し、とくにアメリカには届かず、日本だけを射程に収めたDF26のような中距離弾道核ミサイルを急いでいることを日米両国は警戒すべきだ」###

アメリカ側の別の専門家にも見解を尋ねてみた。現在はジョージ・ワシントン大学の教授を務める中国研究のベテラン、ロバート・サター氏である。サター氏は前述のように過去40年ほど、アメリカ歴代政権の国務省、中央情報局、国家情報会議などで対中国政策を担当し、とくに中国の対外戦略に詳しい。サター氏はこの中国側の動画を「言葉だけで日本の政策を変えようとする中国の心理作戦」と特徴づける見解を明らかにした。

###「中国の今回の動画での日本への核攻撃という戦略は中国年来の日本に対する敵意や憎悪を示すだけでなく、自国の政策の追求のためには軍事力行使、さらに核攻撃の意図をも表明して、相手に圧力をかけるという中国の近年の恫喝外交の典型だといえる。
 中国の日本への核攻撃という戦略自体、中国が自ら誇示してきた、たとえ戦争が起きても先には核兵器を使わないという原則や、核兵器を持たない相手には核攻撃はかけないという原則にも反する。だから中国の『公約』は信用できないという現実の証明がこの動画の意味だともいえる」###

サター氏のこの「中国の『公約』は信用できない」という言葉は重要である。

中国は日本に対しても核兵器攻撃というような国家にとって致命的な重みを持つ分野でも、虚偽を述べる、という意味なのだ。サター氏はさらに以下の骨子を語った。

###「日本としてはこの動画に代表される中国の対日姿勢の基本や対外政策一般での威嚇や脅迫という要素を改めて認識して、日本側の対中姿勢の強化に努めるべきだ。
 日本側としてこの動画の内容には懸念を強めるべきだといえる。
 ただし現在の中国指導部はアメリカとの軍事衝突を避けたいというのが本音だという点の認識も重要だ。中国政府は強硬なレトリック(言辞)にもかかわらず、米軍との正面衝突につながる台湾への武力侵攻も現段階ではあくまで避けたいとしている。
 だから日本の台湾有事への参戦という事態も今はまだ現実的ではない。中国の習近平政権がアメリカとの軍事衝突を回避し、アメリカとの経済面での絆の断絶をも嫌っていることは最近、アメリカに亡命した中国政府高官らの証言から判断しても確実だといえる。今アメリカに亡命した中国政府高官らの証言から判断しても確実だといえる。いまアメリカと軍事衝突をしても中国側に勝算がなく、経済断交も中国経済への打撃が大きすぎるという計算が習近平政権の現在の対米政策の基本だとみられる」###

サター氏の以上の発言は、中国にはいまは台湾武力侵攻の意図がないから、日本への核攻撃というのも現実の軍事作戦に基づく警告ではない、という意味だといえよう。つまりは脅しの言葉だけで日本に圧力をかけて、その対台湾や対中国政策を中国側に有利に変えさせようという心理作戦、政治作戦だというわけだ。脅しをかけられた当事国の日本としては、これもまた認識しておくべき考察だといえよう。だが核の脅威をかけられた当事国の日本では、この中国の動きに対する反応はきわめて鈍かった。政府や国会も、主要メディアも自国に対するこの核攻撃の脅しについて無視ともいえる態度をとっている。この反応は現実の危機にただ頭を砂に突っ込むダチョウの平和を思わせるものだった。
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